2026.04/29 研究開発プロセス(11)
現代の技術すべてが科学の成果とするのは間違いである、と指摘したのは、E.S.ファーガソンである。彼は、著書「技術者の心眼」の中で、科学以外の方法で生まれた技術が大半である、と述べている。
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彼の述べる科学と異なる方法とは、心眼で現象から機能を取り出し、その振る舞いを探りながら設計する方法である。これは、プログラミング手法の一つオブジェクト指向である。
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オブジェクト指向が大衆誌BYTE(英文)に載ったのは、1981年8月であるが、学術誌Communications of the ACMには、クラスを用いるプログラミング設計プロセスが述べられていた。
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オブジェクト指向という言葉はアラン・ケイの発明とされるが、Simulaという言語がすでに使われており、言葉が生まれる前に概念を実装したプログラミング言語が生まれていたことになる。
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このようなオブジェクト指向の黎明期の論文を読むと、プログラム設計プロセスすなわち問題解決プロセスがオブジェクト指向で行われると効率のあがることが理解できる。
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E.S.ファーガソンの述べていることは、オブジェクト指向の議論とは異なるが、彼の考え方を概念として捉えると似たように見えてくる。すると、研究開発プロセスを科学の方法ではなくオブジェクト指向の方法で行ったらどうなるか、というアイデアが浮かぶ。
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幸いなことに、入社して1年ほどの間にオブジェクト指向という言葉を知らず、概念のみに魅かれたので、上司への説明も分かり易くできた。上司は英文の論文がプログラムに関する内容とは知らなかったので、理解しているように話を聞いてくれた。
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そもそもどのような始末書を書いたらよいのかも指示できなかった上司なので、日常の報告もこのように行っておれば、ハラスメントをいなすことができたのではないかと、今頃反省している。
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組織の中で、明確なゴールを示すことができないリーダーでありながら、その職位のパワーだけ振り回す人物には、神経をすり減らす貢献の努力は無駄である。自己実現努力に軸足を置き、働けばよいのである。
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余談だが、この上司のもとで3年仕事をして、ホスファゼン変性ポリウレタンフォームの研究成果や軟質ポリウレタンフォーム、台所用天井材などの成果を出したが、全く評価されず、昇進が遅れた。しかし、無機材質研究所における成果で、人事部により特別昇進でき、遅れを取り戻した。サラリーマンとして良い経験だった。また、成長する会社とはこのような人材を人財として人事部が管理できる企業だろうが、ゴールを明確に示せない上司が立派な管理職として研究所で君臨していたのが理解できない。人材を正しく評価できない管理職は降格すべきだろう。
カテゴリー : 一般
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