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2026.06/30 伝えにくいこと(2)

昨日簡単に当方のサラリーマン人生を書いてみたが、ゴム会社で社長方針に従いセラミックス新事業を立ち上げたり、量産試作で基盤技術がなく量産移行できなかったであろうテーマを無事量産に導いたりしても、出世ができたわけでもなく、会社都合で早期退職日を1年変更しても規程通りの退職金しかもらえず、という状態である。

すなわち、知識労働者は、成果をあげようとも、会社にいくら利益をもたらせても、基本的には大きく給与が増えて報われるということは無いのである。ドラッカーを読んでいなかったら、身近にいた人物から言われたように自死でもしていたかもしれない。実際に、ゴム会社では、当方の仕事ぶりと処遇を見ていた二人の人物が会社に失望し転職している。

しかし、高校時代に父親から「断絶の時代」を渡されて以来、日本で発売されたドラッカー本はすべて読んできたので、納得しながらの人生を送ることができた。ドラッカーは、当方の仕事ぶりと処遇の問題について明快な説明と結論を書いている。

まず、「働く意味」とは、貢献と自己実現にある、と説明している。すなわち、一生懸命働いてもそれが労働の成果として報われることが無い、社会に貢献するボランティアぐらいの気持ちで働き、自己実現に努めると良い、と述べている。

実際には労働契約に基づき給与が支払われボランティアのような無給ではなかったから、当方は報われていたのである。ちなみに大学院を修了し貰えた初任給は月額10万円である。今は、それが3倍近くあがっているので、新入社員は恵まれている。

入社し1年もしないうちに、OA委員に任命されて、上司の主任研究員が保証人となって、会社の仕事をするためのPCを購入し80万円のローンを抱えている。団塊の世代の上司は、年収1000万円前後であり、ローンの額は大したことない、と言っていた(ローンを返済するのが当方であることを忘れていた上司である)が、当時カローラDXの価格は80万円であった。

だいたい大卒初任給の10か月分が大衆車の価格と言われており、今なら日産ノートの価格の1/10が、初任給のめやすとなる。ところが、中間管理職の給与は50年近く経った今でも1000万円前後である。

日産の社長の給与は、ゴーン事件で公開されているのであえて書かないが、ホンダと日産の統合失敗の時の社長の姿を見て、驚かれた人も多いのではないか。中間管理職に毛が生えた程度の働き方で給与はその50倍である。

今年の日産の株主総会がもめて、一人社外取締役が株主の承認を得られなかった。株主があれだけ腹を立てているのだから、従業員はさらに大変だろう。

技術の日産とは、いいスローガンである。経営者がどうであれ、技術者は自己実現に向けて頑張っている姿が込められている。

今回の新車キックスを試乗してみると、開発者のコストダウン努力を感じられる。しかし、決して安っぽくないその乗り味や内装や外観から、トヨタ以上の人材の存在を感じさせる。

コストダウンの流儀がトヨタと異なるのだ。キックスのGグレードは、価格は安くても性能は100万円高いレクサスを超えている。

ところで、初任給と社長給与は50年前に比較して大きく変化したが、中間管理職の給与はほとんど変わっていない現実に気がついて頂きたい。ドラッカーの働く意味から、自己実現に昔以上の比重を置くべき時代なのだ。

全員が社長になれるわけではなく、平均的なサラリーマン昇進の目標は中間管理職である。自己実現目標を勤務している会社に置いて貢献に汗をかくのも良いかもしれない。

しかし、世界に目を向けて、自己実現目標を設定し、サラリーマン以外の道を歩くのも今の時代は選択肢の一つと考えるべきである。それは厳しい茨の道だが,産業界では大きなイノベーションが起きつつある。ディープスマーツを携え、新事業を起こすには良い時代である。

カテゴリー : 一般

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