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2020.08/20 コンセプト(11)

PPSの押出成形で製造された中間転写ベルトを製品に搭載するためには、半年後に歩留まりも含めて生産ができる状態になっていなければいけない状況だった。

 

そのような状況で、前任者から役割を引き継いだのだが、単身赴任前周囲の冷たい視線に十分気がついていた。すなわち、周囲は、成功すると思っていなかったのだ。

 

当方が失敗の責任を取ることになるだろうことは、噂話で聞こえていた。面白いのは、中間転写ベルトを仕上げる工程の担当を依頼テーマとして請け負っていた部門はほとんど何もしていなかったのだ。

 

結局当方がコンパウンドラインを完成させて、中間転写ベルトの素管を生産に間に合わせていざ生産が始まったところ、ある生産技術開発について、すでに基盤技術ができていたにもかかわらず、量産技術を生産の中で四苦八苦しているような状態になった。

 

このあたりは詳しく書けないが、外部、それも日本を代表するようなメーカーから調達していたコンパウンドを生産間際にド素人集団で技術開発するという暴挙ともとれるような方針を周囲にどのように納得させたのか、という点が重要である。

 

製品を担当している全員のサポートを得るためにはコンセプトとそのプレゼンテーションが受け入れられなければならないが、これは企業における企画を実現させるキモとして普遍的なスキルともいえる。

 

答えは一つである。コンセプトが具現化されたモノを作ればよいだけだ。これはゴム会社の研究開発本部長から散々叩き込まれた企画実現の方法である。企画書などいらない、まずモノ持ってこい、というのは、企画会議における本部長の口癖だった。

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