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2026.05/09 実験データは企業資産(2)

20年ほど前に単身赴任して担当した複合プリンター用中間転写ベルトの量産試作立上テーマは、半年後に歩留まりを70%にするだけの仕事というのが周囲の認識だった。

世界でも著名な一流材料メーカーとの5年に及ぶ共同開発でコンパウンドは問題ないという認識だった。当方は過去5年間の実験データを整理して、コンパウンド技術が未完成であることをセンター長に示したが、周囲の納得が得られる科学的なデータでは示すことができなかった。

これは、今でもコンパウンドの品質問題を科学の方法で満足に解決できないので、20年前ならば当然のことだった。科学的な否定証明は可能だが、それでコンパウンドの品質問題を解決できるわけではない。

電気粘性流体の否定証明を京大出身の博士をリーダーに大阪大学博士や東大修士など高学歴の研究者を揃えて1年間否定証明を行ったような無駄な時間は無かった。

これは、高分子材料で成形技術を担当している人ならば公知のことである。それでは、コンパウンドの品質問題をどのように解決しているのか。これは、あたかもユークリッド幾何学のごとく行う。

すなわち、問題解決できたコンパウンドを提示することで解決しており、成形プロセスにおける品質問題と問題解決できたコンパウンドとの関係は、風が吹けば桶屋が儲かるような論理展開で納得する慣習である。

この時、品質問題検討のために行われたすべての実験データが使われるわけではない。うまく品質問題を説明できる実験データだけが、報告書に記載されて残ってゆく。

換言すれば、うまく説明できなかった実験データは、その場で廃棄されるのが現状である。この問題に気がつかれている方は、どれだけいるのであろうか。

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