2026.05/17 AIエージェント(1)
ホスファゼンは3量体だけが開環重合し、高分子量化する。この研究はアメリカのオールコック博士が発見し、4量体以上の環状では重合しないと言われていた。
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そこで梶原鳴雪博士は、環状のまま重合する研究を行っていた。しかし、高分子量化は難しく、当方が修士課程を卒業後ゴム会社就職までの3週間に行った実験で、世界初の環状高分子量体の開発に成功したことを大変喜ばれた。
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これは、当方のアイデアで当方の実験による成果である。この時の経験知でポリウレタンの主鎖にホスファゼン環を導入することに成功したのだが、本部長はそれを信じなかった可能性が高い。
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主任研究員は世界初の成果として説明したのだが、本部長は信用せず、始末書を命じたのではないかと当方は勝手に想像している。なぜなら、このような想像で、ホウ酸エステルとリン酸エステルの組み合わせ難燃化システムの新たな企画が始末書として認められたことを説明できるからである。
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おそらく、今ならば本部長の判断を笑う人がいるかもしれないが、昭和とは、そのような時代だった。第一次AIブームがアメリカで起きても日本ではあまり注目されなかった。
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シクラメンの香りが流行した時、当方は大学4年生であり、卒論として逆合成によりデザインしたシクラメンの香りの全合成を卒論として選び、アメリカ化学会誌に投稿している。
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このテーマは、第一次AIブームの時のコーリーの研究が元になり企画されている。シクラメンの香りは大ヒットしたが、アメリカの第一次AIブームは日本でほとんど話題になっていない。
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企業では科学による研究開発を推進するために空前の研究所ブームが起き、前向きの推論が唯一の推論方法であり、第一次AIブームで話題になった逆向きの推論は、日本で刑事コロンボがヒットした程度である。
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ホスファゼン変性ポリウレタンフォームの設計は、逆向きの推論の成果であるが、環状ホスファゼンの高分子量化は困難と言われていた時代に、前向きの推論以外の方法を知らなければ、高分子量体が合成された事実を否定したくなるのももっともである。
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生まれた時が悪いのか、それとも俺が悪いのか、とは、非情のライセンス主題歌昭和ブルースの一節であるが、スーダラ節のあと流行した歌は、暗い歌が多かった。
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横浜、黄昏、ホテルの小部屋、と歌い始めて、最後は、あの人はもう帰らない、となる。横浜から黄昏の推論はよいが、黄昏からホテルの小部屋を推論するには昭和の時代が分かっていないと難しい。
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生成系AIの推論動作を一言で表現するならば、「過去の文脈から、次に最も整合的な状態を逐次生成する確率過程」となり、昭和の時代は、整合性が取れれば、それで泣く人がいても皆が納得した時代である。
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本部長が、科学の世界で環状ホスファゼン高分子は重合が難しい、と信じていたなら、それを簡単に成功させたことは間違いだ、始末書を書け、は、それなりの整合性がとれたので、主任研究員は新入社員に書かせることで納得したのかもしれない。
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<参考>
来週25日(月)に技術情報協会で開催される高分子の難燃化技術に関するセミナーでは、この時開発されたホスファゼン変性ポリウレタンフォームの燃焼時のふるまいを基に考案した新規ノンハロゲン難燃化手法の説明とともに、オブジェクト指向はじめデータサイエンスについて分かり易く簡単に解説する。詳細は弊社へ問い合わせていただきたい。割引サービスがあります。
カテゴリー : 一般
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