2021.06/29 材料の強度(2)
靭性とは粘っこさ、応力に対してしなやかに、割れにくさなどと表現される。強靭な精神力という言葉から、ストレス耐性の高いモーレツサラリーマンを思い浮かべるかもしれない。靭とはぐっと力がかかった時に柳のようにうまくその力をいなす性質だ。
感覚的には、硬いものは割れやすく、柔らかいゴムのような塊は、金槌でたたいてみても割れずにどこかへ飛んで行く、そのような現象で観察される性質である。
科学的にこの性質を明らかにしようという努力が1960年から1980年頃活発に行われ、その成果は線形破壊力学としてまとめられている。ところが大学ではこの線形破壊力学を教えていない。当方も1970年代に化学系の学生時代を過ごしたが、授業科目に無かった。
金属学部では教えていた大学もあったようだが、化学系の無機材料学科で線形破壊力学を学べる環境は見当たらなかった。このあたりは靭性というパラメーターが形式知として一般的ではないことを表している。
しかし、実務で線形破壊力学について知っているのと知らないのでは現象の見方が異なるので、是非お茶の水の古本屋にでも行って適当な教科書を見つけて勉強してほしい。機会があれば当方が特別講義をしても良いと思っているが、当方の線形破壊力学は少し怪しい内容である。しかし、実務には役立つ、と思っている。
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