2015.06/04 成形技術の難しさ(押出成形)
パーコレーション転移という現象が顕著に品質へ影響するケースでは、混練工程でパーコレーション転移が安定になるまで混練されていないと、成形工程で痛い目に遭うだけでなく、成形工程だけで品質問題の解決を行うことは難しい。コンパウンド段階でパーコレーション転移の問題を解決しておくのが技術的に正しい方法と思っている。そのためのプロセシング技術を心がけてきた。
特に押出成形は、ゴム押出工程の現場で「行ってこいの世界」と表現されているように、混練された材料の性質がそのまま成形体に現れる。押出成形で材料の性質を変える、あるいは成形体に発生した材料起因の問題を解決することは不可能である。
樹脂に導電性のカーボンを分散し、半導体ベルトを製造するときに熱可塑性樹脂を用いたい場合には、押出成形が使用されるが、ベルトの周方向における抵抗の安定化という問題が必ず起きる。金型で解決できる場合もあるがその対策にも限度がある。キャスト成膜で製造されるベルト以上に精度を上げることができない。キャスト成膜でも乾燥工程で均一に保つことが難しく、どうしても周方向の抵抗偏差が現れる。
実はコンパウンドさえうまく製造できれば、押出成形のほうがキャスト成膜よりも精度の高いベルトを容易に製造可能である。コンパウンドに配合された導電性微粒子の分散状態が成形温度まで安定になっているように、すなわちパーコレーション転移が完結した状態になっているように混練を進めておけばそれを達成できる。
導電性微粒子の分散が樹脂の溶融温度を過ぎても変化しないコンパウンドを製造するためには、混練で材料が平衡状態に達するまで時間を掛ける必要があるが、経済的な制約のため不可能である。混練効率を上げる以外に方法はない。ご興味のあるかたは問い合わせていただきたい。
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