2026.07/29 実験の方法
実験をどのように計画し、行うのか、そのやり方は、大学に進学しなければ学べない、と思っている。大学へ進学しなくても、企業でそれなりの人物が指導すれば、同等以上の実験に関する知識が身につく。
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新入社員6カ月の研修を終えて、10月1日に研究所へ配属されたが、その時出会った指導社員は神様のような人だった。ダッシュポットとバネのモデルから導かれた偏微分方程式を電卓で解き、粘弾性のシミュレーションをされていた。
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そして、そのシミュレーション結果を基に実験計画を立て、新入社員の指導計画とされていた。すなわち、1年間の実験計画が、シミュレーション結果を基に立てられていて、当方は、ただ用意された材料を混練し、シミュレーション結果と比べ考察を繰り返すのが仕事だった。
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2カ月ほど過ぎたときに、配属されたグループが年末に解散されるというので慌てた。結局頑張って1年間の予定で残されていた残課題をすべて1カ月で解決し、報告書に仕上げている。
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10か月分の業務を1カ月で消化できたからくりは、シミュレーション結果がすべて実験結果と一致していたおかげである。すなわち、目標とすべきゴム材料の粘弾性プロファイルが明確になっているので、特定周波数における粘弾性データを取得するだけでよかった。
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すなわち、目標とする配合を見つけるまで、3時間前後かかる、すべての周波数領域のデータを採取する必要が無かった。そして、目標とすべき物性データが得られたなら、丁寧に全周波数領域の粘弾性データを測定すれば、実験時間は計画の30%まで短縮できた。
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さらに、配合データが集まってくると、それを基に重回帰式を組み立て、モデル式により当たり配合を予測し、効率を上げることができた。これは、現在流行のベイズ最適化と類似の方法をベイズ統計を用いずに予測する実験方法である。
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科学の方法では、仮説立案後、その正しさを検証するために実験を行う。仮説の正しさが確認されたなら、次にその再現性を確認するために実験を行う。このように説明するだけでも実験工数がそれなりに要求されそうだ、と予想できる。
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新入社員の3カ月で行った実験は、科学の方法というには杜撰な実験であった。しかし、モノができたのである。この体験は、その後の約50年間行った実験に大きく影響している。モノを開発するのに科学の方法が必ずしも良い方法とは言えない。
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カテゴリー : 一般
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