日本は、科学偏重国家である。国家だけでなく民間でも「科学」を看板にするので科学偏重となる。たしかに、科学により産業革命は加速した。それは科学により生み出された形式知が唯一のものであり、誰でもその成果を享受できたからである。
しかし、科学誕生以前にも技術開発を推進した思考方法が存在している。それが、蒸気機関を生み出したのだ。この事実を真摯に捉えれば、非科学の方法を全否定する必要はない。
モノが生み出されれば、それを正しく評価する姿勢が重要である。学会も科学だけでなく非科学を議論できるようにすべきだが、マテリアルインフォマティクスは、せっかくのその機会を活かせないでいる。
日本人は何故非科学を嫌うのか。技術を前面に出している日産自動車は、いつの間にかトヨタとの競争に敗れ2位以下になっていた。エネルギー保存則に従えば、eパワーは、トヨタのハイブリッド方式に燃費で勝てない。
これは科学的に明らかだが、実際に都内を走ってみるとトヨタのハイブリッド方式と比較してもそん色はない結果となる。それだけではない。最近のトヨタのハイブリッド車はeパワーに近づく味付けがなされている。
自動車の「走り」の機能を味わいも含め比較すると、非科学的となるがeパワーに軍配が上がる。手短にはオーラニスモに乗ってみればわかる。FFと4駆では、少し味わいが異なるが、久しぶりにワクワクする大衆車に出会えた気分になる。
「技術の日産」というフレーズを子供のころから聞いてきて、日本の問題に気がついた。科学にとらわれず、技術開発に取り組む企業は日産だけか?
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面白いのは、最近トヨタはRAV4のハイブリッド車を300Hp越えで発売した。ただし北米である。日本では未発売だが、0-100加速は、オーラニスモを越える可能性が高いが、価格は2倍であり、レクサスと変わらない価格帯である。
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電動車分野で馬力競争が始まったようだが、価格を基準で予想すると、日産に軍配があがる。eパワーのほうが、ハイブリッド方式よりも圧倒的にコストが安くなる可能性がある。
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キックスのモデルチェンジでは、300万円台の価格でRAV4に負けない動力を搭載してくるのかもしれない。かつて、「100ccの余裕」でトヨタと日産の大衆車開発競争が始まった。
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あの頃を再現するような開発競争が電動車で行われれば、日本の経済状態が復活するような予感がする。技術の日産による新車攻勢に期待したい。
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現代を「産業革命の総仕上げの時代」と称した情報工学の学者がいる。ご存知のように蒸気機関の発明とともに産業革命が起きている。この時、「科学」という偉大な哲学が誕生した。
産業革命が先か科学が先かは、マッハ力学史を読むと、科学と非科学に関する考察から、蒸気機関の発明が産業革命を誘導し科学はそれを加速したことになる。
科学に関して日本における最近のブームは、1970年代に起きている。様々な科学論の本が出版され科学について議論されたが、その時科学者ではない科学評論家が日本では雨後の竹の子のごとく誕生している。
また、女性科学評論家のアイドルも誕生し、週刊誌はそれを持ち上げた。男性週刊誌のグラビアまでも賑わしたので、これはブームというよりフィーバーなのかもしれない。
1980年代にはセラミックフィーバーが起きナノテクブームへ移行する。残念ながら1990年代のバブル崩壊で日本における科学フィーバーは終焉する。この分野のアイドルも年をとり、忘れ去られている。
1970年から1980年代の一大科学フィーバーはアメリカの影響によるところが大きい。またセラミックスフィーバーがナノテクブームへと移行し今日まで続いたのもアメリカの影響である。
ご存知のように20世紀末に日本の状況に驚いたクリントン大統領がナノテクノロジーとバイオリファイナリー(バイオポリマー)の国家戦略に調印したことが日本に影響を与えている。
日本では、精密制御高分子プロジェクトや藻類のプロジェクトが推進されたりしたが評価されることなくナノテクとバイオリファイナリーでアメリカに差をつけられる。それだけでなく、新たに起きたGAFA勢力により推進された第三次AIブームで後塵を拝することとなった。
そこへ、「産業革命の総仕上げ」と唱える日本の学者が現れたのである。もう少しこの学者に注目した方が良い。弊社は科学と非科学が共存する時代と言い続けている。これは1970年代に雑誌サイエンスに投稿された「サイエンス&トランスサイエンス」を考察し続けた結果である。
残念ながら日本でトランスサイエンスが注目され始めたのは21世紀になってからであり、20世紀末の日本の科学ブームは似非科学評論家の跋扈により、トランスサイエンスが置き去りになって進行している。
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26,27日の2日間、広州で開催された再生材に関する国際会議に招待講演者として出席した。事前情報が少なく、最初の招待状では誰が講演をされるのか不明だった。
詳細は、どこかの雑誌に投稿しますのでそちらを読んでいただきたいが、なんと外国の講演者は小生一人であり、再生材の権威者的位置づけだったのであせった。
確かに、ゴム会社時代からタイヤのリサイクルに始まり環境問題を片手間に勉強してきた。ゆえに、日本では、その辺の高分子の環境問題を論じる専門家よりは詳しいと思っている。
ところが、世界において代表的な専門家と紹介されると、さすがに焦る。その結果プレゼンテーションは大失敗している。事前にそのようなことを聞いておればそれなりの心構えと準備をしていたが、当日では気持ちの整理もできない。
NHKの番組でも紹介されたりしているので、中国の廃プラゴミの状況をご存知の方は多いと思うが、テレビで紹介されていた時代は、はるか昔と思われるような状況である。
装置メーカーも参加して中国の再生材事業者が展示も行っており、大変勉強になったのだが、驚いたのは、日本の再生事業者が使用している装置よりも洗練され、合理的と思われるプロセスが紹介されていた。
例えば、PETボトルのリサイクルプラントは、日本の再生事業者が使用しているプールタイプではなく、縦長の流動層タイプであり、PETと他のプラスチックを流動層で分別しながら、洗浄が終わったPETリサイクル品は、極めて高純度なフレーク状態で得られる。
FDA(アメリカ食品医薬品局)の基準も満たしている、と説明されたのでびっくりした。日本ではサントリーがPETボトルリサイクル業者と共同でFDA基準のリサイクル材の開発に成功したばかりであるが中国では、10年以上前から行っているという。
その他詳細レポートをまとめて雑誌で発表するので原稿を希望される方はお問い合わせください。A4で数十枚の原稿を作成するのでニーズに応じたレポートを提供いたします。
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材料開発において分散技術は重要であるにもかかわらず、意外と杜撰に扱われている。何でもかき混ぜれば均一に分散すると勘違いしている人が多い。
例えば、水と油を分散すればすぐに気づくと思うが、分散後放置すると分離する。この分離速度は水と油の親和性だけでなく比重差も影響する。
ドレッシングで分離している商品を日常扱っていても分散技術の重要性に気がつかないのは、みかけ簡単な技術だからである。例えば攪拌ができればよいのである。水と油であれば振とうができればよい。
しかし、成形体物性を分散技術で制御するとなると簡単な技術ではできない。詳細は述べないが、セラミックスであればボールミル分散やタンブラー、V型撹拌機で乾式で行うのか湿式で行うかにより、得られる成形体物性のばらつきが大きく変わる。
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コロナ禍でクラスターという言葉が常識となったが、分散現象においてクラスター生成が全体の特性に影響を与えることはかなり古くから知られていた。
例えば、セラミックスにおいて泥漿を良く練らなければいけないことや、麺類においても同様に練りが舌ざわりや麺類のこしに効いていることは、それらを製造し始めた時代から職人には知られていた。
これが科学的に議論されるようになったのは、1950年代からで、カリフォルニアで起きた山火事の問題を解くためにパーコレーションが議論されている。
山火事の問題だから分散現象と異なると誤解されたためか知らないが、当方が日本化学会でフィラーの分散現象についてパーコレーションという概念を持ち込んだ時に、他の類似研究では混合則で議論されていた。
すなわち、パーコレーションという概念が材料科学に普及する前には、混合則と呼ばれる経験知が一般的に使用されていたが、数学者の議論が始まって40年以上経過して材料分野にその概念が知られるようになった、ということである。
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パーコレーションについて難解な数学理論が存在し、材料屋が使いこなすことが難しいが、これを易しくシミュレーションする手法を30年以上前に開発し、今はPythonの教材として利用している。
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もし、今からPythonを学びたい方は、この現象を題材に学ぶと効率が良い。サンプルプログラムもPythonのパラダイムを理解しやすいアルゴリズムで作成している。
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また、サンプルプログラムで、クラスという概念を学ぶ方法も指導しているので、問い合わせていただきたい。WEBセミナーであれば割引価格も用意しています。
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長期間使用せずに放置していた製品が、ある日触ってみたところべたべたしていて気持ち悪くなった経験があるかもしれない。
これは、弾力のある成形体でよく見かける現象である。昔は、ゴムと言えばすべて加硫ゴムであったが、今はTPEと呼ばれるゴムと樹脂のハイブリッド材料が多く使われている。
加硫ゴムでも設計が悪ければこのべたべた感の原因であるブリードアウト現象が起きるが、TPEでは高分子と添加剤の溶解性を考慮しても、ばらつきをもって発生する。
すなわち、TPEでは同一ロットにおいて、ブリードアウトの進行スピードが大きくばらついている。この点を理解していない、あるいは見落とす技術者が多い。
TPEと加硫ゴムでは何が異なるのか一言で表現するのは難しいが、みかけの溶解度が高い、あるいはゴム分子のネットワークの隙間が多い、と科学的ではない理由で納得していただきたい。
実際には、配合設計において加硫ゴムではフィラーとしてカーボンを多量に入れるが、TPEでは少ないか全く添加しない場合もある。このフィラーも溶解性に影響を与える。
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高分子材料を常に荷重のかかった状態にしておくとやがて破壊に至る。この寿命は、荷重の値や荷重のかかり方で大変大きな影響を受ける。すなわち高分子の寿命試験は、条件を限定しない場合に大きくばらつくということを知っておかなければいけない。
この経験知の有無で実用化の際に地獄と天国の分かれ道となる。例えば成形体密度の変動条件を見誤ると実験室で得られた耐久寿命よりも10倍も100倍も長寿命化したり、その逆も起こる。
また、破壊に至らなくても残留歪や応力の方向に変形する現象が起きる。身近の現象として、下着のゴム物性のばらつきを体感しているかもしれない。
変色し破れるまで使用可能なものもあれば、生地はしっかりしているのにゴムが伸びきったために使用不能となる場合を体験している人もいると思う。
中年になってゴムの劣化が激しくなるのは、ゴムにかかる応力が増加した可能性が高いが、最近の下着はゴムの交換ができないのでもったいない。子供のころはゴムを交換して生地がダメになるまで下着を使用できた。
身近なゴムの寿命のばらつきの大きさを知れば、高分子成形体の寿命試験を慎重に行う必要に気づくかもしれない。さらにその試験方法の問題に考察を深めたいと願望が出てくるかもしれない。
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立憲民主党の新しい代表に野田前首相が選ばれた。立憲民主党の中には、下野する引き金を引いた野田氏に反対している人もいるというが、そのような人は兵庫県知事を見て何か学んでいただきたい。
昔はイデオロギーなり主義主張に固まった姿勢が政治家に求められたかもしれないが、知識労働者が溢れている時代、知識や情報の進化が激しい時代の政治家は出処進退を迅速にかつ柔軟に判断できる思考力こそ重要である。
これは技術開発でも同様であり、科学という哲学に固まっていては、新しい技術を生み出すことはできないと思っている。生成系AIをいろいろ活用していて思うのは、非科学的な問題解決法の重要性である。
生成系AIで統計や乱数が使われていることはすでに知られており、かつてのエキスパートシステムしか使えなかったAIと異なり、その思考方法は柔軟である。
真理の探究に科学は不可欠であるが、訳が分からなくてもロバストが高く正常に機能するシステムは、それが人類に価値を提供してくれるならば重要である。
すなわち、非科学の成果でも有用なシステムであれば、それを受け入れる柔軟性を持ちたい。それが科学で証明されるまで待っているのはもったいないことである。
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NHKの朝ドラ「虎に翼」は、意外にもハードボイルドの朝ドラだった。朝ドラの最終週といえばたいていは、ドラマのまとめを明るく終わる。主人公が亡くなるか明るい未来を予感させるような筋書きである。
恐らく、今回もそのようなパターンになるのだろうけれど、尊属殺人をどのように明るく終わらせるのだろうか。しかもその事件の内容はここのところ話題となった性加害も含んでいる。
すでにネットではドラマの題材となった実際の事件についての解説が出ており、それを読むと、尊属殺人を定めた刑法が違憲で、被告が執行猶予となっている。
ゆえに、今週の展開はめでたしめでたし、となることが読み取れるのだが、めでたしとしても、日本の家制度の名残の条文を違憲とした画期的判例である。
たまたま大学の教養部2年の時に受講した法学の授業でも紹介されたので記憶している。法学に関心があったというよりも事件そのものが芸能界で起きた事件以上に衝撃的だった。
ゆえに、当方と同じ年齢の人も記憶に残っているかもしれないが、そのような事件を最終週に持ってきて、終わるのである。日本の家制度は戦後否定されたが、法律の中で最後まで生き残ったのが尊属殺人の条文という解説が先週あった。
調査官と最高裁長官とのコメディーとして描かれたのだが、最終週は大法廷の場面になるはずである。コメディータッチではドラマ全体が軽くなってしまう。
しかし、真正面から表現したならば朝ドラとして重すぎるのである。どのように描かれるのか楽しみであるが、このドラマで関心の薄かった法曹界の仕事、とりわけ山田轟事務所の異様な描き方から弁護士という仕事の特異性と社会的位置づけを学ぶことができた。
牧野富太郎のドラマが軽く描かれていたので、このドラマもそのようなドラマかと思っていたら、夜10時から放送しても良いような展開である。
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小泉進次郎氏の「無理して大学に行くな」発言が炎上している。おそらく小泉氏は大学進学熱が昔の状態と同じ、と勘違いしている。
日本では、20年ほど前から無理して有名大学を目指す風潮は無くなっており、大学浪人数は減少の一途で、予備校が慌てている状態だ。子供の減少スピードよりも速く確実に予備校利用者数は減っている。
無理して大学に行く人はすでに減少しているのだ。問題は、経済的な状況を考えず学歴を捉えていることである。高校無償化が叫ばれた時にも違和感を感じたのだが、義務教育制度を今のままとするならば、高校以上を無償化する施策よりも学びなおし、リスキリングをサポートする施策を検討するべきである。
中卒で社会に出た後、定時制高校で学ぶ、とか定時制大学で学ぶとか、そのような機会を自由に選べる社会とするべきだろう。
今でも遊んでいる大学生は多い。当方も大学3年まで遊んでいたので偉そうなことを書けないが、当方は、アルバイトの収入がゴム会社の初任給よりも1万円ほど多く、自宅通学だったので遊べたのである。
就職して月収が下がり、さらに、上司に言われ、80万円のローンを組んでいたので、経済的に遊ぶことができず、その結果、パソコンでデータサイエンスを研究する以外に楽しむことができなかった。
一番の問題は、個人の経済状態は、その考え方と努力で様々に変化することを誰もが真剣に考えているかどうかである。もし、18歳になって十分な収入を確保できないならば、一度就職し、定時制や通信制の大学で学ぶという手段がある。
「無理して大学に行くな」は、暴言である。大学に行きたいならば経済状態の工夫をできるよう政府も後押しする、と言えば炎上しなかった。
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