2026.07/30 樹脂の線膨張
高分子材料の線膨張率は、金属やセラミックスの10倍以上である。Tgの前後ではさらに大きな変化となる。TMAでこのような変化をモニターするのだが、TMAの設定を正しく行わない場合には、その挙動をうまくとらえることができない。
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最近は熱分析技術など、あまり話題にならないが、高分子材料を扱う技術者は、TGAやTMAぐらいは、その原理から測定法まで知っていた方が便利である。
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さて、この高分子材料の線膨張率を下げるためには、フィラーの添加が行われ、1980年代から、様々な特許が出願されている。当方の記憶が正しければ、ソニーのカセットテープ部品に低膨張率樹脂が世界で初めて実用化されてCMでもそれを大きく取り上げていた。
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それまで、金属部品が使われていたところへ、わざわざ樹脂部品を使用したのは、組み立て容易性のためであることは分解して理解できた。3つの部品を樹脂成形体で一つの部品にしたので、コストダウンにつながっているはずである。
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その部品は硬くて割れやすかったので、フィラーがかなり大量に添加されていることを想像できた。さて、射出成形をどのように行っていたのだろうか、と今改めて思い出している。
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小さな部品だったので、恐らく一つの金型で100個ぐらい製造していたのではないか。ここで問題になるのが異方性である。カセットテープ部品の場合には異方性は問題にならない用途だった。
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測定はしていないが、部品の異方性ばらつきは大きかったのではなかろうか。特許を調査すると球状シリカで異方性の問題を解決する手法が紹介されている。
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添加量からパーコレーション転移の閾値以上の添加が重要であることはすぐにわかるが、1980年代の初めには添加量で発明の権利が成立している。おそらくパーコレーションの公知事例が当時無かったので特許が成立したものと思われる。
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カーボンフィラーのパーコレーションが話題になり始めたのは1990年代で、火付け役は当方である。しかし、数学の世界では1950年代からこの現象が議論されていた。
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樹脂の線膨張率では、力学的パーコレーションが問題となる。すなわち、電子伝導では粒子にわずかな隙間があっても導電するが、膨張率のような現象では、フィラーの強固な接触が求められる。ゆえに、パーコレーションの閾値は多少大きい値となる。
カテゴリー : 一般
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