河瀨直美氏の東大入学式における祝辞が問題となっている。まず本件、大量に人が亡くなっている今、入学式の祝辞をこの人に述べさせたのが間違っている、と結論を書いておく。
映画作品を素晴らしく描くことができても思考方法がおかしいとこのようになるという典型例である。今男性映画監督に文春砲がさく裂しているが、これらの男性映画監督と比較しても負けない思考方法である。
また、この方の作品をよく理解したならば、ロシアとウクライナとが戦争をやっている最中の東大の入学式で語らせたら何を言うのか、おおよそ理解できたはずである。もしそれを期待して河瀨氏を招聘したとしたならば、内部批判でも言われていたように東大などいらないのである。
この人の目からは侵略戦争を単なるヤクザどおしの殺し合いにしか見えていないのである。代表的な作品と東大生に語った内容をよく読むとそのようにしか理解できない。
東大生の中にも祝辞を聴きそのように感じた人がいるかもしれない。ロシアとウクライナの戦争は、単なる殺し合いではなく、武力による現状変更を禁じる価値観が世界標準となった時代におけるヨーロッパで起きている戦争であり、どのような視点で見てもロシアの侵略戦争である。
実験でも同様であるが、まず目の前で起きている現象を先入観なく見ることが大切である。そして現象をそのまま評価したうえで、考え方を整理していろいろとアイデアを展開してゆくことが重要である。
ロシアとウクライナとの間の戦争を単なる殺し合いとして捉えたならば、「ロシアと言う国を悪者にすることは簡単で、悪を存在させることで安心していないだろうか」という問いかけとなるかもしれない。
ところが、今日の世界は、それなりのリテラシーのあると思われたロシアと言う国が平気で侵略戦争を始める悪であることが分かったので、安心どころか大慌てしているのである。
また、「自分たちの国がどこかの国を侵攻する可能性があるということを自覚しておく必要がある」どころか、ロシアが北海道に侵攻してきたらどうするのか、第九条をよく議論しなければいけない時代なのだ。先日北海道はロシアの領地と言う発言がロシアの重鎮から飛び出したばかりである。
争いごとが起きると「どっちもどっち」という無難な意見をしたり顔で述べる人がいる。しかし、やってはいけないことを明確に指摘し批判することは、秩序を保つために必要な努力である。
21世紀、領土の現状変更を戦争という手段で行おうとする行為は、理由や背景はどうであれ、絶対にやってはいけないことである。
ゴム会社で社長方針に従い新規事業を立ち上げたところ、研究所の同僚に業務を妨害されるという事態に、被害者が転職し無難におさめ新事業を守ったことを河瀬氏はどのように評価するだろうか、聞いてみたい。
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昨日は怪しいボイドの話を書いたが、結晶性樹脂の結晶成長により力学物性が低下する研究は多い。例えば環境対応樹脂のポリ乳酸は、加熱して耐久加速試験を行うと球晶が成長し、力学物性は劣化する。
すなわち、結晶成長により靭性が低下し強度が低下する。このような強度低下でも劣化したと判定される。PPSも同様で、例えば200℃で放置すると2-3時間で強度低下する。
PPSについて弊社が開発したPH01という添加剤を添加するとこれを防止できる。PH01以外にもカオス混合を用いれば対策手段は増え、用途に応じてこの10年材料開発を進めてきた。
興味深いのは、このような結晶成長抑制剤は、ある程度の量を添加しないと効果が発揮されないところである。結晶化促進剤は少量でも効果が出るが、結晶成長の抑制のためには5%以上の添加が必要である。
5%以上の添加となると、添加剤による可塑化効果が出始めるので、用途に応じて手段を変えることになる。結晶性樹脂の耐久劣化防止の技術を難しく感じるのは球晶やボイドの成長により力学物性に影響を与えているときである。
高分子の自動酸化や光劣化の研究データは多く発表されているが、このような球晶の成長やボイドが力学物性にどのような影響を与えるのかという体系的な研究は少ない。
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射出成形体にボイド(穴)が存在することをご存知ない方が多い。射出成形条件を最適化し0にできるかどうか知らないが、巣の入ったペレットを使ったりしたときに多数発生することがある。それ以外でもナノオーダーのボイドは0にできないのでは、と思っている。
この10年機会があれば射出成形体の破断面を観察し、このようなことを考えている。ナノレベルのボイドならば力学物性に影響しないが、このボイドが成長する可能性が出てくると、ボイドに対する考え方が変わってくる。
20年近く前にレンズ材料でこの現象に遭遇し、この現象がレンズ機能の耐久性と相関したので特許を出願している。光学的にも影響のないボイドなのだが、アニールしてやるとこれが大きく成長する。
科学的な研究を行っていないので空想のような話になるが、高分子材料には自由体積が存在する。もしアニール前後で自由体積の変化があればこのようなボイドの成長を理解できる。
おもしろいのはこのボイド観察を行った樹脂のDSC測定で得られたTg部分のエンタルピーを比較してやると、ボイドの変化と相関が出たのだ。
このような面白い現象が話題にならない点が不思議だが、その気にならなければ見つからない現象なのでご存知ない方が多いのかもしれない。
また、ボイドの成長の仕方は樹脂により異なる。もしこのようなボイドが経時で力学物性に影響を与えるほどの欠陥まで成長する可能性があるならば、射出成形体の劣化メカニズムの一つとしてとらえる必要が出てくる。
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高分子成形体の寿命について、その予測方法がいろいろあることがあまり知られていない。大別すると統計手法による方法と時間・温度換算則を用いる方法が知られている。
詳細は本日と金曜日のセミナーで解説するが、寿命予測というとアーレニウスプロットという考え方では研究開発に失敗するリスクが高くなる。
また、アーレニウスよりもラーソン・ミラー法の方が精度がよい、と言っていては駄目である。両者とも時間・温度換算則の方法なので特有の問題を抱えている。
具体的にクリープ破壊を取り上げて説明すると、セラミックスでSiCのように拡散クリープで進行することが科学的に明らかな場合には、寿命予測精度をそれなりに高くできる。
しかし、高分子成形体ではクリープのメカニズムが科学的に解明されていない。さらにレオロジーについてWLF式による時間・温度換算則が考案されたが、20世紀末にダッシュポットとバネのモデルが破綻し、現在再構築中である。
このような科学的に未解明な部分を抱えている状態で寿命予測を行うとどうなるか。これは説明の必要は無いと思うが、予測された結果が非科学的であることを覚悟しなければならない。
それならば、統計学による方法の方がまだ信頼性が出てくる。金属材料でも、例えば御巣鷹山の飛行機事故のように寿命予測を失敗した事例が存在するのだ。高分子材料の寿命予測についてもう少し慎重に熟考した方が良い。
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高分子の成形体は金属のそれよりも信頼性が低い。結構おおざっぱな表現だが、品質管理の視点から多くの技術者が持っている印象だと思う。
それではセラミックスと比較した時の信頼性は、どちらが高いか、という問題は回答が難しい。セラミックスの成形体技術には金属並みの信頼性を持たせる技術が存在するからだ。
電気・電子特性に限定するとセラミックスの方が信頼性が高い。ゆえに有機半導体が一時期ブームになったが、有機ELなど一部の製品化に限定されている。
無機ELも存在するが駆動方式の差異から表示装置用素子として扱いにくく、扱いやすい有機ELが普及したが、電球に関しては、寿命の長い無機材料のLED電球が普及している。
電球を有機ELで作ろうとした会社があったが、そもそも企画段階で寿命が短いと分かっていても事業化したので苦労している。
当たり前の話だが有機材料と無機材料とを比較した時に熱的安定性が大きく異なる。空気中で有機材料はどう頑張っても270℃を越えて安定でいることができない。
人間なんて45℃以上の熱湯さえも我慢できない。一世を風靡した熱湯コマーシャルは、皆その結果が分かっている馬鹿な試みを真面目にチャレンジしていたので注目された。
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昨日リーグトップの本塁打数9を誇る日ハムと楽天の試合があったが、TVではどこも放映していなかった。人気の無いカードかもしれないが、注目されてよいカードだったと思う。
かたやわずか2敗の楽天とたった2勝の日ハムの試合である。その戦いぶりは注目されてもよい。何といってもホームラン数がリーグトップを誇りながら最下位の日ハムだからである。
今朝、記事が出ていないかヤフーを検索しても木曜日までの記事が上位に出てくるだけで、金曜日の試合結果が1ページ目に出てこない。日ハムー楽天といれて、ようやく地方新聞の記事を見つけることができた。
記事を読むまでもなく日ハムが負けたのだろうと、検索結果から想像がついた。清宮が1本でもホームランを打っていれば各社が取り上げるような記事になったのかもしれないが、日ハムは0点だった。
おそらくビッグボスのパフォーマンスも話題とならないさみしい試合だったのかもしれない。せっかく検索したニュースだから読んでみたが、華となるようなプレーは無かったが、両チームの現在の状態を示す典型的な試合運びだったようだ。
三回早川は1-0の守りの段階で走者2,3塁のピンチを招いた。しかし、難なくWプレーとしたらしい。日ハムはそれなりに攻撃していたようだが、貧打4本で3点を取った楽天が3-0で勝った、とあるから、日ハムの問題が見えてくる。
野球という競技はサッカーと異なり、チームプレーの要素が少ないように見えるが、バッターボックスでどのような覚悟をしなければいけないのかという点で、サッカーよりも選手一人ひとりが厳しい試練に立たされるスポーツである。
そこでチームのことを考えて1本打てるかどうかがチームの強さを決める。イチローがアメリカで注目され成功したのはこの点である。大リーグの野球は大谷が話題となっているようにホームランを打つ選手が注目される。
しかし、イチローがアメリカで見せた野球は、チャンスでチームに貢献するヒットだった。個人の力量が注目されやすい野球だが、一人ひとりの覚悟のベクトルとその強さを最大限にするマネジメントが勝敗を左右するゲームである。高度経済成長期に野球がもてはやされた理由の一つがこれである。
今どちらかと言えばサッカーがマネジメントの模範とされたりするが、強い企業となるためには野球で勝てるようなマネジメントが重要となってくる。ただし、その時に昔の星一徹のようなパワハラは厳禁と時代が変化したことを忘れてはいけない。
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昨日のスポーツニュースは火曜日にサヨナラ勝ちした日ハムの記事が多かった。確かに火曜日勝っても現在のところ2勝9敗だからニュース対象になるだろう。
新庄監督は開幕前から今年は優勝を目指していないと宣言していた。照準はあくまでも来年の新球場、と言っていたが、これでは1年かけてトライアウトをやるようなものだ。
それもあってか、開幕から先発メンバーが一定ではない。目先の1勝より、今後の成長と考えてのことなのだが、スポーツニュースではこれが評判を落としている。
新庄監督は、プロに入ってくる選手は最初皆同じレベルなのだから、と育成の重要性を語っているが、ひどい記事になると、同じレベルでも育成で全員がイチローや大谷になれるわけではなく、育成してもカスだった、と言うこともある、と書かれている。
少しこれは書きすぎだろうと思っていろいろ読んでみると、納得のゆく話が書かれていたりして面白い。確かにスタートが同じレベルであっても育成における伸びしろには個人差があるだろう。
当方も写真会社で10年かけて高分子分野の博士2名を育てよう、と目標を掲げて育成に努めても途中で異動となり、1名育成できただけである。他の一名は、学位論文をまとめるところまでいったが、当方が異動した途端に学位を諦めている。
もったいない話であるが、仕事をしながら学位論文をまとめるのは大変である。当方も経験があるので部下たちにそのように配慮をしていたが、上司の理解の無い状態では、地獄に近い。
当方はその地獄以上のFDを壊され研究を妨害される事件までも体験してきたので、部下にも頑張ってほしかったが、自己実現も含め価値観が異なるのだろう。
サラリーマンの学位取得は、それにより直接会社の業績を左右するものではないが、プロ野球選手の育成結果は直接チームの成績に影響が出る。監督の理解があってもぬるま湯気分だったハンカチ王子の事例もある。
本人は努力していたかもしれないけれど、週刊誌情報を見る限り誠実真摯な努力だったのかは疑わしい。中日山本昌のような一途さが感じられなかったのはそれなりの原因がある。
ゆえに、日ハムファンと思われる記者は思わずカスはカス、と書いてしまったのだろう。しかし、野球も会社もチームワークで一人一人の能力を補うことができる共通点があるので、新庄監督にもう少し監督として頑張ってほしい、と書いておく。
カスに能力を発揮させるマネジメントは重要である。清宮が今年20本以上ホームランを打ったならば、新庄監督の育成は成功したと評価したい。昨年よりスリムになったのでハンカチ王子二世ではないと期待したい。今日はコロナ明けの楽天だ。中8日の早川投手を打ち負かすことができるか?
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家を新築した時に壁掛け時計を購入した。それには壁掛け用の樹脂製フックがついていた。樹脂製ということで心配したが製品に付属しているならば大丈夫だろうと思って使用したら、18年経ったときに突然その時計が落下した。
幸い家族の誰もケガをしなかったが、時計は壊れ床に傷がついた。壊れた樹脂製フックの破断面を見たところ、内部欠陥を起点にしたクリープ破壊であることを理解できた。
18年間トラブルなしで精度の高い時計で残念だったが、新しい時計を購入した。その時計には金属製のネジ釘がついており、それで時計を固定するように説明がついていた。
さらに他の留め具で固定した場合の問題については品質保証しない旨の説明がついていたので、おそらく壁掛け時計の落下事故というのがそれなりの頻度で起きるものらしいことを理解できた。
さて、その新しい時計だが、1年も経たずからくり部分が壊れた。カタカタ音がするので中をのぞいたところ折れた樹脂製の棒が出てきた。破断面を見たところ、クリープ破壊特有の模様が現れていた。
内部欠陥があった樹脂製フックは、18年の寿命だったが、からくり時計の樹脂部品の寿命は1年持たなかったのだ。とりあえず購入店に壊れた時計を持ってゆき、修理を依頼した。
品質保証期間内だったので無償修理となったのだが、3年後再度同じ樹脂部品が壊れた。保証期間を過ぎていたので有償修理となるが、新しい時計を購入するより安いだろうと思って、問題点を指摘した手紙と前回の修理記録を添えて修理に出した。
修理して戻ってきた時計には、修理記録とともに今回保証期間を過ぎていても無償修理との断り書きが入っていた。その時計は8年経っても新品同様に精度の高い時を楽しいからくり動作とともに順調に稼働している。
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4月1日から新しい法律が施行され、高分子材料のリサイクルが促進される。そのため、高分子材料は混ぜ物ではなく単一組成が好ましい、と言われ始めた。
当方は反対に多成分高分子のポリマーアロイ技術を開発すべきと考えている。理由は、高分子はただ混ぜ合わせただけでは物性が低下するためである。
リサイクルシステムの中で単一組成の高分子を維持できれば良いが、単一組成の高分子だけで提供されている電気製品は少ない。大抵は2種以上の高分子が使用されている。
そうすると余ってくる組成が出てくる心配がある。それらはサーマルリサイクルすればよい、と言う考え方もあるが、脱二酸化炭素の観点から好ましくない。資源再利用の観点から多成分高分子のポリマーアロイ技術を開発すべきと考えている。
2成分以上のポリマーアロイで実用化されているABSあるいはPC/ABSは、組成が変化すると力学物性が大きく変化することが知られている。PC/ABSではPC含有率を80%以上にするとABSの組成が変化しても物性への影響が小さくなる。
多成分ポリマーアロイに関しては研究事例が少ないが、特許にはそのような視点の発明を見出すことができる。アカデミアの研究者がチャレンジすると面白いかもしれない。
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PETの射出成形が悪いこと、そしてそれを改良する手段があることを連続して述べてきたが、この射出成型性について、樹脂が早く固化することと勘違いしている技術者がいる。
射出成形に限らず、他の成型方法でも重要となるのは、樹脂の融体のレオロジー制御である。とりわけ温度依存性あるいは周波数依存性が重要になってくる。
PETの粘弾性について温度依存性を測定してやるとTc付近で一気に動的弾性率が高くなる。すなわち樹脂が硬化する。ゆえに硬化速度が遅いわけではない。
このような場合に何をもって遅いとするのか早いとするのか明確にしないと科学的ではないが、少なくとも実技において、成形性向上のために制御すべきはレオロジー特性の温度依存性の最適化である。
それゆえ多成分のポリマーアロイとしてレオロジーの温度依存性を制御するとともに、結晶化速度も制御している。さらに結晶化速度だけでなく多成分のポリマーアロイとしたことで結晶子サイズの制御まで行っているのだ。
このようなアイデアは教科書に書いてない非科学的アイデアだが、出来上がったコンパウンドはここに書いたような特性と機能を発揮している。非科学的アイデアだが、アイデアの根拠となる現象を多数経験している。
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