2019.07/27 英断
大船渡(岩手)最後の夏は、不完全燃焼で幕を閉じた。花巻東との決勝で、2-12と大敗した。昨日の高校野球情報は、このニュースが一面に来ていた。
そして、お決まりのことだが、賛否両論の意見がネットに上がっていた。理由は佐々木投手を温存した監督の判断にあった。
続投が続き、腕に違和感を感じていた佐々木投手を決勝戦で使うかどうかについて、今の時代でなければ、ベンチ入りの判断にはならなかったろう。
高校野球という舞台を考慮すると、これは正しい英断である。某高校の監督は、甲子園を目指していたのだから、佐々木投手を使うべきだった、と述べていたが、これは時代錯誤の判断というしかない。
例え英断であったとしても、結果が悪い場合に批判は避けられない。それが分かっていても、ベンチ入りを命じた監督を当方は優れたリーダーだと思う。
当方は退職前、事務機の部品開発(内製化)を中途で引き継いだ。半年後には製品化という仕事だった。しかし、コンパウンドが原因で歩留まりが10%に満たないような仕事であり、内製化をあきらめ部品そのものについて外部調達という判断をすべき状況だった。
しかし、経験知からコンパウンドの問題を理解できて、混練さえうまくできれば歩留まりが上がると判断できた。
そこでコンパウンドメーカーに解決策をお願いしたところ、コンパウンドメーカーは、形式知からコンパウンドについて問題の無いことを説明し内製化技術に問題がある、と突っぱねてきた。
仕方が無いので、中古混練機を購入しコンパウンドの内製化まで行う決断をしたが、部下の課長から戦力の観点で猛反発された。
部下の課長に、外部のコンパウンダーと同等の扱いをしてもよいから、君が良いコンパウンドを選ぶように、と告げて、中途採用1名と現場の作業者1名でグループを編成しコンパウンド開発を進めた。
3ケ月後には歩留まり99%を実現できるコンパウンド技術が無事完成し、外部のコンパウンダーには状況を説明して諦めてもらった。決断で明暗は分かれる。判断を間違えないようにしたい。
今進められている働き方改革の思想を尊重すれば、部品の内製化そのものをあきらめ、外部調達するという判断が正しいのかもしれない。ただし、この判断は正しいが、コストダウンもできなければ新しい技術も何も生まれない。すなわちGDPで表現すれば0かマイナスの状態である。
3ケ月でコンパウンドプラントを作るために当方は土日返上、時には徹夜までした。明らかに働き方改革に反する判断である。また、このような働き方で成果を出しても退職前の当方は成果に見合う報酬が得られるわけではない。それが分かっていても貢献を第一にGDPの向上を目指し新技術にチャレンジして成功させた。
退職前のリーダーとして働き方改革の思想による判断が正しかったのだろう。しかし、世の中の流れや会社の風土に反した判断をしても、成功したので誰も何も言わなければ報酬も無い。判断が良かった、悪かったなどの批判も出ない。すべて何もなかったように時が流れ、2011年3月11日に最後の日を迎え、帰宅難民となり、最後の日に会社に宿泊できる幸運となった。天だけが応えてくれた。認知症になったとしても、地震が来るたび思い出す一生忘れることのない退職記念日である。
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