NHK大河ドラマ「いだてん」の視聴率が悪い、との評判である。この番組は最初から見ているが、確かに面白い番組ではない。
ただ日曜の習慣で見ているのだが、裏番組が面白い時には2画面にしてみるようにしている。
つまらない番組なのに、どうして2画面にしてまでも見ているのかと言うと、時折古い時代のフィルムが挿入されるからだ。
ところでこの番組のつまらなさはどこにあるのかと言うと、「難しい」の一言である。時々話の展開に頭がついていかない。
主役が二人いるのも話を分かりにくくしている。それなのに、話の展開で、主役が三人以上増えたりする。
また、時代が現代と錯綜したり、時代考証が間違っていたりする。これがさらに頭を混乱させる。すなわち、演出と時代考証がいい加減なのだ。
この番組の時代については、よくわかっている視聴者もいるはずで、当方も東京オリンピックの時代については今でも鮮明な記憶がある。
その記憶をぶち壊すようなドラマでは面白くないのは当たり前だ。面白くないけれど、ただ昔から大河ドラマを見続けてきた、という習慣で眺めている。
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昨日音工房Z主催のスピーカー試聴会に出かけた。驚いたのは参加者が70前後の老人ばかりだったことである。
もっとも平日の15時ということで、この時間帯で暇な人という説明がつくが、若い人にオーディオと言う趣味が死語となり、オーディオ専業メーカーの倒産や統合が続いている時代である。パイオニアもオンキョーも今年外資になった。
耳の悪くなった老人ばかりでスピーカーの試聴会だから、「視聴会」と書いたほうが良いかもしれない。
1台100万円を超えるJBLのスピーカーと音工房Z開発の新作1セット数万円のスピーカーとの比較と言う大胆な企画である。
昨日は、6000円程度の雑誌の付録スピーカーとの比較もできたので面白かったが、スピーカーと言うデバイスは箱の設計で大きく性能が変わることを十分に理解できた。
40年近く前にオーディオ評論家という職業が成立していた。今残っている定期刊行のオーディオ雑誌はSTEREOのみで、もうオーディオ評論家は食べてゆけないだろう。
音工房Zは弊社が事業をスタートしたころに誕生した会社だが、木工技術に着目し事業を展開しているところが面白い。デジタル技術がいくら進歩しても、音の出口はアナログから進歩しない珍しい技術分野である。
音の出る原理やそれを電気的に実現する方法が分かっても科学ではこれ以上進歩させることができないのかもしれない。
BOSE社は音場再生を科学で解明し、オーディオ分野に進出したブランドで我が家のメインスピーカーは、天井からぶら下がっているBOSEだった。しかし、昨年組み立てた雑誌の付録に音工房Zのキットを組み合わせたスピーカーの方が良い音がする。スピーカーは、もはや価格や科学ではどうにもできないのだろう。
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微粒子(無機フィラーや有機フィラー)とともに高分子を混練した時の分散・分配モデルは、よく整列した白黒の球の配列で示される。
ところが、二軸混練機で混練後のコンパウンドを押し出すと、混練後であってもマトリックスが緩和するまで分散状態は変化する。
例えば、無機微粒子を分散したコンパウンドを押出後、混練機の中で均一に分散していても、押し出したフィルムの冷却速度を変えると分散状態が変化することがある。
この現象は、混練後に組成物が平衡状態になっていないことを意味している。例えば、組成物の自由エネルギー変化を混練時間変化のイメージとして頭に描いてほしい。
あるレンズ用ポリオレフィン樹脂をバッチ式のニーダーで混練した実験では、ポリオレフィン樹脂だけを混練し、一定時間ごとに取り出して、直後に液体窒素で冷却し、冷却後の試料についてTgのエンタルピー変化(ΔH)を測定している。
この実験結果では30分以上混練をしないと、これが一定値にならないという実験データが得られた。すなわち、試料投入後4-5分で吐出される二軸混練機では、1PASSで平衡状態まで混練することができないことを示している。
その結果として、コンパウンドのペレット一粒一粒で分散状態が変化している。極端な場合には、電子顕微鏡でその様子を観察することが可能だが、成形体物性がばらつくことからもおおよそ想像がつく。
中間転写ベルトでは、周方向の抵抗ばらつきが一定でないだけでなく、時々刻々と周期的な変化をすることもあった。単純な押出成形のばらつきでは説明できない現象をコンパウンダーに説明しても分散分配理論で固まった頭では理解できない。
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神戸市小学校教諭のいじめの問題について、読売テレビで前校長が、「気がつかなかった、管理職として反省している。」と述べた後、「本人から相談が無かったのでわからなかった。」と言い訳をしている。
「報連相」という言葉があるように、組織内における「相談」は重要なコミュニケーションスキルとして組織人に求められている。
しかし、大人のいじめは、「本人が相談しにくい事情」や「相談しても理解されにくい」問題であることを組織管理者は気がつくべきである。
今や、ハラスメントは組織の重要な問題として扱われるようになったが、同僚によるハラスメントは、隠蔽化されやすい。
当方がゴム会社で高純度SiCの事業を推進していたときにも、大小のいじめがあったが、相談しても誰もとりあってはくださらなかった。
FD問題についても単なる事故として取り扱われた。他部署の実験室で間借りして使用していた電気炉を廃棄処理されても管理していなかったので当方のミスとして説得された。
研究棟の設備を廃棄してLiイオン二次電池の開発チームに引き渡す話に関しては、役員に相談して初めて解決している(相談せず、周囲の勧めで設備を廃棄していたら当方の責任になる問題だった。)。
当時のいわゆる「いじめ」について、激辛カレーを目にこすりつけられるような肉体的問題は起きていないが、精神的ダメージを受ける「いやがらせ」は、FDの破壊についてさえ被害妄想として扱われている。
組織風土が不健全な場合には、大人のいじめは隠蔽化される、ということを組織管理者は知っておく必要がある。
職場の健全性を確認する手段として、いわゆるアルコールコミュニケーションがあるが、最近は難しくなっている。
職場における管理職と部下との個人面談を少なくとも月1回の頻度で行う必要があるが、その時、業務のゴール管理における障害事項だけでなく、人間関係の些細な問題を聞き出すためのスキルが管理職に必要な時代だ。
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東京大学入学式で述べた祝辞が大きな話題を呼んだ上野千鶴子氏の石川県立金沢二水高校新聞1966年1月17日号に掲載された文章を先日見つけた。
上野氏が高校2年の時に寄稿した高校教育論である。53年前に書かれたその文章の内容について、同じ時代に中学生だった小生には、よく理解できる。
ただし、今でも大きく変わらない高校教育の現状と、社会を経験してきたこの年齢、当方の高校生時代などいろいろ思いめぐらしながら、その文章を読むと、理解はできても物足りなさを感じる。
最も上野氏17歳の時の文章だから「青さ」があっても当たり前だが、それを今更掲載した教育ジャーナリストは、上野氏の了解を得たのだろうか。
多くの大学教育でさえも学問と呼べないような授業が行われている日本で、さらにはSTAP細胞の騒動で露見した、一流大学におけるいい加減な学位授与の状況では、学問の視点ではなく日本の高校教育の教育としてのまともさが際立ってくる。
思春期は生意気に教育批判をしたがる歳でもあり、そんな時代に亡父から評論している暇があったら読書をしろと、ドラッカーを勧められた。教育環境は学校だけではない。
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日本はスコットランド戦で勝つか引き分ければ1位突破が決まる。敗れても4トライ以上かつ7点差以内でボーナス点(BP)を2点獲得すれば1位。勝ち点16でアイルランドと並ぶが、直接対決で勝っている日本が上位となる。BP1点で敗れた場合はスコットランドを3トライ以下に抑えれば2位突破、4トライ以上奪われれば敗退する。BPを得られずに敗れた場合も敗退する。
昨日は、このような前提条件の中で、スコットランド戦を観ていた日本人は多いのではないか。
選手たちにもこの条件が、徹底して知らされていたかのような試合展開だった。4トライ以上しての勝利である。万が一負けてもボーナスポイントで決勝トーナメントに進めるように試合を組み立て、それを実行していた。
ラグビーというゲームは、戦略と戦術、そして徹底したチームプレーでそれを遂行しなければ、勝てないゲームだと、高校時代の元ラガーマンは、先週中華料理を食べながらラグビーというスポーツについて語ってくれた。
今年のワールドカップでにわかラグビーファンとなった当方は、昨日の試合をより一層楽しむことができた。
個人のスキルが高い選手を揃えてみても組織だったチームプレーが崩れると負ける。すなわち、個人のスキルよりもチームへの「貢献」が重要なゲームである。
これは、圧倒的な高いスキルを持ったスーパースターを抱えたチームが強いサッカーと大きく異なる。
また、ボールを前へ投げることが許されていないラグビーでは、チームプレーだけでは点を取ることができず、ゲームの進行中に一人一人の判断力が勝敗を分ける頭脳ゲームでもある。ゆえに、片方のチームが時として0点で終わるゲームも出てくる。
アメリカンフットボールは、攻撃チームと防御チームに分けてゲームを進めるようにルールを変更し、攻撃中に一度だけ前へボールを投げることを許し、点を取りやすくしている。
日大のアメフト問題で、一時アメリカンフットボールに興味を持って観戦したが、ラグビーの前へボールを投げることができない不自由さは、大きな投資を期待できない中小企業の経営に似ている。
また、経営の下手な大企業は、弱いアメフトチームに似ている。一生懸命走らないような選手にボールを投げて、ゴールを目指そうとする。また、判断してもチャンスに行動できない公務員的社員に対し、徹底したラグビー経営へ舵を切り、利益を出すことができない。
おそらくワールドカップが終わると、ラガーマンを講師にした社員研修を行う会社が多くなるかもしれない。しかし、大企業ではあまり効果が無いかもしれない。
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ゴム会社では、ゴム材料の配合設計技術や混練技術以外に、高分子の難燃化技術、電気粘性流体、Liイオン二次電池、切削工具、高純度SiCの合成技術、焼結技術、樹脂発泡体技術などを12年間に経験している。
この中で、ゴム材料の担当期間は3ケ月と短いが、最も高いスキルを得ることができたのではないかと思っている。
それは、写真会社を早期退職する5年前に中間転写ベルト用コンパウンド工場を基盤技術0の会社において立ち上げることができた実績から証明されている。
その工場はカオス混合技術の実用化を基礎研究無しで、20年以上前の形式知と経験知だけで成功している。材料技術では、このようなことが可能である。
電気電子回路技術などのシステム思考が要求されるような技術開発ではこのようなことは難しい。
セラミックスから高分子材料まで扱ってみるとわかるのだが、形式知として体系化されている領域が偏っている。開発業務における実務の世界で接する材料というのは、まず非平衡状態であることが問題だ。
未だに非平衡状態を完璧に扱える形式知は存在しない。ゆえに時として形式知で理解できない現象に接する場合がある。
そのような現象に接した瞬間が材料技術では重要で、形式知で扱えるようにモデル化するのか、形式知で扱えない現象として素直に受け入れることができるのか判断しなければいけない。ただし、後者ができるためには経験知が体系的に整理されている必要がある。
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政府を中心に人生100年時代が盛んに議論され、70歳定年制が現実味を帯びてきた。こうなると大企業は大変である。
70歳までの就業機会を企業が確保しなければいけないが、働く方も覚悟がいる。すなわち、70歳まで働けるようなスキルを常に磨かなければいけない。
また、そのために、政府や企業は、人材育成支援をしなければいけない。弊社はそのような時代を当て込んで起業している。
大々的なPR活動を行っていないので、なかなかそのような依頼が多くない。また、今月は特別価格15,000円のセミナーを開講しているが、応募数は多くない。
弊社では、現在開講している技術セミナー以外にも「研究開発必勝法」というプログラムを用意している。
これはまさに70歳定年制にむけて、高齢者を戦力化するに適したプログラムだ。高齢者は、自らの経験知を活かしつつ企業の研究開発活動に貢献しなければいけないが、これがなかなかうまくマネジメントできない若手が多い。
高齢者をどのように戦力として使ってゆくか、高齢者の当方には良いアイデアがあるのでぜひ相談してほしい。
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9月22日(現地時間)に進次郎氏が国連で「気候変動のような大問題にはセクシーに取り組むべきだ」などと発言したことがきっかけで、WEBでそのまねをする風潮が現れた。
中には、その言葉特集を行っているサイトもある。また、「大喜利」と称して競って彼が言いそうなフレーズを取り上げているところもある。
その中の「年末年始。年の瀬。師走。こういう言葉を聞くたびにね、いつもこう思ってきました。もうすぐ新年だな、と」には、笑ってしまった。
この手の内容のない発言は進次郎氏に限ったことではなく、多くの人が日常接していても、それを批判しない。
ゴム会社では少なかったが、写真会社では多かった、というように社風とか土地柄、国民性も内容のない発言を許容することと関係しているのかもしれない。
一言何か言わなくてはならない役目の人が、周囲に慮って無難な発言をすると、皆進次郎発言のようになる。
当方は内容のある発言を具体的にする傾向があるので、時としてその内容が、真実かもしれないけれどとか、その内容を実現できるのかなどと逆に問題として取り上げられたりした。
例えば、退職前に担当した中間転写ベルトの開発では、「コンパウンドを新たなコンセプトで開発しなければ、このテーマは実用化できない」と初めて出席した挨拶として明確に言ったところ、部下の課長はじめコンパウンドメーカーの担当者まで、会議に出てくるな、という大合唱がおこった。
いくら真実であっても、その真実についてあらかじめ根回しとかされていないと、それを否定してくる。それでは、否定をしている人が代案を言うのかと期待していると、現状維持の内容のない発言しかでてこない。
その経験から進次郎発言については、内容のある発言は銀、内容の無い発言は金である、ととらえている。
内容のある発言は、その内容が共有化されてからするのが無難であり、率先して発言すればその内容が斬新であれば斬新であるほど誰かにたたかれる。
(注)コンパウンドメーカーとの打ち合わせでは、影響力の強い真実の発言となった。ただし、TPOをわきまえなければいけないことを十分に理解したうえでの発言である。開発期間も十分にない状況では、手遅れとなることが一番の問題だったので、内容の濃厚な発言となった。このように内容のある発言が、いつも良い結果を招くとは限らないし、内容のない発言で先送りしていては、何も問題解決しない。ちなみに、「会議に出てくるな」の大合唱に応えて、数年間行われてきた他社とのプロジェクト会議など当てにせず、新たなコンパウンド工場を計画しプロジェクトを成功させた。その結果、コンパウンドメーカーは市場を失った、という結末である。リーダーにはプロジェクト全体を成功に導く責任がある。新参者でも軽く扱うべきではない。
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おめでたいできごとだ。旭化成名誉フェロー吉野彰氏がノーベル賞を受賞された。Liイオンがインタカレーションされて電極に貯蔵されるリチウムイオン電池について現在の形で技術を完成された研究者である。
実はあまり知られていないがLiイオン二次電池を世界で初めて世に出したのはゴム会社とプリンター会社で、両社の共同事業の成果は1988年に日本化学会化学技術賞を受賞している。
但し、その時の電池の設計は現在のLiイオン電池の機構と異なり、電池の容量もコンデンサーに毛が生えた程度、とも揶揄されている。
ゴム会社では1984年にコーポレートアイデンティーを導入し、3つの社長指針が出され、そのうちの一つ、事業領域を拡大する、の中身に「ファインセラミックス」「電池」「メカトロニクス」を3本の柱として推進するとあった。
ファインセラミックスは、社長の先行投資判断で無機材質研究所の留学を途中でやめて始められた高純度SiCの事業が相当し、電池は1980年に企画(1977年に白川博士によりポリアセチレンの導電性デモが行われている)されたポリアニリンを正極に用いたLiイオン電池、メカトロニクスは電気粘性流体がそれぞれ相当する。
いずれもゴム会社で事業化されるが、最も長く続いたのは半導体治工具用高純度SiC事業で30年である。あとの二つは訳ありの短命であるが、実は、この二つのテーマに当方は、応援社員として関わっている。
電気粘性流体について過去にこの欄で、耐久性問題の解決や、三種の粉体、難燃製油などの成果を解説している。難燃製油はLiイオン電池の難燃剤としても使用されているホスファゼンである。
ポリアニリンLiイオン電池の事業が立ち上がった時に当方はそのプロジェクトのお手伝いをすることになったが、それをこの欄で書いてこなかった理由がある。あまり思い出したくない経験だからだ。
プロジェクトに関わるや否や上司から、ファインセラミックスの設備をすべて廃棄し、研究棟をすべて電池プロジェクトに明け渡せ、と命令された。住友金属小嶋氏と交流が始まった頃である。
役員に相談したところ、そのような方針は出ていない、と言われたので、上司に方針書を見せてくれ、と迫って、事なきを得てその後電池評価や電解質開発、電極開発などの下働き(注)をして、プロジェクトから解放され、電気粘性流体をお手伝いすることになった。
あの時、研究棟を明け渡していたら、高純度SiCの事業は立ち上がらなかった。吉野氏のノーベル賞のおめでたい話題で忘れていたことを思い出した。
(注)材料技術者は便利なので小間使いのように使われたが、それでも腐らなかった。吉野博士は、同じころ商品化に苦労されていた時期である。一生懸命電池について勉強しながら、業務を自分の経験知とすることに努力した。これは、辛い仕事を楽しくする方法である。特定のテーマを担当させてもらえるわけではなく悲しかったが、電池に関するすべての開発作業において単なる作業者として扱われたのは、堂々と全体の技術を勉強できる時間にできたので、今から思い返せば幸運なことだった。この時の経験が生きて、これまで電池のセミナーに数回講師として招聘されている。
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