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2019.12/18 混練と時間温度換算則

温度変化で高分子は固体から液体まで状態変化をするのだが、レオロジーの現象論的な目的に温度は入っていない。

 

しかし、反応時間について温度をあげると短くなることを経験的に知っているので、レオロジーでは、時間と温度を変換できるのではないかというルール、時間温度換算則を取り入れている。

 

これは、周波数と温度の両方を変化させて粘弾性測定をすると、何万年という時間が必要となるデータが、実験室で短時間に得られる便利な方法である。

 

ここで、各温度のエネルギーに相当する高分子鎖の運動が起きていることを忘れてはいけない。

 

そこでは、結晶化や溶融という相変化、ガラス化という分子運動性の凍結などもこのルールとは無関係に起きる。

 

すなわち、ミクロの高分子鎖の運動からマクロの粘弾性の挙動まで、幅広いスケールで起きる現象を技術者が安心してシームレスに扱える完成された方法は、まだ存在しないので、形式知と経験知とをあわせて注意しながら混練プロセスの考察にレオロジーを活用しなければいけない。

 

それは、ダッシュポットとバネのモデルを紙に描きながらも、頭の中では高分子鎖のレピュテーション運動や局部の回転運動などを思い描くような方法である。このようにして高分子鎖のダイナミックな運動を夢想しながら混練の現象を眺めていただきたい。

カテゴリー : 高分子

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