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2024.12/16 SPとχの問題

高分子材料のコンパウンドや接着剤の開発その他で、SPは活用されるが、この値が経験知であり、形式知ではないことをご存知だろうか。


アカデミアで研究されているので形式知と誤解している人は多い。アカデミアでは、経験知だからこれを形式知まで高めようと無駄な努力をしているのだ。


高分子のSPを唯一の値として定めることは不可能であり、大抵はある範囲を持った値になるはずである。高分子のSPを唯一の値として決定できる、と考えている人は、自然現象を良く知らない人である。


一方χパラメーターはこのあたりを良く考えており、その本質は自由エネルギー変化である。ところがχをSPから求めることができる、という説明が教科書に載っていたりするから、これまた問題を含んでくる。


技術開発をするときに参考値としてSPからχパラメーターを求めるのは問題ないが、これでもって形式知を論じようとしている人は、科学を良く知らない人、と言われても仕方がない。SPから求められるχはあくまで参考値である。


例えばPPSと6ナイロンのχパラメーターは、正から0未満まで温度と応力により変化して、混練時にカオス混合を行うと相溶させることができる。そしてその時透明なストランドを弾くことが可能だ。


このストランドは数年透明であり、数年間のレピュテーション運動によりスピノーダル分解し、ある日急激に白濁する。


このような現象を観察すると、χが経時で変化するパラメーターであることを理解できるが、このようなことが教科書に書かれていない。新しいポリマーアロイ開発には重要なアイデアとなる。


あるいは、接着剤の設計でもχが経時で変化するパラメーターであることを理解しておれば、劣化問題で失敗することはない。

カテゴリー : 一般

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