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2022.08/26 パーコレーション(1)

高分子材料に他の成分を分散して現れる現象を30年以上前まで経験則である混合則で議論されてきた。当方が帯電防止層で観察された現象をパーコレーションで説明した時にも、他のセッションで混合則による考察がなされていたのでパーコレーションが日本で一般化しはじめたのは1990年ごろのことと思っている。


ポリジメチルシランを用いて世界で初めてSiCを合成されたのは矢島先生だが、ポリマーアロイを前駆体にしてSiCを世界で初めて合成したのは当方であることは、無機材質研究所の先生方がご存知で特許もそこから出願されている。


高分子材料の難燃化技術でイントメッセント系の耐熱層が話題となったのは1990年前後だが、当方は燃焼時の熱でガラスを生成し難燃化する技術を1981年に工場試作している。


汎用二軸混練機に伸長流動装置を取り付けたのはウトラッキーであるが、それを改良しカオス混合による効率的な混練でポリマーアロイの製造に世界で初めて成功したのは当方である。


電気粘性流体について、傾斜組成粉体や微粒子分散型粒子などの特殊構造の半導体粒子が高い電気粘性効果を示すことを世界で初めて実証したのは当方で、その耐久問題も解決している。ただ、パーコレーションについては、世界初であるかどうか自信がない。


何故なら、1950年代に数学者が議論をはじめ、それから40年近く経っていたからだ。そして、シミュレーションプログラムについて論文を書こうと調査したところ、調査の2か月前に学会誌「炭素」に類似のシミュレーションについて論文が投稿されていた。


すなわち、日本化学会で混合則でまだその現象を議論していた時代に、炭素学会でパーコレーションが議論されていた可能性が高い。スタウファーによる浸透理論の教科書が登場したのは1980年代で、当方が初めて指導社員から説明を受けたのは1979年である。


指導社員は、混合則を説明しながら本当はパーコレーションで説明するのが好ましいが、材料屋は信じていない、とぼやいていた。おそらくアカデミックな研究所でパーコレーションが議論された可能性があり指導社員はその議論で周囲から叩かれた可能性が高い。


その後無機材研へ留学する直前にゴムへカーボンを分散し半導体ロールを開発企画していた主任研究員が当方に物性バラツキについて相談してきた。その時にパーコレーションの説明をしたら鼻で笑われた。


ちょうどCの勉強を始めた頃で、Cを用いてシミュレーションプログラムを作ってみようと考えていた頃である。1990年前後まで材料屋には混合則が一般的であったことは確かである。パーコレーションの概念が材料屋にどのように浸透していったのか定かではない。


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カテゴリー : 一般 学会講習会情報 電気/電子材料 高分子

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