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2015.07/08 シリコーンゴム(1)

主鎖がSiOで構成されているシリコーンゴムは無機高分子の代表的素材である。工業的に使用されているのは、ミラブルタイプとLIMSタイプの二種類である。前者は、高分子量のシリコーンを架橋したゴムで、後者は低分子量体を反応させて高分子量化するとともに架橋を同時に進行させて製造したゴムである。

 

1980年代に普及が始まったシリコーンLIMSは、瞬く間にシリコーンゴムの主流になった。身近に接するシリコーンゴムの大半はシリコーンLIMSである。ただやっかいなのは、この分野の情報は特許情報が最先端であり、最近は科学論文であまり取り上げられない。理由は過去のシリコーンの科学でその理解ができるぐらいに20世紀に研究が進んだからである。

 

但し理解はできるが、技術内容が複雑なため誤解も多い。退職前の5年間PPS・ナイロン中間転写ベルト事業立ち上げのため、豊川へ単身赴任したが狐にだまされて転写ベルト以外に様々な仕事をすることになった。このシリコーンゴムの仕事もその一つだが、単身赴任してすぐに福建へゆくことになりびっくりした。

 

福建はウーロンティーで有名であるが中国マフィアの巣窟とも言われている。そこで定着ローラーを生産している日系企業の指導をすることになった。高分子学会の無機高分子研究会でシリコーンゴムについて勉強していたので予備知識があり苦労はしなかったが、困ったのは現場技術者の無理解である。技術として長年開発をやり続けてきた自信から、科学的知識を馬鹿にする。

 

科学では真理は一つだが、技術では技術者の数だけ真理が存在する。機能が実現できれば、その機能を支える自然現象の理解は自由だ。科学で理解を進めれば真理は一つになるが、技術者の勘と経験の世界からの理解では真理は技術者の数となる。当方は技術者の真理を尊重しているのに相手は科学の真理を馬鹿にする。これでは話が進まない。それで現場で説明をすることになり、福建へ急遽ゆくことになった(続く)。

 

 

カテゴリー : 電気/電子材料 高分子

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