2025.04/19 商品企画と経営
日産自動車の社長が交代し、改めて新車の販売計画が発表されたが、社内の苦悩が垣間見える内容だった。恐らく、今回発表された新たな計画は、今年度中に再度見直しが行われるのだろう。
また、ニュースによればインドネシアはじめ海外工場の生産体制見直しも行われており、インドネシア市場について完全撤退の様子が見えてきた。社長交代でこうも経営の様子が変わるのか、と思える変化だ。
前の社長はじめ経営陣が仕事をしていなかった、といううがった見方もできるぐらいの変化である。見ていて勉強になる。
さて、現在の日産車について国内のラインアップは、売れ筋商品以外並んでいない効率の良いラインアップという見方ができる反面、これでは市場に変革を起こし売り上げを伸ばすことはできないだろうと心配になる。
あたかも日本市場はこの程度で良いと判断しているようにも思われる。この数年は、フェアレディ-Zやスカイラインの限定販売を行っているが、効率が良い反面次代への夢がない。
インターネットには、これまでのある女性役員が、ことごとく商品企画を潰してきたという恨み節が書かれていたが、明らかにこの数年のラインアップは、かつての日産とは異なり、あたかも店じまい前を思わせるような状態だった。
若者の自動車離れが言われて、少子化もあり、今後国内の自動車市場は縮小傾向にあるらしいが、それでもトヨタは売り上げを伸ばしている。
かつて80点主義の車つくりが批判されたりしたが、この20年の新車を見ていると、市場に対する提案が明確である。クラウンやプリウスの新たな方向も市場に受け入れられた。
商品企画と経営がうまくかみ合っているかのように見える。あのような劇的な方向転換は、経営の強力なサポート(注)が無ければできない。
ところが日産から今回発表された内容では、以前よりも改善された様子がうかがわれ、経営刷新の効果がこんなにも早く現れるものかと驚く内容ではあるが、それでも不満を感じるのは、どこか中途半端なところが垣間見えるからかもしれない。
(注)ゴム会社で高純度SiCの事業を起業して分かったのは、経営陣によるサポートの重要性である。特に新事業の起業では、経営陣が成り行きに任せているのか、そうでないかは明確に現れる。経営陣が成り行きに任せているような状態では、いくら良いシーズでも育たない。高純度SiCの事業では、住友金属工業とのJV立ち上げまで、研究所内の反対勢力による妨害のため大変苦しい展開となったが、予算含め経営陣のバックアップがあったのである。しかし、研究開発本部長が反対勢力になったとたんつぶれかかったが、住友金属工業とのJVは社長がリーダーとなっていったので結局潰されることなく今でも他社に事業は継承され技術が生きている。このような体験をしてみると、トヨタにおけるクラウンやプリウスの開発を担当された方々は幸せだったと思うと同時に、日産に勤務する技術陣はゴーン退陣後大変だったのだろうと心配したりしている。
カテゴリー : 一般
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