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2022.08/24 プログラミング言語の習得は容易

外国語の習得とプログラミング言語の習得、どちらが容易か。プログラミングスキルの必要性を感じているならば圧倒的に後者の方が容易である(注)。


予約語の少ないスクリプト言語のPythonでは30分ほどその仕様を学べばすぐにプログラムを作成できるようになる。過去にプログラム作成経験があればオブジェクト指向プログラミングも可能だ。


今日の情報化時代において、コンピューターを必要としない知的職業は存在しない。コンピューターと対話をするためにOSの操作スキルだけでなくプログラミング言語の一つぐらいマスターしておきたい。


当方は、FORTRAN、BASIC、Forth、アセンブラー、C、C++、C#、JAVA、Pythonでプログラミング経験があり、CとC#の使用時間が多い。ただし、最近はPythonを立ち上げることが多くなった。


理由は無料のライブラリーが豊富にあり、手軽にプログラミングができるからである。最近、人工知能やGAFAで使用されているため、一般にも関心が高くなったので当方のスキルをもとにセミナーを企画してみた。


かつてBASICが初学者に易しい言語と言われた時代があったが、Fortranと変わらない難易度だった。言語仕様がほとんど同じだったからである。


30年以上前に容易なスクリプト言語としてPythonが登場している。その仕様はBASICよりも単純であり習得しやすい。さらにライブラリーなどのパッケージが豊富に無料で開放されているので、他のプログラミング言語に比較して短時間に目標とするプログラムを作成できる。


技術者がプログラミング言語を学びたいならば、興味深い現象や関心のある現象についてシミュレートしたプログラムをそのソースを変更しながら勉強する方法が一番良い。


これはプログラミングを長年趣味で遊んできた体験からのアドバイスである。今回コロナウィルスでも知られるようになったクラスター理論で引き起こされるパーコレーションという現象を独自のモデル化により作成したプログラムを題材にPythonのセミナーを企画してみた。


クラスターという言葉を2年以上聞いてきたのでその現象について興味のある人は多いはずだ。今やウィルス感染者は国民7人に一人がかかっている時代だ。


いつ濃厚接触者になってもおかしくない時代にクラスター生成について学んでみたい、そのような人でプログラミング言語を学びたいならばチャンスである。


皆でパーコレーションという現象を学び、クラスターができやすくなる確率を学び、現在が感染の危険レベルが高いことを知り、コロナ感染から身を守る知の一つをセミナーで習得してほしい。


皆でパーコレーションとPythonを学んで感染者を減らす工夫をしよう。無料セミナーも一日予定しているので問い合わせていただきたい。


(注)学生時代に外国人女性をナンパする目的で英会話教室に通っている、と言っていた同級生は、結局ナンパできるほどの語学力を習得することなく大学を卒業した。その後英会話教室で一緒に学んでいた日本人と結婚したというから、日本人である点が減点ではあるが英会話教室へ通っていた目的に対するそれなりの成果は出ている。学生時代にセリカを乗り回し英会話教室に通うぐらいだったので裕福な家庭だったのだろう。彼を見ていて思ったのは目的が明確であっても日本人がそれなりの英会話力を身に着けるには相当な努力とお金を要求されるということだ。中学時代に旺文社の英会話セットを親から与えられて中学二年時に道案内程度(英語検定3級レベル)はできるようになったが、それでも当時の金額で5万円と1年かかっている。外国人を道案内できるレベルと外国人女性をナンパできるほどの英語力とどれだけのレベル差があるのか説明できないが、Pythonで数値シミュレーションできるまでのレベルと外国人を道案内できるレベルとの語学習得のための容易さならば説明可能である。圧倒的にPythonの習得のほうが金銭面も含めて容易である。今コンピューター環境があれば無料でプログラム環境を手に入れることができる。予定している弊社の無料セミナーを聴講すればスキル習得も無料である。弊社としては有料でソフトウェアーソース付きのセミナーを受講していただきたいがーーーー。

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2022.08/23 シミュレーションスキル

9月に予定している「パーコレーションのシミュレーションプログラムを作成しながら学ぶPython入門」について少し説明する。参加希望者は申込ページから参加申し込みをしていただきたい。休日にも有料セミナーを入れたが、日程を調整してどこかでテスト用の無料セミナーを1回実施したいと考えている。


正しい問題が見出され、それを「考えるとき」にシミュレーションを用いると容易に答えが得られる場合がある。シミュレーションスキル(注1)は、情報化時代に技術者が身に着けておくべき重要な問題解決の武器となる。


プログラミングスキルもあれば、自分でシミュレーションプログラムを作成し費用をかけずに多くのデータを得ることが可能となる。ありがたいことにPython及びそのプログラム開発環境は無料で手に入る。


昔は、MS-DOSにCのプログラム開発環境を構築するために50万円ほどかける必要があった(注2)が、今や周辺ライブラリーも含めて無料である。また、ただPythonのプログラミング入門程度のセミナーならば、情報処理会社が開催している無料セミナーがある。


9月に行うセミナーでは、単なるPython入門を説明するつもりはない。簡単なパーコレーションのシミュレーションプログラムを作成し、それにより集められたデータを考察して問題解決した事例2題を用い、シミュレーションをどのように用いて問題解決したのか、その過程を公開する。


科学でシミュレーションは、仮説の検証手段として用いられたりする。そして本当にその現象が起きているかどうか、シミュレーション結果を再現する実験を行い、仮説の実証を行う。


技術開発では、機能が本当に動作するのか確認する目的と現象をうまく理解できない時にそのヒントとしてデータを集める目的で行われる。今回のセミナーでは、その両者の事例を示し、シミュレーションを用いてどのように問題解決したのか、考え方のノウハウを公開する。


科学の研究で用いられるシミュレーションと異なり、そのモデル設定の段階から実務の問題解決のヒントとなるセミナーとなるよう現在資料を作成中である。


簡単な数値シミュレーション程度ならばエクセルを用いてでもできるが、このような場合でもエクセルでプログラミングする時間と、Pythonでプログラミングする時間を比較すると、後者の方が短くなる。


カラムに数値を埋め込みながらプログラミングを行うエクセルは意外と面倒であり、VisualBasicを起動したくなるが、Pythonをデスクトップに常設しておれば手軽にプログラミングできる。


当方は最近VisualC#をほとんど起動しなくなった。ずぼらなプログラムでも簡単に動いてしまうPythonは、技術者の問題解決スタイルを変えるかもしれない。


ちなみにPythonはスクリプト言語であり、昔のPIPSの仲間でBASICよりも簡単である。使いこなせば先端のオブジェクト指向プログラミングも可能となる優れモノだ。


セミナーでは、同一プログラムをPythonで記述した時に、オブジェクト指向プログラミングの導入レベルを変更した場合についても説明するので入門の域を超えた内容となるが、実例によるセミナーの構成なので容易に理解できると思っている。


この点が、ソフトウェアー会社の無料セミナーとは異なる点である。Pythonは、これまでのプログラミング言語に備わっていた表現の自由度は無い、あるいは可読性をあげるようプログラム記述に制限をくわえている、そのため習得が易しい、と言われている。


制約のある自由度の中でも実は表現の自由を発揮可能である。規程など組織には様々な制約が存在する組織活動であるが、その中で自由に成果をあげてきたノウハウの公開でもある。


(注1)シミュレーションと聞くと、天気予報で示される雲の動きのような大掛かりな汎用性の高いソフトウェアーを想像する人がいるが、実務で問題に遭遇した時に手っ取り早く行うシミュレーションでは、そこまでの汎用性を備えたソフトウェアーは不要である。汎用性の高いソフトウェアーほど開発に時間がかかる。目の前の問題を解くためにヒューリスティックな解を得る方法の一つとしてシミュレーションを位置付けたときに、どのように考えたらよいのかは既存の書籍に公開されていない。また、既存のソフトウェアー会社は、そのようなシミュレーションに事業としての関心がない。技術者が九九を覚えるように身に着けておくべきスキルである。

(注2)Lattice社のCには豊富なライブラリーが用意されており、当方は120万円ほどかけて独身寮に開発環境を構築している。なぜ自腹を切る必要があったのかは、この欄の「花王のパソコン革命」に理由を書いているが、40年以上前アカデミアよりもアカデミックな研究所でもデータサイエンスは胡散臭い手法に見られていた。胡散臭い手法に見られていてもその技法に未来を感じ、率先して技術開発に用いてきた。パーコレーションのシミュレーションもゴム会社で独身時代に開発したプログラムである。正直にこのソフトウェアーの開発背景を白状するとスタウファーのクラスター理論が難しくてわかりにくかったので理解を進めるために簡単なモデルでプログラムを作成した。このプログラミングそのものはSiCのスタッキングシミュレーションよりは簡単であった。ちなみにSiCスタッキングシミュレーションは無機材研留学時代にBASICで開発している。当時苦労した思い出から現在の情報環境を眺めると天国である。現代の若い技術者は恵まれている。ちなみに業務とは無関係のクラスター理論を勉強していたのは、新入社員の時に指導社員から教えられたパーコレーション転移について研究していたからである。1950年代に数学者により開発されたクラスター理論はその後も発展し、今回のウィルス感染にも応用されている。コロナウィルスの感染シミュレーションに何やら先端の香りを感じていた人は勉強不足である。材料技術者にとってパーコレーションは40年以上前から常識である、と指導された。常識だと言われても身の回りでは複合則ばかりが跋扈しており、当方が日本化学会で発表しても新鮮な研究として受け取られたのでびっくりした。その時指導社員にからかわれたことに気がついたが、当方が学んだ時には、数学者が研究を初めてから20年経過していた。FDを壊され転職するきっかけとなった電気粘性流体はウィンズローがその現象を発見してから40年経っていたという。40年経過していても当方が開発したような傾斜組成の粉体や、微粒子分散型粒子、コンデンサー分散型粒子が新発明となったように、材料分野の進歩は遅い。MZ80Kが登場してMS-DOSが普及するまでに6年ほどである。その後ウィンドウズ95が登場し、今日に至るまでコンピューターの進歩には目を見張る。Pythonは登場して20年以上経つが、オブジェクト指向やジェネリック、リストなどC#のようなコンパイラーに実装された機能が簡単に利用できるようバージョンアップされ、たんなるインタープリターなスクリプト言語ではない。数値計算では用途によって、少し精度に気を配る必要があるが、すでにBASIC言語で体験したレベルなのでBASICを知っている人は、すぐに使えるようになる言語である。逆にCをはじめとしたプログラマーに自由が解放されている言語の達人は、制限された自由のためにイラつくかもしれない。当方は郷に入ったら郷に従う性格なのでPython文化にすぐに慣れた。

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2022.08/22 Pythonのセミナー

プログラミング言語Pythonが3年ほど前から注目され始めた。この言語に限らず、コンピューター関係のセミナーはソフトウェアー会社による無料セミナーが多い。


無料セミナーが多いにもかかわらず、弊社に問い合わせがあったので尋ねたところ、プログラミングの環境構築はできたが、実務で利用する場合の事例を知りたい、という。


これ以上は企業名が分かるといけないので書かないが、「花王のパソコン革命」という書籍がベストセラーになった時代を思い出した。


コンピューターは、その活用方法やシーンがあれば何にでも使える道具であり、そしてその無限の可能性ゆえに今日でも進化し続けている。


Pythonのブームは、それが人工知能AIに使われる言語として注目されて起きている。しかしPythonはCやC#同様のプログラミング言語である。


もう少し詳しくその姿を語ればスクリプト言語であるにもかかわらずBASICよりも進化した初心者にも使いやすいコンピューター言語である。


AI用とかGAFAで使われているとかといった評判が先行して何か特別感のある言語として誤解されている。そこでPythonをシミュレーションで使った場合を想定したセミナーを企画してみた。


当方は、世の中に情報工学科が登場する前から、データサイエンスを開発実務に導入して成果を出してきた。今その成果について公開できる事例のセミナーがセミナー会社主催のセミナーとして開催されている。


内容については問い合わせていただきたいが、この中にパーコレーション転移をシミュレーションし、材料開発した実績を事例の一つとして紹介している。


化学工業協会から技術特別賞を頂いているが、この時はPC9801(MS-DOS)でC言語を用いて開発したプログラムでシミュレーションしている。


これを事例にPythonのスキル獲得セミナー、すなわち実務でシミュレーションプラグラムを作成し、問題解決したストーリーとPythonの使用方法とを組み合わせたセミナーを企画してみた。


すなわち、実務でどのように正しい問題を設定し、それを解くためにコンピューターシミュレーションでデータを出す必要があったので、プログラムを短期で開発した。そして開発されたプログラムでコンピューター実験を行い成果に結びつけた話である。


パーコレーションを題材にしており材料系以外の方にも参考になると思いますのでセミナーの案内サイトから申し込んでいただきたい。


教材が出来上がってみると小学生の宿題「夏休みの自由研究」にも活かせると思いついたが、夏休みは残り10日を切っている。もし希望者がおれば、「1日で終わる夏休み自由研究」あるいは「親子でPython」などという企画も可能だ。


もし希望者がおれば、8月28日前後の開催となるが、企画してみたい。夏休みの宿題でなにをやったらよいのか悩み、困っている方は問い合わせていただきたい。


夏休みの宿題は、ソフトウェアー会社で公開されている無料セミナーでも代用可能だが、9月開催予定の当方のセミナーは、他では知ることができない知を提供予定である。


すなわち、パーコレーションという現象についてどのように考え、そこから制御された機能をどのように取り出し実用化したのか、そのプロセスを公開予定である。

カテゴリー : 一般

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2022.08/21 配合設計(1)

高分子材料にしてもセラミックスや金属材料にしてもそれを形にして利用するときには、どこかの段階で配合設計技術が必要になる。


道具だけでなく料理も配合設計が必要になってくるが、料理の配合設計と道具の配合設計との違いは、味見を舌でするかどうかという大きな違いがある。


刀鍛冶が出てくる番組で、刀鍛冶が刀をなめながら研いでいたシーンを見たことがあるが、これは例外として、一般に道具の配合設計では道具の機能について評価しながら最適化を行ってゆく。


材料設計に携わる人は、化学系の学問を修めた人が多いが、この評価をする行為に着目すると物理や数学のスキルも要求されるのが配合設計技術である。


化学系の人は物理や数学が不得意であることに大学へ入学して驚いた。理系を志すにあたり物理や数学が不得意だから化学を目指した、という友人もいた。


しかし、配合設計技術では化学同様に物理や数学のスキルが重要である。最近ではマテリアルインフォマティクスも取り入れなければいけないので情報工学のスキルも要求されるようになった。


もっとも、当方が学生時代に情報工学などという学問は無かった。情報工学を理系の文学部と表現している人がいるが、このような感覚では情報工学は進歩しない。


確かに文学部的ではあるが、科学のあらゆる分野に精通していることが要求される学問である。すなわち、化学や物理学、数学について配合設計ができるぐらいの知識があってはじめてマテリアルインフォマティクスの研究ができる。

カテゴリー : 一般 電気/電子材料 高分子

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2022.08/20 何が問題か

連日旧統一教会の問題が、ワイドショーで報じられている。表題は某代議士がその関係を尋ねられたときに発した言葉である。「何が問題か、わからない」


今回のワイドショー等での報道合戦は安倍元首相銃撃事件に起因するのだが、世の中は犯人の意図した方向へ動き、そして旧統一教会と政治家との結びつきが次々と明らかになってきた。


驚くのは自民党議員の該当者が誰一人として今後決別する、と明確に答えていないことだ。旧統一教会を宗教法人とした元大臣でさえ、国民が納得できる反省の弁を語っていない。


あたかもカルト集団に国内の政治が支配されているかのような錯覚に陥る。驚くのは公明党議員にも関係者がいたことだ。


今回のように旧統一教会が社会問題として大きく取り上げられ、ワイドショーで報じられればそれで視聴率が稼げた時代が過去にもあった。しかしそこから今日までカルト集団が政治支配を実現できたのは国民の関心が薄れてしまったからである。


その結果被害者が拡大し、今回の銃撃事件を引き起こすまでになった。何が問題か、問題が複雑になったのではなく、問題の渦中に本人がいるために見えないだけだった。


国民は今回の問題を次回の選挙まで忘れてはいけない。旧統一教会関係者を政治の世界から一掃しない限り、政治は良くならない。

カテゴリー : 一般

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2022.08/19 情報化時代の技術開発(12)

マテリアルインフォマティクスのブームであるが、データサイエンスを適用した技術開発は多変量解析が登場した40年以上前から行われてきた。何か目新しい研究ではない。


科学的ではないということで注目されていなかっただけだ。また、そのような手法を用いていると研究の妨害を行う企業研究所も存在し、当方は転職を余儀なくしている。


ところでこの手法は、科学の方法とは少し異なる。それが今注目される理由は、科学で答えられない問題が増えてきて、トランスサイエンスという言葉もポピュラーとなり、科学と非科学の境界が変わりつつあるためではないか。


それだけ形式知に関する情報が溢れていても問題解決できない事例が開発現場に多いのだろう。例えばPPSのトラッキング特性が射出成形条件が一定でもばらつく問題は、形式知で理解できない。


この現象では、PPSであるにもかかわらず100V程度の電圧で絶縁破壊した成形体サンプルを見せられたこともある。これではMAO処理に耐えられない。


ある方法でこの問題を解決でき、300V以上でもロバストが高く絶縁破壊しなくなるPPS材料を4年前開発しているが、このような情報は4年前の古い情報でも日本では知られていない。


PPSの変性方法をノウハウとして隠すため特許出願していないからである。ただし弊社からストーリーを変えてそこに添加された物資の特許をこの技術開発前に出願している。


その特許には絶縁破壊の言葉は出てこないが、射出成形でトラッキング特性がばらつく問題の解決方法に使える。このようなことはそれを解説されない限り不明である。


情報化時代であっても簡単には入手できない情報が存在していることを理解していない人は多いのではなか。非科学的な情報では技術的価値をすぐに理解できないことを知るべきである。


しかし非科学的であってもロバストが高い機能であれば十分に技術として成立する。それがトランスサイエンス時代の技術である。

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2022.08/18 日本の強み

急激な円安が進行し、70%前後の企業が苦しんでいるという。コロナ禍でも無ければ観光産業が潤うはずだが、1日の感染者数が世界一では外国人の来日を期待できない。


かつての高度経済成長期には「Japan as No.1」と騒がれ、原材料を加工して付加価値をつけて輸出するのが日本の強みとされた。しかし、世界の工場と言われた中国へ日本企業の多くは進出し日本は空洞化した。


日本の変遷をここで論じるつもりはないが、明治時代から高度経済成長に至った時代に「勤勉さ」が日本の強みとよく言われたことを考えてみたい。


ワークライフバランスという言葉に踊らされて、まず勤労の見直しが進んだ。派遣労働というスタイルがそれを加速したことも無視できない。最近は同一労働同一賃金が叫ばれ、正規採用の給料みなおしが進んでいる。


賃金の見直しについて高くなることを期待していたら、実質賃金が低下して驚いている正規社員が多いのではないか。韓国よりも給与水準が下がった、などという記事も出てきた。


枝葉の考察を進めてみても問題解決につながらないのは、「問題」というものの特徴であり、本当の問題を真剣に考えなければいけない。


日本の本当の問題は、意外にも単純であり、世界に誇れる強みが無くなった可能性がある。この強みについて、かつて「日本人の勤勉性」があげられている。


高度経済成長の時の日本人は勤勉だったが、今の日本人は勤勉でなくなったのか。これには疑問符をつける必要が無いのかもしれない。アメリカを真似したワークライフバランスを進めた時点で、日本人の強みと思われていた勤勉を否定したのである。


生産性を高めて人生を豊かに、という霊感商法のようなフレーズに日本全体が洗脳されたのである。生産性を高めても生産物を世界が買ってくれなければ、日本人は豊かになれない。


世界が買ってくれる生産物は「安くて高品質」か「高付加価値」製品となる。円安の進行について、日米の経済政策の違いが指摘されている。しかし、世界は日本に安くて高品質の製品を期待しているのではないか。


中国や韓国から日本の労働力を当てにして工場進出する企業が出てきた。日本からアジアへ工場が出てゆき、空洞化してから20年以上経ったのだ。


日本企業もIT技術を駆使して安くて高品質の製品を生産できる工場建設を国内で進めることが強みになるのかもしれない。そもそも日本人の勤勉さは現場のQCサークルに見られるように生産現場があって実現されたのだ。


ところが、半導体工場建設で話題になったのは、「技術者の不在」である。その結果日本がお金を出して外国企業に建設させるという誤った政策決定が行われた。これで強みが育つのだろうか。


半導体について日本にはまだ周辺技術で世界と競争している企業が存在している。このような企業を集結して「世界一の半導体工場を建設する」という発想にならないところが日本の問題かもしれない。弊社に相談されていたならば成功可能な秘策を提案している。

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2022.08/17 今時の教育

昨日自分の子供の夏休みの宿題の解答について写真をツイッターにあげた親がいて、その話題で少し盛り上がっていたようだ。


写真の内容は、男の子がブランコに乗っており、それを脇で見つめている女の子の気持ちを考えさせる問題だった。解答欄に小学生の男の子は、女の子の気持ちについて、「早くしろ、ボケ」と答えている。


もう一問質問があり、女の子の気持ちに対して男の子はどのように答えたか、という質問に対しては、「だまれ」と答えている。写真に映し出された文字の形状から4年生か5年生くらいだろうと思われる。


当方はこの写真に最初は絶句したが、その後思い直して親の気持ちを想像して素直に笑ってしまった。これには問題も悪いと感じた。おそらくこの問題の趣旨はブランコに乗りたい女の子の気持ちを考えて譲り合いの気持ちを期待したのだろうけれど、問いに工夫が無い。


当方ならば、教室の掃除をやっている男の子と、それを見ている女の子と言う設定で、それぞれの気持ちを答えさせたいと思う。これは難しい問題になるのではないか。「早くしろ、ボケ」的解答は、「もっときれいに掃除しろ」となるのかもしれない。


しかし、掃除の問題でそのように男の子は解答するのだろうか、疑問が出てきた。これは解答者である男の子が、掃除をやっている男の子の気持ちをどのように捉えるかに依存する。


そして黙って見ている女の子に対してどのように感じるかによっても解答は変わるだろう。おそらく小学生には解答が多数出てくる難しい問題になるのかもしれない。


男女協同参画が叫ばれてかなり経つが、男の子とは何者なのか、女の子とは何者なのか、夏休みなのでそのくらい考えさせる問題を出した方が良い。

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2022.08/16 夏休み自由研究例

小学生の夏休み自由研究は、それほど難しいことをする必要もない。身近な現象から題材を拾い出せばよいだけである。身近な題材には科学で結論など出せないものも存在するので無限である。


簡単に一日で済ませたいなら、コロナ感染者データを整理すると面白いかもしれない。2年分のデータのどこに着目するかにより、整理の仕方が異なる。


すでに発表されている考察に縛られる必要もない。なぜならそれらの考察だってあてにならないから今医療機関は大変なことになっているのだ。小学生がどのような考察をしたって許される。


現象を整理してその結果に対して考察する、という作業の過程が自由研究では重要であり、考察が正しいのか、間違っているのか、そこはあまり重要ではない。そこを重視しすぎると夏休み自由研究の長所が失われる可能性すらある。


あの日本を代表する理研ですらSTAP細胞の騒動ではいい加減なまとめをしているのだ。小学生が夏休み自由研究で多少おかしな考察をしても許容すべきだろう。それよりもその考察をまとめたことを褒めるべきである。


このような視点に立つと、夏休み自由研究のテーマは何でもあり、という気楽な宿題になるはずだ。夏休み自由研究は、昔から気楽な宿題だった。


以前空き缶のテーマを扱った話を書いたが、空き缶以外に家庭のトイレの汚れについて100件アンケートをとってまとめたこともある。このまとめは当時セロハン工場が近所にあって、その汚染水が下水に流れている証拠となった。


このアンケートは、便器に黒墨があるかどうかという簡単な質問だけで配布と回収に1日かけて、そのまとめに1日と、たった二日の手間だったが何か賞を頂いた記憶がある。宿題の内容よりもその効率の良さで記憶として残っている。夏休みの自由研究を廃止するという発想は子供の科学の芽を摘むようなものだ。

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2022.08/16 情報化時代の技術開発(11)

データマイニングとは大量のデータを統計学や人工知能を駆使して新たな知を取り出すことで、まさに情報化時代の知の獲得方法だが、新しい方法でもなく、多変量解析が登場した40年以上前から行われてきた手法である。


ただ、科学の方法が過信されていた時代でもあり、IBMの大型コンピューターにサービスパッケージとして多変量解析プログラムが存在しても理系の利用者は少なく、人文科学系の研究者が多く使っていたようだ。


電気粘性流体の耐久性問題をデータマイニングで解決し、さらに画期的な傾斜組成の粉体を同様の方法で開発したとたんにデータFDをいたずらされる事件が起き始めた。


犯人は科学的ではないという理由で実験の妨害をしてきたのである(注1)。ドストエフスキーの世界ではあるまいが、アンチ科学と見なされて迫害されたような状態となった。


データマイニングによる問題解決手法は、科学こそ命と考えている人には許されない思考方法かもしれない。また思考方法が科学と異なる魅力があるゆえにマテリアルインフォマティクスでは、その手法(注2)に注目が集まり、本来の新しい技術を生み出す目標実現の事例発表が少ない。


当方は、新しいアイデアを練る手法の一つとしてデータサイエンスに注目してきた。シミュレーションもデータを大量に得たい時には重要な技法となり、これでいくつかの材料開発を成功させている。


データサイエンスだけが当方のアイデア創出法ではないが、来月サービスプログラムとして、当方の実践してきたデータサイエンスの手法を公開したい。手始めに日曜プログラマーとして腕を磨いてきたプログラミングに関するセミナーを準備し始めた。今週中にセミナー募集を行います。


(注1)犯人に謝罪をもとめたが、謝罪どころか開発手法を非難された。また本部長は事件を隠蔽化すると言われたので転職以外に道は無くなった。社内ベンチャーとして起業した高純度SiC半導体治工具事業について住友金属工業との共同出願も完了していたので一区切りついた時期でもあった。研究開発本部のリーダーも含めてデータマイニグによる問題解決手法を非科学として嫌っていた時代があった。

(注2)手法の研究は科学的に進めることが可能である。ただし、その手法で問題解決した場合には厳密な意味で科学ではない。しかし、科学と非科学の境界は時代により変化すると言われている。30年前はその手法による開発を妨害するような人が支持された時代だが今は実体の成果が出なくても手法研究がもてはやされる時代になった。

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