2024.12/13 パーコレーションとクラスター
コロナ禍でよく知られるようになったクラスターという言葉だが、クラスター生成により急変する現象としてパーコレーション転移が知られている。
パーコレーションについて最初に話題になり議論されたのは、1950年代で、カリフォルニアで起きた山火事を数学者が議論した時にクラスターという言葉が登場している。
ところが、材料物性の考察にパーコレーションが使われるようになったのは、1980年代のセラミックフィーバーで、1990年代から日本化学会でも一般化した。
数学者の議論から遅れること30年で材料科学者たちがパーコレーションに興味を持つに至ったのは、というよりも、なぜ30年も遅れたのかと考えた方が良い。
原因は混合則あるいは複合則が材料科学で使われてきたためである。これは経験則と言ってよい法則で、形式知と経験知とを混同して研究を続けてきたからである。
形式知と経験知との混同はマテリアルズインフォマティクスやその他でも見られ、例えばSP値も同様である。科学とは形式知の体系であり、経験知を形式知と同様の扱いで科学に持ち込む危険性は、パーコレーションに関する材料科学者の認識が30年以上遅れたことからも理解できると思う。
さて、パーコレーションにおけるクラスターの機能については、「Pythonで理解するパーコレーション転移」で解説しているので問いあわせていただきたい。
カテゴリー : 一般
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