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2020.06/08 混練技術

混練技術についてシミュレーションが可能と誤解されてる人は多い。また、そのためのソフトウェアーも市販されているために、その成果に期待し購入後失望するケースもある。

当方も2005年の時に混練技術のシミュレーションを試みたが、シミュレーション結果は役立たなかった。おそらく今でも同様の状況だと思う。

結局混練の経験を積まない限りこの分野の技術を理解することができない。そんな状況を少しでも改善したいと思いまとめたのがこの著書である。アマゾンでは消費税込みで5000円以上の価格がついているが、弊社へお申し込みいただければ、ただいまサービス価格でご提供中です。

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2020.06/07 ポアソン比

ポアソン比とは、1800年代に活躍した、シメオン・ドニ・ポアソンという物理学者が見出した物性値である。

 

一般に材料は、引っ張ると荷重方向(歪a)と荷重に垂直方向(歪b)で変形が生じる。この時b/aをポアソン比と言い、0から0.5の範囲となる。

 

ポアソン比が0に近い物質とは、応力と垂直方向において伸び縮みしない物質で、例えばコルクのような多孔質の物質である。

 

一般の材料は、0.2から0.4の範囲に収まり、多くは0.3前後であるが、体積一定の変形が可能なゴムの場合には、0.4から0.5となる。

 

金曜日夜あるいは、土曜日朝放送された「チコちゃんに叱られる」では、アカデミアの先生がビーカーとメスシリンダーに水を入れて見せて、ゴムの体積一定の変化をうまく説明していた。

 

昨日朝も同じ番組を見ていて、アカデミアの先生が実験して見せてくれた部分に触れないのも失礼かと忖度し、本日取り上げてみた。

 

カテゴリー : 一般 高分子

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2020.06/06 昨日のチコちゃんに叱られる

昨日本欄でゴムのことを少し書いたら、NHK夜の番組で、ゴムを引っ張ると縮むのは何故、という質問が出た。

 

その時のアカデミアの先生の説明では、水のようだから、というのが解になっていたが、もう一言「お手々つないだ」水のようだから、としてほしかった。

 

なぜなら、未加硫ゴムを引っ張れば、ズルズルと伸びて変形したままになるからだ。昨日書いたように、ゴムは加硫することで一般に感じているゴム弾性を示すようになる。

 

もちろん未加硫ゴムでも微小変形において弾性を示すが、昨日の質問は大変形時の弾性について答えるべきだったと思う。

 

ゴムはアカデミアの先生が説明されたように室温では各原子が自由に振動し動いているが、引っ張られると各原子がつながっているためにその自由度が小さくなる。

 

この時の気持ちを考えれば自由に戻りたい、と考えるだろう。だから縮む方向へ戻ろうとするので、昨日のアカデミアの先生が茶目っ気たっぷりに引っ張られたときのゴムの気持ちを考えて、と言われたのは、番組へのサービス精神だ。

 

当方なら恥ずかしくて言えない。なお、このような自由度が束縛される、あるいは場合の数が減少するような変化は、エントロピーで表現されるので、ゴム弾性のことをエントロピー弾性と呼んだりする。

 

但し、このような説明では昨日の番組で却下されただろう。物事をわかりやすく説明するということは、易しいようで大変難しい。難しいことを難しく説明するのは易しいことである。チコちゃんを見ていると、この年でも気づきに巡り合える。

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2020.06/05 ゴムにもいろいろある

タイヤのゴムは、ゴムの高分子を加硫して製造される。加硫を簡単に説明すれば、ゴムの高分子の一部を互いに反応させて網目状にするプロセスである。

 

ゴムは、加硫してはじめてゴム弾性を示すが、加硫しなければ流動するので用途が限られる。

 

その昔、ゴムとイオウを混ぜた状態で暖炉の近くに置いていたら、流動性が無くなり硬いゴムとなったので加硫という反応が技術開発された。

 

昔は、ゴムと言えば加硫ゴムだけだったが、最近は、熱可塑性エラストマーというゴムと樹脂のハーフ高分子もゴムとして普及している。

 

この熱可塑性エラストマー(TPE)は二軸混練機で製造されるので加硫ゴムよりも安価である。車のワイパーのゴムは、高級車でない限り、TPEが使われている。

 

そのほかに、シリコーンLIMSから製造されるシリコーンゴムは、大半がスタティックミキサーで混練されており、プロセスコストは安い。

 

シリコーンゴムについて、昔は加硫ゴムだけだったので高級品以外使用されていなかったが、最近はシリコーンLIMSの普及でゲーム機のカバーなどにも使われるようになった。

 

 

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2020.06/04 二軸混練機

ゴム会社に入社したときに、なぜゴムを二軸混練機で練らないのか、という議論があった。

 

ちなみにタイヤ用の高性能ゴムは、当時より40年以上経っても、効率の悪いバンバリーとロールによるプロセスで今でも混練されている。

 

それなりの工夫をすれば、二軸混練機でもゴムを混練することは可能であるが、「それなりの工夫」が大変なので、バンバリーとロールで混練している。

 

二軸混練機を用いてプロセスを設計すれば、バンバリーとロールを用いた場合よりもコストダウンが可能であるが、高性能のゴムを製造する場合には、それができない。

 

身の周りにはゴム製品が多いが、運動性能についてそれほど高い要求が無ければ、二軸混練機を用いたプロセスでも製造可能で、ゴムの種類によっては、スタティックミキサーで済ませている場合もある。

 

このことから、二軸混練機の混練性能がバンバリーとロールを組み合わせた場合よりも低いことを理解できるが、それぞれの混練時間を考慮すると、この両者のプロセスに極端な性能差があるわけではない。

 

そのため、40年以上前にはゴム会社で二軸混練機に触れる機会は無かったが、最近は工程にそれを見つけることができる。

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2020.06/03 非科学的問題

大学入試問題はじめ、試験というものは唯一の答えが導かれる問題が採用される。それにより、試験担当官の意思が入って選別が不公平となるのを防ぐことができる。

 

唯一の答えが導かれる問題を作成できるのは、知識が科学的体系で構築されているからだ。換言すれば科学的体系で構築された知識、すなわち形式知の有無を試すのが試験問題である。

 

しかし、日常発生する問題では、必ずしも唯一の答えだけで解決できるとは限らない。例えば今回のコロナ禍では、日本の死亡者数変化が世界のどの国とも異なるグラフとなっている。

 

これは日本のウィルスバスターが、世界と異なる戦略をとり、都市封鎖をすることなく医療崩壊を防ぎ、感染者数の増大を防いだためだ。

 

この科学に時代に答えが二つ以上あるような大問題が起きたのだ。これは、また感染症の科学が他の科学分野に比較して遅れていたことにより生じている。

 

実は、感染症はじめ医学の世界は、未だ職人が活躍できる世界なのだ。包丁一本晒しにまいて料理人が活躍できるように、メスをうまく活用できればブラックジャックのような名医となれる時代である。

 

このような分野では入試問題のような科学的問題よりも非科学的問題に遭遇する事態が多い。そして今回のコロナ禍で明らかになったことは、我々の日常はこの科学の時代であっても非科学的問題の方が圧倒的に多いことだ。

 

そして一たび非科学的な大問題が発生すると認識の違いから様々な解が提案されることになり、混乱が引き起こされる。そして正しい問題すら見えなくなるのだ。ドラッカーは、「正しい問題は何か」を考えることが重要と半世紀以上前に指摘している。

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2020.06/02 ゴムや樹脂を混合

ゴムや樹脂を混合する技術は、粉末を混合する技術に比較し難しい。粉末の場合でも凝集粒子の問題があるが、高分子では分子の絡まり具合もそのプロセスで制御しなければいけない。

分子レベルのそのような制御が二軸混練機で可能かどうか、という議論があるが、仮に精密制御が不可能であっても、品質を安定にするためには管理できる程度の制御技術が必要になってくる。

本書では従来の書に書かれた分配混合や分散混合の考え方も取り上げているが、従来の書に不足していた高分子を練るという視点に立って経験知を取り入れて混練プロセスについて解説している。

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2020.06/01 ポストコロナ禍(2)

中国武漢の騒動は、昨年末突然現れた。しかし、ウィルスの問題については、ダスティンホフマンの映画を持ち出すまでもなく、起こりうることなのだ。

 

セラミックスフィーバーが社会現象として起きて、社長方針まで出されても従業員は他人事のようにしていたが、世界5位の会社が3位の会社を買収し、1位を目指すとなった時に、社内は大変な騒ぎになった。

 

内部留保は0となり、本当に会社は大丈夫だろうか、という心配をしなければいけない状態になった。追い出し部屋ができ、すさまじいリストラが進められてゆく。そして社長方針の事業を推進していた当方のFDを壊されるような事件が起きる。

 

サラリーマン時代に尋常ではない体験をしていると、今回のコロナ禍がどのように社会を変えてゆくのか不明でも、それなりの覚悟はすでにできている。

 

実は、環境の変化に対して、恐怖感を持つよりもそこに希望を見出すような生き方をした方が、精神衛生上よいことは多くの人は分かっていても、環境変化を受け入れる段階で挫けてしまうものだ。

 

当方も左遷された時にそれを変化として受け入れることがなかなかできなくて、挫折しそうになった経験がある。ギブソンES335を衝動買いしたのは、何とかそれで自分を支えようとした行動だった。

 

よく成功体験の重要性を言われるが、成功体験をしていてもそれを思い出せないほど挫折した時にどう対処したらよいのか。当方は、ギターの練習をしながらただひたすら学生時代を思い出した。

 

おそらくポストコロナ禍の社会変化は大きいだろうが、人間は生きてゆかなければいけない。もしそうならば、そこに希望を見出せるように、過去の人生経験から今を見つめなおしてみるのは良い方法と思っている。

 

その時成功体験があろうがなかろうが、楽しかった思い出の一つや二つぐらいは誰でもあると思う。その思い出を今一度実現するにはどうしたらよいのか考えるのは、ポストコロナ禍を考えるときのヒントになる。

 

小さなことでもよい。何か一つ変化した環境の中で再現するための方法を考え出すことができれば、それをほかのことにも応用してゆけばよい。過去の楽しい経験の再現であれば、それは立派な希望である。

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2020.05/31 ポストコロナ禍(1)

高純度SiCの事業を住友金属工業とのJVとして立ち上げながらも大変な目にあって写真会社へ転職した当方なので、当時のことを書いても許されると思うが、当方がゴム会社で高純度SiCのシナリオを最初に提案したのは、ゴム会社の50周年を記念する企画の一つである全社論文募集の機会だった。

 

当時のゴム会社は、世界5位のタイヤメーカーだったが、日本でダントツトップとなり次なる目標を模索している時だった。そこでCIを導入し社員の意識改革を狙って故服部社長は50周年記念論文の募集を行った。

 

世の中はセラミックスフィーバーが吹き荒れていた時代で、社長方針に未来のゴム会社の3本の柱の一つとしてファインセラミックス事業が盛り込まれていた。

 

だから、論文は、社長方針の3本の柱であるメカトロニクスや電池、ファインセラミックスに関わる内容が幾つか集まると社長は期待されたかもしれないが、最初の締め切りで集まった論文数は片手にも満たなかった。再募集をかけてようやく8件集まるという期待外れの結果だった。

 

当方は8件ならば、何か良い結果でも、と期待していたら、高純度SiCのシナリオは、審査員の眼鏡にかなわず、3位以内に入らなかった。ちなみに1位は、豚の繁殖力と牛のうまさを掛け合わせたとんぎゅ-なる生きものを事業とする内容を提案した人物の作品だった。

 

審査員は有名大学のタレント教授だったが、この教授にボツにされたシナリオがその後社長の先行投資を受けて、新事業として30年続いたことを思うと、タレント教授に審査委員としての能力が無かった、というしかない。

 

その数年後ゴム会社は、世界3位のタイヤメーカーを買収し、世界一位の会社を目指すのだが、名実ともに安定した1位になるまでに20年近くかかっている。その間、社内は大変だった。

 

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2020.05/30 ウィルスとの戦いは技術的である

ウィルスバスターは、ワクチンがあればそれを利用し集団免疫による戦略をとれるが、新型コロナウィルスに対してはワクチンが無いので行動変容すなわちウィルス出現前の行動と出現後の行動を変える方法でウィルスに対抗している。

 

すでに衆知なった、3つの「密」を掲げた行動変容がそれである。ワクチンによる集団免疫は科学的に理解しやすいが、行動変容は科学的にとらえにくい。

 

2ケ月前3月22日に放映されたNHKの特番で、ウィルスバスターは毎日のデータを見て考えながら対策を練っていると回答している。

 

すなわち今取られている戦略は、どちらかと言えば科学的ではなく技術的と表現したほうが正しいのかもしれない。

 

当方はサラリーマン時代に科学的ではない方法で高純度SiCの新規合成法の開発やカオス混合プロセスの発明、帯電防止層の開発、そして転職する原因となった電気粘性流体の耐久性問題の解決などの成果を出してきた。

 

当方の成果だけでなくノーベル賞を受賞している山中先生もヤマナカファクターをあみだくじ方式という非科学的な方法で開発している。

 

すなわち、科学的ではなくても成果を出せる方法があるのだ。行動変容という戦略では、科学的に議論を進めにくいので、当然担当している研究者以外からは批判が出てくることもある。

 

しかし、相手は見えない敵であり、科学的に100%勝てる方法が無い限り、非科学的方法でも明るい未来が見えるならば、一致団結して日本のウィルスバスターに協力した方が良い。

 

 

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