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2014.12/17 高分子の難燃化と評価技術(3)

UL94-V2試験では、サンプルを垂直に保持する点でLOIと同じだが、着火は下から行う。ゆえに溶融物は下に落ちて火が消える。

 

ただし、高温で溶融しやすい材料がすべてこのような結果になるわけではない。UL94-V2試験に合格するように「巧みに」材料設計された場合だけである。

 

高温で溶融しやすい材料でもUL94-V2試験に不合格となる材料は存在し、このLOIが仮に20.5であったとしても、UL試験を行うと廃PETボトルを80%含む樹脂よりも燃えやすい材料との判定になる。

 

UL試験は、アメリカの民間会社の評価試験法だが、材料の用途における実火災との対応についてよく考えられた試験法として、多くの分野で規格として採用されている。

 

燃焼時にチャーと呼ばれる炭化層を積極的に生成する炭化促進型難燃化手法で材料を設計しようとする場合に、LOIは他の難燃性試験法よりも実験室で重宝する。

 

例えば、UL94-V0以上という高い難燃性を実現する材料を設計したい時に、溶融型で高分子の難燃化設計はできない。そのためLOIで21以上となる配合を探索しなければならない。

 

この段階で難燃化という機能について、材料設計コンセプトからチェックしなければいけない高分子の高次構造因子があれば適宜汎用の分析評価を行う。

 

燃焼では高分子の熱特性が重要になるので、熱重量分析(TGA)や熱機械分析(TMA)、熱走査時差熱分析(DSC)が主に用いられる。難燃剤の分散状態を知りたければ電子顕微鏡もその手段の一つとして加える。難燃剤の計量を簡便に行う方法として赤外分光法(IR)がある。

 

ノウハウになるが、先に説明した廃PETボトルを80%含む樹脂では、粘弾性評価装置も難燃性の設計に使用している。

カテゴリー : 連載 高分子

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