物質の融点とは、結晶の自由エネルギ関数と融体の自由エネルギ関数の交点、というのが熱力学的説明である。ここで両者が交点を持つかどうかだが、δG=δH-TδSであり、融体は分子の熱運動が大きいので結晶のエンタルピー(S)よりも大きくなり自明である。
無機材料の結晶では、この熱力学の形式知通りとなるが、高分子では、そもそも融点(Tm)と結晶化温度(Tc)にずれが生じるから厄介である。
例えば結晶性良好なポリエチレンでは、Tmの0.8から0.9倍がTcの最大値となるが、結晶性の悪いPETについては、2Tc(最大値)=Tm+ガラス転移温度(Tg)という関係式も提案されている。すなわち、高分子の種類によりTmとTcのズレがまちまちなのだ。
さらにこのずれは高分子の配合処方によっても変化する。一般に高分子に溶解しやすい低分子を配合するとTmは下がるが、Tcはそれほど変化しない。中にはTcに大きな影響を与える化合物も存在し、それは高分子結晶の核剤として知られている。
高分子のTcに影響を与える添加剤には、Tcを下げるものと上げるものがある。結晶化を促進する添加剤はよく知られているが、結晶化を遅らせたり、結晶化を抑制したりする化合物は探さなければ見つからない。
すなわち、TmやTcをとりあえず自由に制御できる技術はある。ただ、この技術に関して体系的な形式知が高分子では存在していない。無機材料では、相図で考察することになるのだが、高分子ではうまくゆかない。だから特許を書くことが可能になる。
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昨年夏に、音楽の友社から発売された「Stereo編これならできる特選スピーカーユニット、マークオーディオ編」は、爆発的なヒットをしたらしい。
マークオーディオ社(B&Wの元技術者が立ち上げた会社)の発泡金属を振動板に用いた8cmスピーカーが付録としてついてきた雑誌だが、このスピーカーの性能がものすごくよい。
オークションでは一時期この雑誌が10倍ほどの価格まで跳ね上がっている。当方は雑誌発売直後に音工房Zからメールを頂き、すぐに購入したので定価通りで購入できたが、需要と供給の関係をあらためて学んだ。
音工房Zでは、このスピーカー用にバーチベニヤとMDFの二種類の材料で箱を設計し、視聴会を開催している。MDF材キットには8500円の価格がつけられ、バーチベニヤ製キットは25000円である。
バーチベニヤは限定販売で少しプレミアがついた価格だったが、これを購入した。その後MDF材のキットがアマゾンから販売されたが、現在ネットでは10956円で販売されている。これも高い需要に支えられて価格が少し高くなったようだ。
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昨年、音楽の友社から発売された、「STEREO編これならできる、特選スピーカーユニット、マークオーディオ編」と音工房Z発売のバーチベニヤ製スピーカー箱キットを購入し、デスクトップスピーカーとして使用していた。
1ケ月ほど聴いていて、エージングも十分済んだのに楽器の音に少し濁りがあることに気がついた。音が響きすぎているような印象があったので、100円ショップでポリウレタンたわしを10個ほど購入し、これをよくもんで独立気泡をなくした状態で吸音材とした。
このたわし吸音材が便利なのは、適度な大きさで箱の中に入れる個数で吸音材量を変更できる点である。また、ポリウレタン製たわしにしたのは、スピーカーの箱がWバスレフであり、低域の音を吸音したくなかったからである。
また、ゴム会社に入社し2年目にポリウレタン制振材を開発した経験があったからだ。実験を繰り返し、1つのスピーカーあたり、2個入れるのが聴きやすく、中低域も損なわないことを見出した。
スピーカーの中では定在波が発生しやすい。スピーカーの箱の設計者の話では、吸音材は無くてもよいとのことだったが、密度の高いバーチベニヤを使用した時には、側板との間で定在波が発生する可能性を無視できない。
このあたりを検証するために、MDF材で同じ設計の箱を音工房Zから購入し作成した。予想した通り、バーチベニヤよりも密度の低いMDF材のスピーカーでは、吸音材が無くても心地よい音がする。
しかし、少しこもり気味なところが気になったので、このMDF材のスピーカーについては、ギターの力木のアイデアを応用して、バッフルと天井材を密度の高い木を使い補強したところ、バーチベニヤのスピーカーの箱に近い音が出るようになった。
今年の長い10日間の休日はこうして終わった。本日から仕事をしています。
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ゴムと樹脂の違いは、と突然尋ねられた時にどのように答えるのか。科学的には、室温の状態と高分子のガラス転移点から回答することになる。それではエラストマーとゴムの違いは?と聞かれれば、ゴムはエラストマーに含まれる、としか答えようがない。
ところが、ゴムについては、JISや日本税関の定義があって、単純に科学的な回答で説明していると間違っていると言われかねない。いずれの定義にもガラス転移点の話など出てこない。
熱可塑性エラストマーを想定するとJISや日本税関の定義が妥当な定義のように見えてくる。しかし、実用性を考慮しない場合にはJISや日本税関の定義から外れるゴムも存在するからややこしい。
JISや日本税関の定義から外れたゴムなど経済的な価値が無いから実害は生じないが、それぞれの分野で定義が異なることで頭の中が混乱する人も出てくるだろう。
朝、眠い目をこすりながら書いていてもすっきりしない。長い連休明けの話題にはこのような少し刺激的な話を考えたほうが今日一日の仕事のためになる、と書き始めたが、収拾がつかなくなったのでキーボードを片付けた。
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インスタグラムは、カメラメーカーにとって新規事業の良いお手本である。入力機器とそのデータ加工のワークフローまで備えた携帯端末のおかげでPCが無くても楽しめる。なぜ、携帯端末と同様のカメラが登場しないのか。
携帯端末に限らない。電子レンジの様な調理器具でさえもインターネットと接続しレシピを見るためにPCを必要としない製品が登場している。まったくPCを必要としないミラーレス一眼が登場してもおかしくないはずである。
ニコンの新製品Z6あるいはZ7では、PCが無くてもある程度の現像処理が可能でそのままプリンターから現像処理した画像をとりだすことが可能になった。しかし、これはペンタックスカメラでは10年近く前に発売されたK7で実現していた。
K7では、カメラ内のRAWデータをカメラ内で現像処理効果をいくつかの条件で確認できた。ニコン製品では高い付属品を別途購入するとインターネット接続が可能になるが、なぜこれが標準機能にならないのか。
カメラ本体をPCのように扱うことが可能で携帯カメラよりも美しい画像をそのままインターネットに乗せることができたなら、カメラの可能性は広がる。
弊社の発明した画像処理技術もソフトウェアーとして起動できるようにすればオリジナルデザインを誰でも創作することが可能になる。SNSを自由自在にできるカメラがなぜ登場しないのか不思議である。
写真を写し、それをインターネット上で皆で楽しむ文化はすでに登場している。携帯電話のカメラ性能の向上でコンパクトカメラ市場は無くなりかけている。
なぜ、カメラを使って新ビジネスを創り出そうとする企業がカメラメーカーから現れないのか不思議だ。弊社は新ビジネスアイデアと特許を保有しているのでカメラメーカーは問い合わせていただきたい。カメラにはまだ未来の可能性が広がっている。
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10連休もそろそろ終わりで、7日からは仕事である。若いときに長期の休みで突然無気力に襲われたことがある。体調は悪くないのに、何もやる気がしない。
アルバイトは、高校生を指導していたので、無気力感に鞭打ってとにかくこなした。しかし、翌日はごろごろするだけである。自分でも無気力の原因がよくわからない。
そのうち1週間過ぎてアルバイト以外何もやっていなかった自分に気がついた。食べると寝る、アルバイト以外は何もやっていなかったのだ。漫画本さえ読んでいないし、TVも音楽も娯楽さえしていない。
おかげで無気力というものがどのような状態かを理解できた。将来の夢もあったのだが、現実が分かってくると夢は夢、と考えるようになっていた。
まさに映画「卒業」に出てきたダスティンホフマン演じるベンジャミンが、うつろな表情になっていた状態なのだが、彼のようにエレインが現れてくれることを期待できない日常だった。
とにかく自分でこの無気力状態を脱しなければいけない、と意を決して一眼レフカメラを買った。中学時代の同級生がカメラ店に就職したので、勧められるままペンタックスの最新カメラを購入した。
半年前には楽器店に就職した同級生が訪ねてきて勧められるままギターを買ったばかりだった。無気力状態では、このことも忘れていた。
フィルム代を気にせず、とにかくスナップ写真を撮ってみた。川岸の花々も撮ってみた。目的もなく感じるままにシャッターを切っていたのだ。
写真が出来上がってその金額に驚いたが、現像された写真を見ながら、生きている今を感じることができた。それ以来、無気力感に陥ったら、カメラを持って外に出てみる。これが無気力解消の一つのルーティンになった。
写真の良いところは、とりあえず誰でもカメラさえ持てば、画像を現実から好きなように切り取ることができる点である。切り取られた画像は良かれ悪しかれその時の自分が選んだ現実である。インスタが流行するのも理解できる。
ギターは、スキルが向上しなければ楽しめないが、写真は当時すでにピントさえ合わせればそこそこの写真が撮れるカメラが売られていた。
絞り優先かシャッター速度優先か、TVや雑誌で騒がれていたが、どちらでもよかった。それよりも一眼レフは、ファインダーの性能が重要だ。ペンタックスのファインダーは当時からよくできていてピントの山が分かりやすく、ピントの失敗が無かった。
どれほど無気力になっても、動作が簡単な写真を撮る作業は可能である。無気力状態で撮影された画像でも、それなりの意思が現れているから不思議だ。これは写真の面白さの一つだろう。
無気力になってもやれることを一つ持っていることは大切で、それを手掛かりに気力を取り戻すことが可能だ。脳内分泌物が出る様な刺激が重要と、最近の脳科学は教えるが、恐らく当方における写真は脳内分泌物のバランスをとる役目をしているのだろう。
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ニコンミラーレスカメラZ6を購入し、久しぶりに写真を撮って遊んでいるが、このカメラ専用の35mmレンズの画像に感動している。
まだ傑作写真は一枚も取れていないが、とにかく被写体に寄れることとその結果得られるボケの美しさに感動している。
もちろんニコン伝統のヌケの良さはそのままであるが、ニコマート時代のカリカリ感はない。すなわち、ペンタックスの77mm同様にヌケとボケのバランスの取れた画像が容易に得られるのだ。しかもパープルフリンジなどでないだけでなく、広角なのに逆光耐性も高い。
ずぼらに撮影しても完璧な写真に感動して撮らなくてもよい被写体まで撮影して遊んでいるが、年を取って世間が美しく見えなくなった目にも美しい画像を見せてくれる。
不思議なことに、散らかった部屋もこのカメラで映すとアートになる。美しく見えるから掃除をやらないでいたら妻に叱られた。
カメラ本体のZ6は上位機種Z7とセンサーだけが異なるそうだが、やたら設定するところが多く、これも遊べる原因になっている。
いろいろ設定を変えて楽しんでいるが、シャッター音からこのカメラの設計に込めた技術者の思いも伝わり感動した。耳心地が良いのだ。
自動車でもエンジン音をデザインするのは高級車では当たり前になったが、カメラでもこのような配慮がされると写欲が満たされる。このカメラはフランジバックが短いのでペンタックスのレンズもつけることが可能だ。
ペンタックス77mmレンズとニコン85mmF1.4Dの比較では、やはり77mmレンズのボケとヌケのバランスが優れていた。但しモデルは掃除機である。
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見積書には図面が付いており、間取りは当方が示した間取り通りの2世帯住宅だった。こちらの指示通りの間取りだったのですぐに契約したのだが、それが間違いだった。その見積書には、キッチンや風呂などの仕様が入っていなかった。
図面には、キッチンや風呂場が書いてあったが、その仕様は別の見積もりとなり、契約後細かく決めていったら、当初の見積もりの二倍になった。
しかし、一生に一回の買い物と思い現在に至る。ところが、建築直後に雨漏りがあったり、天井の補強板が忘れてあったり、とお粗末なことが続いた。
今年の1月末には二回目の壁の塗り替えが終わったが、あまりにもずさんな作業で1階の玄関の扉が汚れた。謝罪もなく、クレームとして言えば直してくれるだろうと思い、扉を修繕依頼したら5万円支払うことになった。
1月末に工事が完了しすべて検査し合格したと言われたが、外壁の3ケ所に大きなバリの様なものがひらひらとついていた。くい打ち不正をした会社であることを忘れていた。仕方がないので自分で処分したが、どう見ても2ケ所見苦しい。
工事終了後のお決まりのアンケートにクレームとして書いたら、担当者が来て後日修正します、といって帰ったが、その後なしの礫でもう5月である。
平成に工事が完了し時代が変わってもそのままである。平成の終わりには、駆け込み結婚などが話題になっていた。担当者の挨拶は何だったのだろう。
昔、親はどのようにして思い出に残るような快適な家を建ててくれた工務店を見つけてきたのだろう、とふと考えた。一流メーカーだから、と安心して契約したのだが、その後マンション建設のくい打ち不正を行い社会問題になるようないいかげんな企業だった。
社長が頭を下げているニュースが報じられたが、あれは不誠実な形だけの謝罪だったのだろう。その後も泣いている客はいる。当方だけでなく、昨年末高校の同級生で中部電力を退職した友人が、一流メーカーだと思って退職金で家を建てたが、寒い家だ、改築前の木造の方が良かった、とクラス会で文句を言っていた。
そこで当方は雨漏りより隙間風の方が一酸化炭素中毒にならなくてよいだろうと言ったら、暖房はすべて電化されていると怒っていた。
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平成から令和に変わったのだが、昭和から平成に変わった時と大きな違いがあるのは、今回は祝賀ムード満杯である点だ。老人が所有する運転免許の返納が最近問題となる大きな事故が起きた。
免許を返上しても困らない環境に住んでいて、87歳になっても返上の決断ができず事故を起こしている。このような事件と今回とを同列に扱うのは失礼で問題かもしれないが、ある資格なり役割を返上するという決心のタイミングは難しい。
象徴天皇では、生前の行為である点が議論となった。しかし、今回のムードを考えると難しい問題はともかく、象徴天皇の姿勢としてその決断は正しかった、と言える。
そもそも象徴天皇という国家的役割を置いているのは日本だけであり、これを後世に受け継ぐのは、日本人であるアイデンティティの一つだろう。しかし受け継ぐにしても、その役割から出てくる仕事については、戦後いきなりできた役割ゆえに大変だ。
それを平成の時代にずっと考えてこられた、この姿勢そのものが、また象徴天皇としての重要な仕事の一つだと思う。時代によりその仕事の中身は変化してゆくだろうし、そもそもその仕事をどのように決めるのかもシステムが無いような役割である。
実は企業におけるマネージャーや経営者も目の前に前任者の残した山の様な仕事があるために、戦後決まった象徴天皇という役割と同じであることに気がついている人は少ない。
ドラッカーは、その役割や仕事について著書で述べているが抽象的である。ただ一つ具体的に言っているのが、その役割を担う人材について「誠実で真摯な人材」を選ぶことだ。
すなわち、国家なり組織なりでリーダーシップをとるべき人材は、「誠実で真摯な人材」でなければいけない。そのような人は仕事を遂行するときにその姿勢に誠実さが現れる。仕事が無くなれば役割を自ら返上できる、すなわち自らをリストラできる管理職こそ優秀なリーダーだ。
日本に災害などの不幸な出来事が皆無になれば、象徴天皇という役割は現在のままでは自然消滅する可能性がある。NHKの特番では、異なる視点でこの問題を扱っていたが。
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住居はその人の生き方へ影響を与えるというのは学生時代の体験である。快適な住まい、といっても快適さは人により異なり、生き方も人により異なる。
工務店社長が気を利かせて設計してくれた勉強部屋は快適だった。その部屋のおかげでオーディオ三昧の生活になった。この場合、住環境が個人の趣味を変えたのだ。
その後、独身寮の生活を経験してつくづく住居の快適さが人により大きく異なることを知った。独身寮でも快適だ、といって長く独身寮にいた同期がいた。
確かに食堂に行けば気軽に食事ができて終日風呂に入れる独身寮の生活は、どこか安宿の温泉気分のような快適さがある。
だから、快適さという概念を家という商品に表現するのは、難しいだろう。しかし、家を新築しようとしたときに、住宅メーカーは口々に快適な家です、と言ってパンフレットや見積もりを持ってくる。
当方の考える快適さなど考えず、メーカーの考える快適さの押し売りに25年ほど前うんざりした。当方の希望の間取りを実現できて最も低価格な見積もりを持ってきたメーカーへ発注する決心をしたら、当時二世帯住宅で有名なトップメーカーを選んでいた。しかしこれが後悔の始まりだった。
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