2014.07/31 技術者の企画提案力(5)
商品開発に直結した開発部門では、技術者の職人化が起きやすい。しかし一方で市場に直結した部門であり、市場情報に接することが可能なので商品企画を行うには適している。
難しいのは全社共通基盤技術を扱う、いわゆるコーポレートの研究所で起きている職人化防止策で、企画提案という策を用いる前にそもそも働く意味から指導しなければいけないケースもある。
コーポレートの研究所には大学に置かれた研究所と勘違いしている技術者がいる。そもそもコーポレートの研究所でも技術者が働いているはずなのだが、専門研究を行う職人ばかりになっている会社もあるかもしれない。
ゴム会社から写真会社に転職して配属された部署にそのような職人があふれていた。極めつけは、毎日出社して図書室へこもり本ばかり読んでいる人がいた。参考文献を調べている、と書きたいところだが、目的が不明確であれば何の参考になるのかも分からないので、ただ本を読んでいる状態に等しい。
20世紀には科学技術はどんどん細分化され、そしてその狭い領域を深く追求してゆくことが進歩だと考えられていた。企業のコーポレートの研究所の中には大学よりも先鋭化したところも出てきた。
昭和40年代に始まった研究所ブームで多くの企業で「中央研究所」が作られた。一時期その見直しが行われたが、それなりの貢献が認められていたのでバブルがはじけるまで細分化された機能研究所形式が日本企業のコーポレート研究所における姿だった。そこでは専門家という職人が多数育成されていった。
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