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2024.11/26 「混ぜる」技術の難しさ(10)

SPの概念は微粒子を分散する時の考え方まで拡張されている。ゴム会社から転職した30年ほど前にコアシェルラテックスが話題になっていた。


このコアシェルラテックスとは、コアに例えばシリカ粒子を用い、その周りをラテックスで包んだコロイド溶液である。ライバルの写真会社が開発し、写真用途の合成条件は、強固な特許網で守られていた。


ゼラチンの物性改質技術としてシリカ粒子とラテックスを添加し、硬さと靭性のバランスをとる技術が古くから使われてきた。しかし、シリカゾルとラテックスをゼラチン水溶液へ別々に混合する時にシリカゾルの電荷二重層が崩れ、ひどい時には沈殿したり、沈殿しなくても凝集粒子の生成が避けられなかった。


撹拌技術で制御し何とか使いこなしてきた技術だが、このコアシェルラテックスの発明ですべての問題が解決されたといわれた優れた技術である。これ以上の技術は無い、と転職した時に説明を受けた。


しかし、これ以上の技術は無いと言われるとそれを開発したくなる欲求が湧く。コアシェルラテックスと対極にある、シリカゾルにまったくラテックス成分が付着していない、シリカゾル中における安定したラテックス重合技術を提案した。


しかし、すぐに不可能と却下された。それが不可能だからコアシェルラテックス技術が重要である、と説明を受けている。ダメな理由は電荷二重層の崩壊でシリカが沈殿するからだそうだ。



ならば、シリカゾルをミセルとして使って重合したらどうなるか、と質問したら、できるならやってみてくださいと言われた。結局このような議論はできる、できないの平行線となる。



すぐに、ゾルをミセルに用いたラテックス重合は成功するのだが、この時シリカゾルの表面をAlで修飾し、表面を改質している。これ以上は書かないが、コロイドの安定化技術としてセラックスフィーバーの時に開発された技術である。

カテゴリー : 一般

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