2月から3月にかけて下記セミナーが開催される。今週金曜日のセミナーはシリコーンポリマーに関するセミナーで、昨年台湾で開催された一日セミナーの内容を見直し、LIMSの内容を補強している。
シリコーンについては、LIMSによるゴム以外にミラブルタイプのゴムがあるが、LIMSの市場が大きい。またシリコーンゴム以外にも界面活性剤やカップリング剤、光散乱樹脂にも利用されているシリコーン球などその種類や応用分野は多く、全体を俯瞰したセミナーが無いので企画している。
当方はシリコーン企業に勤務したことは無いが、シリコーン界面活性剤やシリコーンカップリング剤、シリコーン球、シリコーンオイル、シリコーンLIMS、ポリシランのSiC繊維など30年以上の実務で毎年様々なシリコーンを扱ってきた。
この当方の経験から見たシリコーン化学について経験知の公開やまとめを行いたいと考えている。弊社へ問い合わせていただければ手続き可能です。
記
1.よくわかるシリコーンの基礎から応用技術
日時 2019年2月8日(金)10時30分から16時30分
場所 亀戸文化センター
受講料 45,000円
2.開発手法を中心にした信頼性工学の基礎
日時 2019年3月5日 (火)10時30分から16時30分
場所 千代田プラットフォームスクエアー
受講料 50,000円
3.高分子の難燃化技術
日時 2019年3月29日
場所 大井町きゅりあん
カテゴリー : 一般 学会講習会情報 電気/電子材料 高分子
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1980年までの高分子科学は、重合反応の研究による新高分子創出がその発展を牽引し、合成化学者がその中心にいたように思う。その一方で、日本では岡小天先生を中心としたレオロジーの研究が高分子物性の研究を引っ張った。
高分子の破壊については、金属材料などで発展した線形破壊力学の適用があり、高分子の結晶化についてはやはり無機材料科学からの借り物の反応速度論が中心に展開された。
この流れにイノベーションを起こしたのは、土井先生や先日講演をされた青柳氏などの高分子シミュレーションの研究者達である。レオロジーについてはダッシュポットとバネのモデル研究が一夜にして遺物となった。
また、高分子に粒子を分散した時に生じるパーコレーション転移については、当初カリフォルニアの山火事研究から端を発した数学者たちのグループ研究が中心である。1970年代にはスタウファーによる教科書がすでに発表されている。
しかし、パーコレーションについて高分子材料に応用され始めたのは1990年前後であり、その数学の世界が完成の域に到達していても、材料の研究者たちは混合則を用いて現象の理解をしていた。
パーコレーション転移の理論を実用化事例に適用し商品設計に成功したのは、当方が世界初であり、その閾値を検出できる感度の高い評価技術を開発している。写真学会の国際会議でそのインピーダンス法について研究成果を発表している。
この新評価法を用いて1990年に実用化した酸化スズゾルがパーコレーション転移をおこした帯電防止薄膜の生産安定化に成功し、日本化学工業協会から技術特別賞を頂いている。このように高分子材料研究者と数学の関係は古くからあった。
また、生産安定化を行おうとすれば、必ず統計の知識が必要になるように、アカデミアでは疎遠であったかもしれないが、実務では高分子の研究者と言えども大学で学ばないようなワイブル統計や多変量解析を社会に出るや否や勉強しなければ新技術で商品開発ができないのだ。
入社したときには世界6位のタイヤ会社だったが、入社した新入社員にQCの勉強を一年間強制していた(上司経由で毎月のテストの結果が渡された。)。人事部のこの政策のおかげで、いやでも統計について学ぶことになる。技術者教育にこれだけ力を入れている会社を他に当方は知らないが、世界トップになれたのは技術者の力量に関する品質が高いためと思っている。
カテゴリー : 一般 高分子
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昨日「ナノテク2019」が閉会した。この日午前中マテリアルズ・インフォマティクスデータ駆動型高分子科学の新展開」というシンポジウムがあるというので出かけてみた。
全体に昨年よりも参加者が少なかったが、このシンポジウムは満席で立ち見客が多かった。このシンポジウムに対して関心の高さがうかがわれるのだが、ただ残念だったのは、三菱ケミカル(株)竹内氏の講演が忖度の講演で、やや遠慮がちに話されていたことだ。
当方ならば、少し違うんじゃないの、と本音で語ってしまうところだが。竹内氏の講演は企業研究者として大人の講演であり、この分野の研究者に対して思いやりのあるすばらしい内容だった。
材料科学分野に数学者が関わていることに関しては、何も新しいことではなく、その昔パーコレーションの科学にその成功例がある。また、線形破壊力学も金属やセラミックスでは一つの成功例だと思う。今回その進化系が西浦氏から講演があった。
青柳氏の講演はOCTAのsushiをさらに発展させたやはり素晴らしい講演だったが、吉田氏の講演については、もう少し材料科学史そのものを勉強してほしい、と言いたくなるような発表だった。
当方は高純度SiCの事業化や、カオス混合装置の稼働するプラント建設など無機材料科学と有機材料科学の両分野を渡り歩いたキャリアだが、その立場からなぜ無機材料科学でデータベースがしっかりできているのかを勉強してほしかったと思った。
無機材料科学では、JANAFの熱力学データ集はじめ各種結晶のX線回折データ集が40年以上前から充実していた。またその分野からホスファゼンの研究に取り組んでいた学者が多かったせいか、リン化学に関してもデータベースが充実している、という知識はある意味で常識である。
そしてその理由も無機材料の研究者達は理解しており、そもそもその理解の内容が分かれば、高分子材料分野でデータベースがうまく構築できない理由も見えてくるのである。吉田氏のご専門が何かは知らないが、少し材料科学史を勉強されたほうがよろしい。
シンポジウムのタイトルを見るとものすごい高度な研究発表のように見えるが、青柳氏の講演は、高分子シミュレーション技術の現在の状況であり、西浦氏の講演は材料の破壊力学の最近の取り組みの講演だった。
おそらく吉田氏の講演がメーンテーマだったのだろうけれど、もう少し高分子だけでなく材料科学について演者が勉強されたほうがよいと思われるような内容だったのは残念。
文言は難解な言葉を使われていたが、今回の発表内容の程度であれば、すでにこの欄で紹介している。40年前にタイヤの軽量化を計算機で行い、ゴム会社のCTOに張りつけにされたあの実例である。この時に、演者の言葉を借りれば、いわゆるスモールデータから外挿し独自のタイヤ軽量化因子を導き出している。
そして出来上がったタイヤは一応短期間で評価可能なタイヤの性能を満たしてはいたが、それでは商品にならない、と恫喝された苦い体験がある。一言「すいません」と言うのが精いっぱいだった。大型コンピュータを使ったデータ駆動型タイヤ設計が40年前に行われていたのだ。
カテゴリー : 一般 学会講習会情報 高分子
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NHK朝ドラ「まんぷく」では、即席ラーメンの開発過程を丁寧に描いている。開発担当者はマンペイさん一人なのでその手順はシーケンシャルになる。まず、おいしいスープができて、今週は麺づくりである。
そして昨日はフクちゃんから貴重なアドバイスだが、誰でもわかる簡単なことを教えられた。マンペイさんはスープを麺に練りこむことを考えていたが、それではお湯を入れたときにスープが薄くなってしまうという、本当に初歩的で簡単なアドバイスである。
実は、企業の技術開発でも同じような簡単なことに気がつかなかったために開発や事業そのものに失敗するという事例をいくつか見てきた。しかし、そのようなときに開発の失敗を誠実真摯に反省しないので、それが表面化しないだけでなくうまく伝承されない。
例えば当方が定年前に担当した中間転写ベルトでは、前任者は簡単なことがわからず、成功まであと少しのところで足踏みしていた。担当者だけでなく周囲もその簡単な当たり前のことを気がつかなかったので当方が担当することになったのだが、当方は忖度し大変難しい技術として説明し、退職してきた。誰でもわかる簡単なことだとは言いにくかった。
実際にも担当して半年で解決が着くような簡単なことだったのだが、簡単と言ってしまうと傷つく人が多かったので言えなかった。これは電気粘性流体の増粘問題を一晩で解決した反省からである。
工学博士も含め平均偏差値が70を超える様な大卒スタッフが数名で一年かかっても解決着かなかったのだから大変難しい問題だったはずだが、当方は簡単な問題として一晩で解いた。
開発過程で遭遇する簡単な問題を開発担当者はなぜ難しく考えたり気が着かないのか。これには理由があり、ご興味のある方は弊社にご相談いただきたい。
カテゴリー : 一般
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2月から3月にかけて下記セミナーが開催されます。出席ご希望の方は弊社へお問い合わせください。
1.よくわかるシリコーンの基礎から応用技術
日時 2019年2月8日(金)10時30分から16時30分
場所 亀戸文化センター
受講料 45,000円
2.開発手法を中心にした信頼性工学の基礎
日時 2019年3月5日 (火)10時30分から16時30分
場所 千代田プラットフォームスクエアー
受講料 50,000円
3.高分子の難燃化技術
日時 2019年3月29日
場所 大井町きゅりあん
カテゴリー : 学会講習会情報
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2019年全豪オープンは、テニスオーストラリアが主催する107回目で1月14日から27日までメルボルン・パークで開催された。この大会で大坂ナオミ選手が優勝し、日本中がわいている。
また世界ランキングも1位になったのだから大変だ。連日どこかのワイドショーで彼女の話題を取り上げている。
今回の大会で日本ではあまり注目されていないが、3回戦で前回女王キャロライン・ウヲズニアッキを破った選手に当方は注目している。
彼女は2016年にドーピング問題を自らの不注意と告白し、1位も経験したり上位にランキングされていたが、全試合に出場停止となった。
しかし、会見では自らの責任を認めつつも引退を表明せず、復帰を誓っていた。この会見における誠実真摯な姿勢を評価し、多くの企業がスポンサーを降りる中、ラケットのスポンサー、ヘッドがいつまでも彼女を応援するといったコメントは当時注目を集めた。
その後2017年にワイルドカードを与えられツアー復帰し、262位からその年59位まで、そして昨年は29位と30位内まで復帰した。
今回少しはTV放送があるのかと期待したが、大坂選手以外の放送が日本ではなく見ることができなくて残念だった。おそらく今年はさらに上位まで勝ち残る可能性が高く、大坂選手とぶつかる可能性もある。
ただ、すでに30歳を過ぎたので今後どこまでランキングを上げられるのかが心配だが、彼女の打球時にあげる叫び声を聞きたい男性諸氏は多いのではないか。ぜひTV局は彼女の試合を放送してほしい。
カテゴリー : 一般
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年号が変わるということで、平成の総括ブームである。毎日のようにどこかで平成30年間のまとめを目にする。
当方にとっては意図せぬ転職で、専門がセラミックスから高分子へ変わり、転職してからセラミックスに関する研究成果を学位としてまとめ終えたたときに平成に変わった。
この時専門を高分子に変えたので、平成の30年間は高分子材料について学んだ30年間である。転職がよかったか悪かったかは今更考える気がしない。
ただ転職しなかったならば、おそらく今高純度SiCの事業を他社へ業務移管する仕事に携わり、移管先で技術顧問をしていたかもしれない。手元の学位論文を眺めながらそのような「もしも」の人生を考えた正月だった。
このような話を書くつもりは無かったが、「定年レス時代」というキーワードが目につきある記事を読んでみたら、愕然とした。定年レスを後ろ向きにとらえたその記事の内容である。
おそらく若い人が書いているのだろう。今の元気な年寄りは働きたい人ばかりである。少なくとも当方の交流している年寄りに悠々自適の人生を送れる、といって隠居志望を出している年寄りはいない。
最も類は友を呼ぶ、というから当方の見方には偏りがあるかもしれないが、今の70前後の年寄りは、バブル時代多かった元気のない年寄りとは少し考え方が異なる。
低成長時代の日本を何とかしようと高い志をもって活動している年寄もいる。昨年はスーパーボランティアが話題になったが、その能力がどのような習慣で培われたのか、掘り下げが無かったのが残念である。若い能力の発掘と同時に今の時代は能力ある年寄りの適材適所による活用が重要である。
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厚生労働省の「毎月勤労統計」調査が不適切だった問題は、政府の22の基幹統計でも不適切手続きが発覚し、霞が関全体を揺るがす事態に発展した、とWEBニュースで報じられている。しかしそれでも誰も逮捕されない。
ところで、映画「6days7nights」には、主人公の雑誌編集者である女性とその彼氏との会話で、彼氏が彼女を責めるシーンがある。アベックのデート中の会話なので、彼氏の言葉は冗談めかしてはいたが、穏やかだった。しかし、彼女の受け取り方は責められているようにそのシーンでは描かれていた。
この映画のラストシーンでは、この彼氏と別れ中年の男とハッピーエンドとなるので、このデートの会話はその伏線となる重要なシーンの一つである。しかし、統計操作が法に触れるほどの悪事である、ということが理解されていないと、両者の表情からは単なる彼氏の冗談の一つぐらいにしか見えないシーンでもある。
ところが、冒頭で演じられるデートシーンの彼氏のこの一言がきつい冗談で彼女を責めていた、と理解できると、物語が進むにつれて中年男に惹かれてゆく彼女の心の動きがよくわかる。
さて、デビッド・シュワイマー演じるドジな彼氏は、アン・ヘッシュ演じる彼女に何を言っていたのかはDVDで確認していただきたいが、要約すれば彼女が雑誌に女性の意識調査の統計データを載せており、その記事の中で統計数値を操作して女性の意識を変えてゆこうとしている、と彼氏が責めていた。
なお、「6days」はテロの話だが、これに7nightsがついたタイトルのこの映画はラブコメディーとなっている。『スターウオーズ』のパロディーである『ファンボーイズ 』では、ハリソン・フォードについて話が弾む車中で「 駄作なんか1本もないぜ!」と豪語する後方に、「6days7nights」の看板が大写しとなる。しかし、この映画、今回の厚生労働省の事件を知ってから見ると決して駄作ではなく丁寧に作られているとわかる。
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昨日の朝ドラ「まんぷく」では、発明のコンセプトを基に具体的な発明を開始するための「発明アイデアの具体化」の過程が、コンセプト形成過程と同様に科学的ではなく技術的な手法の事例としてうまく描かれていた。
インスタントラーメンのコンセプトは決まったが、具体的なインスタントラーメンの商品の姿がまだ見えていないマンペイさんは、屋台のラーメンを食べたり、フクちゃんとコンセプトについて議論したりしている。そのプロセスでトリガラスープなどのアイデアが出てくるのだが、なかなか商品の具体化までには至らない。
ある日、とろろ昆布にお湯を注ぐフクちゃんを見て、商品の完成形「お湯を注ぐだけで作れるラーメン」「麺からスープの味が染み出すラーメン」などのアイデアが出てきた。
このシーン、科学ではないのである。日常の経験である。すなわち、日常遭遇する現象から商品イメージ、商品の重要な機能を導き出しているのだ。おそらくこの演出家は技術というものをよく勉強した可能性がある。
単なる思い付きではなく、目の前で起きた現象から機能を取り出している点が重要である。とろろ昆布はラーメンの姿からほど遠いが、お湯の中に味の成分を拡散させて、そして自らはスープの具として機能している、この現象からインスタントラーメンという商品に重要な機能をとりだしていた。
これはインスタントラーメンの基本機能であり、この基本機能ゆえに大ヒットしたのだ。現象から基本機能を取り出すことに成功したマンペイさんは、親戚一同集めて商品名を決めるブレインストーミングを始めた。そしてお母さんの提案した「即席ラーメン」が商品名として決まった。
ブレインストーミングはともかく、「即席ラーメン」という商品の基本機能の描き方は、技術の発明の姿の描き方として秀逸である。科学が生まれる前の時代に活躍したニュートンはリンゴが落ちるのを見て万有引力を思いつく逸話は、マッハ力学史には「月がなぜ落ちてこないのか、とニュートンは考え続けた」とある。
リンゴが落ちる逸話はニュートンの着想をわかりやすくするために考えられたかもしれない。むしろすべてのものが地球に落ちてくるのに、なぜ月が地球に落ちてこないのか考えた話のほうが、ニュートン力学の体系を作り上げた事実と照らし合わせたときに信ぴょう性がある。いずれにしても自然現象の観察からアイデアが生まれていることには違いないが。
とにかく技術というものは人間の営みとしての活動の一つである。それは日々の生活で遭遇する現象から人間に役立つ機能を取り出す作業だ。古来から行われてきた技術開発のエンジンは科学的論理ではないのである。
科学も技術も観察が重要な行為である、と位置付けているが、科学では、観察した現象から仮説を導き出したり、あるいは現象そのものを仮説の実証対象としたり、現象と理論との論理的結び付けが求められるが、技術では現象から機能を取り出す作業が重要視される。
科学における観察と論理については小学校から高等教育のレベルまでそれを基本として学ぶが、技術における観察については義務教育も含め公教育で学ぶ機会が無い。企業の現場が唯一の機会であるが、弊社ではセミナーの中でそれを提供している。
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若いころに読んだ本で、「統計で嘘をつく」という、まさに今でも話題になりそうなテーマを扱った新書がある。当時ベストセラーになっているので神田の古本屋にあるかもしれない。ただし嘘は「ウソ」とカタカナ表記になっていたかもしれない。
この本を読んだときに、たいした内容ではないと思い無造作に扱って紛失したが、厚生労働省の今回の事件で、著者の意図を再確認した。ニュースでは伝えられていないが、お役人レベルの能力があれば、このような知恵は十分に回る。すなわち、歴代の事務次官レベルが逮捕されてもよい事件である。
但し、甲南大法科大学院の園田寿教授(刑事法)は「意図的な捏造(ねつぞう)や改ざんではなく、単に申し送りで漫然と続けていたなら、故意だったと認定するのは難しい」と説明する。漫然と続けていたなら許される、というところが気にかかる。
国民の税金が給与として支払われているのである。年金が源泉徴収され、そのような漫然と仕事をやっている役人に給与として支払われているのかと思うと、空しくなる。
さて、今回この問題を日々の品質管理活動や研究開発活動にあてはめて考えてみたい。話を簡単にするために抜き取りサンプル5個の平均と標準偏差を管理しているとする。
この時抜き取りサンプルを6個に増やし、測定値を見ながら、平均値や標準偏差を操作することが可能である。あるいは、抜き取りサンプル5個の統計データに不満があれば、自分の満足行くデータとなるまで抜き取りを繰り返し、都合の良い5個の抜き取りサンプルでデータを整えることもできる。
さてこのようにして収集された統計データは、正しいと言えるか。またこの行為は捏造ではないので許されるのか。学生時代、このような話を読んだ時にあまり真剣に考えなかった。
同じ悪事を行うのであれば、5個のサンプリングよりも面倒なことをする人がいるのか、それならばサンプリングもせず適当な数値を書いた方が面倒ではない、という感覚からである。
なぜなら学生実験であれば多少データが皆とずれていても、あるいは収率が悪くてもサンプル数を増やす方法など考えず、サンプリング5個のところを1個にして、n=1と添え書きをつけておいて、早く実験を切り上げ雀を追いかけていた。、n=1と添え書きをつけていたので、手抜きの減点はあっても捏造ではないのでレポートとして許された。
すなわち、その目的はともかく、統計処理を行うのは、自然界のすべてのサンプルを調べることが不可能なので一部のサンプリングで数値を代表させる、と信じており、統計数値で悪事を働くぐらいならば捏造を行うだろうと思っていた。
しかし、著者は、統計処理を悪用して数値を操作し、悪事を働くことができる問題を情報化時代の到来の前にテーマとして取り上げ警鐘を鳴らしていたのだ。この著書が販売されたときに、誤った統計処理を放置した場合には犯罪であると法整備をしていたならば、今回の事件はアウトである。
今やビッグデータ含め、統計データが身の回りにあふれ出しており、そしてそれらが日常生活に影響を与え始めた。情報化時代とは、統計の時代でもある。そのような時代に責任のある立場の人間が漫然と統計データを扱っていても許される、というのは法律が時代に合っていないように思う。
ところで故田口先生はタグチメソッドは統計手法ではない、とおっしゃっていた。タグチメソッドでは、基本機能に影響を及ぼさない制御因子をチューニング因子として使うことができる。
これは便利な考え方であり、逆にタグチメソッドを統計手法としていたら、このような考え方は統計で嘘をつくことに近い行為でメソッドが怪しくなる。タグチメソッドは統計手法ではないのでそれが許されるのだ。
確認実験が外れても当てはまるまでチューニング因子を活用しSN比の高い条件を見つけることは禁じ手ではない。なぜならタグチメソッドの目的にカイゼンがあるからだ。故田口先生はそこまで深読みされてタグチメソッドを完成された。メソッドを理解すると、改善できれば何でもありの世界が見えてくる。
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