「夫婦間のコミュニケーションのすれ違いを「脳の性差」で説明する『妻のトリセツ』(講談社+α新書)がベストセラーになっている。」(朝日新聞デジタル4月7日版)
すでに35万部売れたという。本の中身よりも、誰が読んでいるのか、そちらの方が気にかかる。当方は読みたいとは思わないが、書評がWEBにあったのでここで取り上げてみた。
書評には、科学的根拠のないことを取り上げて論じている、と切り捨てている。著者は人工知能の研究者で女性で,書評を書いているのは著名な脳科学者である。
まず、このような本は漫画のつもりで読めばよいような本だろう。読んでもドラッカーの著書と異なり、おそらく役に立たない。
役に立たないだけでなく、書評通りならば科学的に間違った知識を読者に伝えているような悪書なので読む時間の無駄である。書評を読み、そして朝こうして書きながら自分も無駄なことを書いている、と反省しなければいけないような本である。
ところで、数年前に自分のトリセツを歌った女性歌手がいたが、当方はこの手のトリセツは好まない。そもそも、昔から電化製品を買っても最初にトリセツなど読んだことが無いのだ。わからないところが出てきたときに調べるために必要な程度だ。
MZ-80Kを購入した時でもトリセツを読まずに、テープをセットし、いきなりBASICのプログラムを走らせている。マイコンのチップの取り扱いはさすがにトリセツ無しではその扱いが難しいが、パソコンという製品になった段階で、トリセツが不要になった。
さらに、トリセツを最初に読まなければならないような製品は買わない主義だ。ユーザーの立場ではトリセツを読まなくても簡単に使用できる製品が理想である。
ちなみに妻とは友人の結婚式の時に初めて会って、半年後に同じ披露宴会場で会いましょうと言って30年過ぎた。トリセツなど無くてもMZ-80Kのように暴走することもなく何とかうまくいっている。なんでもこれが理想である。
一つ後悔しているのは、結婚式は半年後ではなく一年後にした方が良かった、ということぐらいだ。冬に半年後と約束をしたために暑い結婚式となった。冬であったことを忘れるぐらい暖房の効いた友人の結婚式だった。
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土曜日に花見をしながら久々に花の写真を撮影したが、フィルム時代と異なる感覚を思い出した。フィルム時代に花の写真を撮る時には、ポジフィルムを用いたのだが、それこそ1ショット撮るのに時間をかけた。
しかしデジカメでは無造作に数枚露出を変えて撮影するスタイルになった。あらかじめ必要な複数の露出をセットしてシャッターを押せばよいだけなので、あっけない動作である。撮影した写真はすぐに確認できて、不要なショットをすぐに処分できる。
昨日は土曜日に撮影した写真を整理していたが、ペンタックスのカメラとニコンのそれでは高感度領域で撮影した時の画質が異なる。
ISO800以上で撮影された写真について花びらをつぶさに観察すると、ペンタックスK7では擬色の発生があるが、ニコンの最新のカメラZ6では、ISO3200あたりまで全くない。これにはびっくりした。
フィルムカメラでは画質はフィルムで決まったが、デジカメでは、カメラ本体の性能で画質が支配される。20年近くデジカメで撮影してきたが、この10年のデジカメの進化がここまで高感度に強くなったことにびっくりしている。
ニコンZ6では、ISO3200まで実用領域であり、ISO200と同じ感覚で使用できるのだ。ペンタックスのレンズをZ6に取り付けて撮影した写真を見て、また驚いた。フィルム時代に設計されたペンタックスのレンズでもニコンの最新レンズに負けていない解像感があるのだ。
さすがに収差によるパープルフリンジがたまに画像に現れるのは仕方がないのだが、同じ撮像素子でもレンズの違いで色載りが異なることにびっくりした。
ペンタックスのレンズによる桜の花は、ピンクの色がこってりとついているが、ニコンのレンズでは抜けが良いためあっさりにみえる。ニコンファンのためには、すっきりとした色合いと表現した方が良いのかもしれない。
ペンタックスファンには、野球でいうところの中日や広島ファンの様な所があるという記事を読んだことがある。このような写りの違いを見たときに、レンズがただ性能だけで語れない世界であることに気づかされる。
ペンタックスのレンズには面白いレンズが多く、さらにカメラ本体も含めお値打ち品が多い。ニコン製品のおよそ30%程度値引きしたような定価が付いている。実売価格はさらに安い。
天体観測では、分解能や解像感は重要かもしれないが、趣味で撮影を楽しんだりするときに、フィルム時代にはフィルムの違いを楽しんだように、レンズの写りの違いを楽しむのがデジカメ時代の写真撮影かもしれない。
ペンタックスからニコンに乗り換えようとしたが、土曜日の撮影で大きな悩みを抱え込むことになった。光学性能ではニコンと劣るようなところがあるのかもしれないけれど、ペンタックスのその写りには、言葉では表現できないような魅力がある。
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新築された南側二階の勉強部屋は、大学入学と同時にオーディオルームに変わった。
改築時に工務店社長が気を利かせてカーテンレールを二重構造にしてくれたので、防音用のカーテンを取り付けただけであるが、床が畳のためそれでも十分な吸音効果があった。
それ以来オーディオという底なし沼の趣味が化学実験という趣味に加わるのだが、資金源はアルバイトだった。
家庭教師のアルバイトを3件受け持てば当時大卒の初任給並みの10万円というお金が手に入った。学費は交通費も含めて年間10万円もあれば十分だったのではじめは潤沢な資金源だった。
しかし、部屋にふさわしい機器を導入しはじめたら、レコードが増えてゆき資金が不足してきたので、休日は井戸掘りのアルバイトを始めた。当時愛知県の輪中地帯では、水冷式エアコンが流行しており、井戸掘り要員が不足していた。
肉体を鍛えるために体育の授業では重量挙げやバーベル体操を選択した。この種目は教養部の授業の中でも人気が無く、その結果1時間半充実していたが、そのあとの授業が大変だった思い出がある。
ゴム会社に入って無茶な勤務形態で仕事をやっても体を壊さなかったのは、このころの習慣が役立ったのかもしれない。過重労働で問題になるのは、労働をしている本人が追い詰められていく点である。
気楽な毎日の中での過重労働を経験すると精神衛生を健全に維持できる労働に対する姿勢が身についてくる。授業中の居眠りが厳しく問題として問われた戦前ならば、学生時代の過重労働も大変だったかもしれないが。
それなりのオーディオルームができたために、学生生活がこの部屋を中心に展開している。周囲の学生から合コンやらダンスパーティーに誘われても音楽を聴いている時間を生み出すために断るしかなかった。アルバイトの時間以外は、現在と同様の音楽を聴きながら勉強する毎日だった。
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負の誘電率の材料が透明ならば負の屈折率となるはずだ。また、中間転写ベルトの開発で見つけた現象から、高分子の変性で負の屈折率という機能を実現できる可能性がある。
今から30年ほど前の写真会社へ転職したての頃に福井大学工学部で客員教授を拝命したが、そのときパーコレーション転移とインピーダンスの低周波数領域における異常分散について研究している。
その時に評価したサンプルにも負の誘電率を示すものが見つかったが、研究対象から外している。研究の目的がたばこの廃付着テストに関する研究だったためである。
さかのぼること40年前の1980年代にSiCウィスカーを2000℃以上に加熱しカーボンナノチューブを合成している。ただこの時はカーボンナノチューブを合成するのが目的ではなくSiCウィスカーの線膨張率を測定するためだった。
研究目的とはずれた珍現象や新現象はこのように研究目的と異なる場合に除外される。ノーベル賞でも取る目的ならば鵜の目鷹の目で新現象を追い求めるが、技術者が欲しいのは新しい機能である。
今ある目的のためにこの負の誘電率という機能に着目し趣味の研究を開始したが、つまらない結果しか出ていない。いざその目的で制御して現象を起こそうとすると難しい。久しぶりに眠れない日が続くが、年齢を考えると無理もできない。
若い時ならば過重労働を厭わず、無茶な仕事を行っていたが、今は眠くなったら寝る、という生活である。これが老いだと自覚したのだが、昔でもつまらない会議の時には居眠りをしていたので、あながち老いのせいにはできないかもしれない、と若い時の業務姿勢を反省している。
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今年はトヨタのベア非公開が話題になり、自動車産業は100年に1度の大変革期と言われている。衆知のように自動車エンジンがモーターに切り替わる未来が具体的に見えてきたからだ。そこで昨日書いたようにトヨタはHV特許無償提供という思い切った戦略をとった。
EVでは、複雑なエンジンを組み上げる技術力が無くても自動車を製造できるので、多くの異種産業からの参入が今後予想される。それだけではない。
ガソリンスタンドも今の様な大規模のスタンドは不要になる可能性があり、それこそセブンイレブンなどのコンビニの駐車場でも充電スタンドを設置可能で、自動車会社よりもガソリン業界はもっと深刻である。
この10年ソーラーパネルを設置する家庭が増えたが、休耕田を利用した発電事業が再度見直される可能性もあり、自動車産業以外の周辺のビジネスチャンスが広がっている。
当方が生きている間にガソリンエンジンの車が無くなる可能性も出てきて、今誰も気がついていない新規事業ネタを考えるのは楽しいことである。
最近のモーターショーでは、自動車がインターネットとつながることがテーマとなり、自動運転までその中に取り込まれていった。これらの動きは、ガソリンのいらない車でも状況は変わらないが、充電ステーションの問題は、充電規格にとどまらず、考えなければいけない課題が多い。
例えば10台の車へ一度にガソリンを給油するときにガソリンスタンド外への影響は無いが、一か所で10台同時に充電した場合には、どのようになるのか。また、確実に今よりも必要な電力は増える。現在の発電設備で間に合うのかどうか深刻な問題である。
一方で、電気自動車の普及は、ニュースになっているほど早く進まない、という見方も存在する。また、トヨタのように進んでほしくない、とあからさまに表明しているメーカーも存在する。
ゆえに、当方はどちらかと言えば、一般に言われている電気自動車の普及スピードに対して懐疑的な見方をしている。
確かに化石燃料の消費は抑制しなければいけないが、火力発電が未だ主流の時代であれば、HV車が現実的である。だからと言ってHVが主流になるとは考えにくい。
燃料電池という可能性も考えられ、中国では燃料電池車に対する関心が急速に高まっている。恐らく今世紀は自動車のエネルギーが多様化する時代となるのではないか。
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時事通信電子版4月3日記事によると、「トヨタ自動車が、ハイブリッド車(HV)の関連技術の特許を使用する権利を、他社へ無償で提供することが3日、分かった。世界で燃費規制が強まる中、無償で特許技術を競合他社に開放することで、強みを持つHVの市場拡大を狙う。」という。
かつて、IBMがアップルに対抗するために16ビットPCのアーキテクチャーを公開し、AXパソコンが主流となりアップルが痛手を被るという結果になっている。
今回トヨタがHV技術を無償公開する理由は、EVの急激な台頭にある。トヨタのシナリオは、おそらくEVが普及する前の時代にHVが普及し、やがて、HVとEVが共存する時代が来る、というものである。
旧来の自動車メーカーの強みは複雑な内燃機関の組み立てノウハウであり、自動車の市場をEVに席巻されたならその強みが無くなってしまう。もし、将来の自動車の主流がHVならば、強みは永遠に残る可能性がある。
トヨタにとって内燃機関を使用した自動車が将来存続し続けるかどうかは、トヨタの強みを維持できるかどうかという問題である。
IBMが16ビットPCの仕様を公開したことで、一気にPCの部品をはじめとしてマザーボードまでも値下がりし、当時40万円前後したPCが今や10万円以下である。しかし、だれでも製造できるようになった結果、IBMはPCの市場から撤退することになった。
今回トヨタがHVの特許を公開した結果は、IBMのようにはならないだろう。なぜなら複雑な内燃機関を製造できるメーカーは限られるからである。それよりもHVに用いられる電装品のコストダウン効果が大きくでて、トヨタ自動車はHVの特許を保有するよりも無償提供により大きな利益を上げることができる。
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連続体モデルの理論解析からプラス電荷とマイナス電荷のズレ(分極)が単一方向にそろっている状態であれば負の誘電率が出現するといわれているが、この場合に分極ドメイン構造のほうが安定なので負の誘電率発現が抑制されるという。
ところがこの解析結果で分極ドメイン構造が生じなければ、あるいは何らかの理由で分極ドメインが不安定になったなら、負の誘電率が現れることになる。
例えば、導電体や半導体のドメインが生じた場合には電子の拡散速度というものは早いので負の誘電率が現れる可能性がある。
実用化されているPPS製中間転写ベルトの誘電率を測定すると正であったが、実用化過程で得られたベルトの中には負の誘電率を示すものが存在した。
用いている導電性カーボンはすべて同じロットの製品であり、異なるのはマトリックスの配合だけである。すなわちPPSへ添加されたポリマーの種類や混練条件で負の誘電率を示すベルトが得られたことを示している。
誘電率が正のパラメーターであることは電磁気学の教科書に書かれているが、計測でこのような負の誘電率が現れる現象については、現代のホットな話題の一つだ。
負の誘電率が存在すれば、負の屈折率も可能性があり、世間では光学分野の関心が高いようだ。永らく屈折率を正として扱い、光学の体系が作られてきたが、その再構築を迫る現象のためだからだ。
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昨日この話題を書こうとカレンダーを見たらエイプリルフールなのでやめた。新元号の発表はエイプリルフールと関係なく行われているが、誰もエイプリルフールだと騒がない。
すでにスーパーコンピュータにより強誘電体薄膜が負の誘電率を示すことが、最近シミュレートされている。
誘電率は正のパラメーターとなるのが普通であるが、30年ほど前に電気粘性流体の開発を担当した時に負の誘電率が測定されてびっくりした経験がある。
導電性微粒子にシリカの超微粒子を傾斜組成で分布させて表面から内部にかけて10の11乗Ωから10の4乗Ωまで体積固有抵抗の値を変位させた粒子や、
超微粒子の粘土鉱物の層間にグラファイトを挿入し、それを分散した微粒子、すなわちあたかもナノオーダーのコンデンサーが分散したような微粒子を合成して測定した時である。
誘電率は正だから測定法がおかしいのだろう、と周囲の研究者に笑われたのでそのままにしていた。しかし、転職した会社で中間転写ベルトの開発を行っていた時に、また負の誘電率と遭遇することになった。
世間でもメタマテリアルで誘電率が負になる、ということで2000年以降指数関数的にそのような論文が増加しているのでおどろかず、じっくりと頭の中で温めてきた。
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高校に合格してすぐに合格祝いだと言って、父親は約束通り築15年程度の南側半分を建て直してくれた。そして10帖ほどの2階を当方の希望通りに設計してくれるという。
北側半分を建ててくれた工務店の社長と日曜日に建築の打ち合わせをするときには当方も同席させてくれた。
当時オーディオがブームになり始めてきたので、勉強部屋をオーディオルームにしたい希望を話したら父親から猛反対にあった。あくまで勉強部屋だという。
その時工務店社長が気を使ってくれて、二階部分の影響で北側二階が陰になるから北側と廊下の幅ほど空けて屋根を斜めにするとよい、という提案をしてくれた。
工務店社長の提案を取り入れ、押入れを大きくとると間取りは6帖ほど残るので悪くない案だった。
出来上がった図面を見て驚いた。当方の希望を取り入れて、天井が斜めになっており、部屋の形状は理想的なオーディオルームそのものだった。
窓にはカーテンレールが二本設置され、お小遣いで吸音用のカーテンを内側につければよい、と耳打ちしてくれた。部屋の扉も重く設計してくれるという。
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小学5年生の時、自宅が半分改築された。もともと自宅は、名古屋大空襲の後すぐに建てられた北側半分とその10年後建てられた南側半分の構造になっていた。
子供のころから、1件の家でありながら住み心地の違いに違和感を持っていた。しかし、終戦直後建てられた北側部分を壊している光景を見て驚いた。隣の家と一体建築だったのだ。
それだけではない。家の基礎などなく、柱は漬物石程度の大きさの石の上に立っていた。まるで木造船の様な構造の家だった。
建て替えられた家には立派な基礎部分があり、屋根瓦は大工が言うには耐震対策を考えた軽量瓦だという。
確かにスレート瓦よりも軽くて色合いが豪華だった。立派な基礎部分も大工が考えた耐震構造だという。大工の棟梁は工業高校卒で父親の後を継いで新たな工法で家を設計していると自慢していた。
そして、自分のことを大工ではない、工務店の社長だと言っていた。有限会社の工務店には若い職人が5名ほどそこで寝食を共にしていた。
工務店の社長が自慢していただけあって、新築の家は冬でも暖かく快適だった。今度は南側部分との住み心地の違いが気になった。
父親は当方が高校に合格したら南側部分を二階建てにして、勉強部屋を作ると約束してくれた。東京オリンピックも開催され、バブル経済へ向かって日本が走り始めた景気が上向きの時代だった。
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