2024.11/23 「混ぜる」技術の難しさ(9)
HansenのSP(HSP)について研究が進み、それを計算するソフトウェアーが20万円前後で販売されている。Hansen球を仮定し、その球の半径の範囲内に入れば良溶媒であり、球の外であれば貧溶媒であると評価する。
これまでの膨大なデータを活用するので、低分子であれば、かなりの精度でSPが求まるらしい。ただし注意点は正則溶液という制限があることだ。すなわちHSPで混合の問題が全て解決できるわけではない。
やはり、実際に混ぜてみて確認する作業が必要になる。それでもHSPは、溶解性を議論する時の手がかりとして使えるので便利である。注意点としては、繰り返すが、これを絶対視しないことである。
SPがかけ離れた組み合わせでも混ぜなければいけない時がある。ポリエチルシリケートとフェノール樹脂とから高純度SiCの前駆体を合成したい時には、SPやχで絶対に混ざらない、と説明されても、根性で混ぜることを考えてリアクティブブレンド技術を開発している。
KKD、勘と経験と度胸は技術者を軽蔑的に表現した言葉であるが、トランスサイエンスが溢れているときには、重要になってくる。
制御された勘の働かせ方や経験知についてこの欄で過去に書いているので興味のあるかたは過去記事をご覧ください。ヤマカンでも100%当たるのであれば尊敬すべきである。
電気粘性流体の耐久性問題では科学的に厳密に研究が進められて、界面活性剤では問題解決できない、と否定証明されたが、データサイエンスによるヤマカンでこの問題を一晩で解決し実用化レベルの技術を完成している。科学とは?
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