2025.05/26 米の減価償却
小泉大臣が備蓄米を安く出すにあたり、減価償却と言ったことがネットで話題になっている。ご存知のように、米は固定資産ではないから、正しくは棚卸評価損と言うべきである。
言葉は正しくないが、棚卸評価損より分かり易く、米がおいしく聴こえるから不思議である。「古い米なので棚卸評価損で処理して安く出す」、という説明より、一言「減価償却で安く出す」、と言った方が分かり易いと考えたのかもしれない。
ネットでは、会計用語を間違えて使っている、とはやし立てているが、今回随意契約で備蓄米を放出するので、その計算方法が問題となる。
すなわち、固定資産ならば、定額法あるいは定率法で備蓄米の価格を一定の尺度で決めることができる。しかし、棚卸評価損の場合は、購入価格から販売価格を差し引いた値となり、販売価格をどのように決めるのかが問題となる可能性がある。
「備蓄米の価格を固定資産の考え方で計算した現在の価値で販売し、その結果を棚卸評価損として処理する。」とおそらく官僚は小泉大臣に説明した可能性が高い。そうすれば、販売価格の透明性なり公平性の根拠となる。
2005年の時に半年後に製品化しなければいけないPPSベルトについて、コンパウンドメーカーに提案したカオス混合によるコンパウンディングを断られたので、カオス混合プラントを自ら3か月で立ち上げて、無事半年後にPPS半導体ベルトの生産に成功した話をこの欄で以前書いている。
このとき一番難しかった仕事は、長い間コンパウンドメーカーから出来損ないのPPSコンパウンドを前任者が無条件に購入し続けた在庫の処理だった。
前任者がゴミを買い続けた後処理をしたわけだが、棚卸評価損の計算式で救われた話を後日書いてみたい。減価償却では役員の印が必要になり、前任者の責任問題となったのである。米や原材料について一定の経年変化を決めていない理由がここにあり、これを減価償却すると言ったセンスが光る。
棚卸評価損という言葉を小泉大臣が使わなかったのは、この経験から、「座布団1枚」差し上げたいアイデアと思っている。セクシーと言う言葉より捻っている。まるで会計用語を御存じないように誤解されるが美味い!
昨日大の里は残念ながら全勝優勝と成らなかったが、横綱昇進後の楽しみが残った。これを力不足という人がいるだろうか。米を減価償却で安く市場へ出す、会計用語をご存知の方には奇妙に聞こえるかもしれないが、備蓄米が安く市場に出てくる期待を感じる言葉である。
(注)棚卸評価損だから自由に売却価格を決めてよいとはならない。客観性が求められるのは会計処理として当たり前である。現在の販売価格あるいは最近の販売価格その他販売のためにかかる費用など総合して決められるのだが、今回は、問題の無い限り、安く放出したい、国が運送費を持つ、と明言しているので、「安く」をどのように納得のゆく数値にするのか、は大問題となる。これを減価償却に準じて計算する、と決めてしまえば、今の米の状況から誰もが納得するだろう。頭がいい官僚がいたのではないか。
(一部ニュース解説の誤解)5キロ2000円では米つくりが難しい、60kg当たり23000円必要と言うニュース解説が載っていた。これが面白いのは、続けて、「だから、5kg3000円以上になる」、とまことしやかな解説となっている。5kg2000円なら、60kgで24000円となる。これ以上は、申し上げない。
カテゴリー : 一般
pagetop
