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2013.03/02 研究開発の落とし穴

研究開発は、どこの企業でもその成功率を管理されていると思います。20年程前ステージゲート法が注目され、各企業に導入が進みました。この呼称は様々かもしれませんが、企画から商品になるまで関門を幾つか作り、研究開発を管理する手法は、商品化段階に近づくにつれ、マンパワーなどの経営資源が多く投入されるので失敗のリスクを少なくするために重要です。

 

ステージゲート法では、各ゲートにおける課題の検討が重要であることは言うまでもないが、企画から実際の研究開発開始に移るゲートの成功確率をどの程度においているかという点についても重要である。理想的には、市場が存在する限り、あるいはニーズがあって事業が成立する限り、企画段階から研究開発段階へ移行するときには、成功率100%とすべきである。すなわち研究開発をスタートしたテーマは、開発完了段階で事業として成立する可能性が無くならない限り、打ち切るべきではないと思います。

 

この考え方には反論のある方も多いかと思います。別の表現を行えば、研究開発を100%成功させるために、企画段階で何をしなければいけないかよく考えるべきだ、ということです。企業で研究開発を担当していましたときに、企画をどのように通すかに精力を使われる方が多く、いつも疑問に思っていました。筆者の場合には管理職の立場で、仮に企画が通過しそうになっても議論の場で自分から取り下げたこともありました。逆に研究開発段階に移り、事業性がある限りは、筆者自ら現場に出て必ず研究開発を成功させる意気込みで仕事を進めました。

 

大企業では、一つや二つ製品化段階で中断しても倒産するリスクはありませんが、中小企業では一つの研究開発の失敗は倒産につながる場合も出てきます。本来大企業でも研究開発企画の評価には、中小企業同様の厳しい評価が必要と思っています。研究開発の成功率を上げるために、企画段階で何をしなければいけないかご相談ください。

カテゴリー : 一般

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2013.02/19 コストダウンの技術開発

技術開発は、新機能の開発と思っていました。社会人になって新機能の中にコストダウンも入る、と学びました。すなわちコストも機能だ、と。写真会社に転職し、コストよりも機能という考え方の会社もあることを知りました。この時、機能にはコストの考え方はありません。100円ショップという事業をみますと、やはりコストを機能に含める考え方の方が合理的です。

 

コンピューターの登場で、ソフトウェアー技術に注目が集まりました。そしてソフトウェアーが標準化されたとき、莫大な利益が生み出されることも知りました。コストダウンという目標はある意味ソフトウェアー的側面があるように思います。すなわち企画からユーザーまでのすべての段階においてコストダウンのネタは存在し、さらには会議のやり方まで含めればコストダウンとは古い技術の領域からはみ出てしまいます。しかしソフトウェアーとしてとらえればこれも技術に入れてもよいと思います。

 

生産場所を人件費の安いところへ移すのは、簡単にコストダウンする方法です。しかし、それぞれの産業を細かく見てゆきますと、日本で生産できている業種もあります。付加価値の高い業種に多いですが、100円ショップの商品の一部に日本製があるのを見つけるとびっくりします。人件費の問題をうまく解決して日本で生産しているのです。

 

コストダウンという問題は、弊社の問題解決法の特徴が表れる問題です。従来の問題解決法では当たり前の答しか出なかったのが、当社の問題解決法では奇抜なアイデアも生まれる可能性があります。

カテゴリー : 一般

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2013.02/18 未来技術

3.11で世の中は大きく変わりました。とりわけ原子力エネルギーに対する考え方は、180度の変化です。国民のだれもが未完成の技術で商用運転を行っていた実態を知ってしまいました。福島原発の事故は、天災で始まっていますが、事故の状況について報じられた内容を見る限り、商用運転してはいけない技術でした。

 

現在販売されている家電製品のマニュアルを見ていただけばわかりますが、注意書きには起こりえないことまで想定された注意が書かれています。しかし、原発の事故対策は発生確率で低い場合には対策を行わない、という考え方で設計されていたのです。また事故後の対応においても、電源車との接続において、コネクターが合わず電源供給できなかった、とか、ベントにフィルターがついていなかった、とか、およそ商用運転されている商品として怪しい状況が報じられています。さらに、いまだに使用後の燃料棒の処分方法が決まっていない、というありさまです。家電のように家電リサイクル法で商品そのもののリサイクルが義務づけられている時代に、原料の処分法すら決まっていないのです。原発を商品として見た場合に、再稼働を議論するときには、実験運転を行うという前提で議論する必要があります。

 

原発がこのような調子ですから、未来技術としてエネルギー関連技術が花形産業を生み出す、と考えました。すでに太陽光発電や風力発電が立ち上がっていますが、ごみ発電技術は経済的に可能性が無いのでしょうか。かつて名古屋市長がゴミの分別回収で政府に苦言を呈したことがありました。細かい分別回収をしてきたのにそれが無駄になったからで、さっそく名古屋で有識者が集められてゴミのリサイクルではどの方法が良いのか議論されました。その結果サーマルリサイクルが最も良い、との結論でした。熱エネルギーとして取り出せるならば発電は容易です。

 

ごみ以外の燃料では、ジャトロワや藻、チップなどのバイオエネルギーの経済的生産技術が立ち上がる可能性が見えています。藻の場合には、ガスタービンを工夫して藻をそのまま燃焼できる技術を開発すれば最も経済的に発電ができます。光合成で藻を育てるのは琵琶湖のような湖を使うことができます。藻の繁殖力と藻の回収速度をバランスさせればよいわけです。藻と水の分離では、熱エネルギーを使うのではなくフィルターワークで十分です。

 

集中発電の方法以外に分散発電技術も出てきました。エネファームなどの燃料電池で、ガスの供給ラインを使って発電するシステムです。電気代が高騰していますから、経済的に十分釣り合うようになってきました。また、スマートグリッドへの移行も可能です。太陽光発電や風力発電、水力発電、地熱発電など様々な発電技術に可能性が出てきました。このような分散発電では蓄電池が重要になってきます。また高電圧を制御する必要から、パワートランジスタのニーズが高まります。

 

電気自動車のような移動体に電気を供給するシステムの開発も重要です。わざわざコネクターをつないで電気供給する方法では利便性が悪いです。また高速充電システムも必要になってきます。電気の供給であれば無人化も可能で、ちょっとしたスペースがあれば電気を供給できるような、それこそ駐車場のどこでも駐車中に電気供給できるようなインフラにすれば一気に電気自動車が普及するように思います。新しい電気電子デバイス以外に膜技術も重要です。従来の熱エネルギーを用いた分離方法から膜分離へ移行する可能性があります。膜分離技術は省エネ技術です。

 

家庭内の創エネ技術も太陽光発電以外に登場する可能性があります。家庭内には発熱製品や振動製品がたくさんあります。そのような発熱媒体や振動媒体から電気を回収するシステムです。コストが問題になりますが、材料技術が進歩すればぺロブスカイト系の材料で経済的な熱電変換素子ができるように思います。

 

こうしたエネルギー関連の未来技術はまだまだたくさんあり、具体的なアイデアもあります。これらを公開する企画を考えていますが、事前に情報を入手したい方はご連絡ください。

カテゴリー : 一般 電気/電子材料 高分子

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2013.02/05 迅速な研究開発を可能とするマネジメント<3>

高純度SiCのパイロットプラント建設と樹脂混練プラント建設、再生樹脂の開発の3例をもとに迅速な研究開発を可能とするのは管理者がどこまでリスクを深く理解し、そのリスクを回避する努力を行い常に成功しようとする決意にある、と説明してきました。この3例は研究開発のシーンでは異常な例なので参考にならない、と受け取られたかもしれませんが、通常順調に進められている研究開発でも高いリスクがあることを管理者は理解しているだろうか。

 

余裕のある開発計画で進めた場合でも、失敗のリスクを0にすることはできません。例えば高純度SiCのテーマの場合、S社とJVを開始するまで6年の歳月がかかりました。S社とのJV開始時には、短期間で完成させたパイロットプラントをそのまま使用しています。仮にパイロットプラントを3年かけて建設しても事業として成功するまでの期間は同じでした。

 

おそらくパイロットプラントの建設まで3年かけていた場合には、パイロットプラント建設の前にテーマが中断されていた可能性があります。技術として成功することが分かっていても事業として成功するかどうかは、先端技術の場合に企画段階でだれもわかりません。ゴム会社という半導体とは全く異なる業種で高純度SiCのテーマを推進するときの最大のリスクは研究開発中断という経営判断です。1g程度のサンプルで2億4千万円の先行投資を受け、1年弱の短期間でパイロットプラント建設を行った理由は、セラミックスフィーバーが終われば、テーマ中断の経営判断が出ることが予想されたからです。高純度SiCの事業は日本化学会科学技術賞を受賞し、現在もゴム会社で事業が30年近く継続されています。

 

事業の成功因子と技術の成功因子は異なります。前者のリスクと後者のリスクでは、後者のリスクの方が確実に予測可能です。100%可能な場合もあります。最初にあげました3例は技術として100%成功する自信がありましたので短期間でやり抜く決心ができたのです。しかし前者のリスクを100%取り除くことはできません。本来研究開発というものは技術のリスクのみ管理するステージと事業のリスクを下げるステージの管理とわけて推進できればよいが、どこの会社も研究開発管理者に対し、初期段階から両者を要求しています。

 

そのため初期段階に華々しい事業計画を示し、研究開発の途中でも技術の実力よりも事業可能性ばかり説明し、経営陣をだますような管理者が出てくるのです。およそ、その会社の事業として大きく育たない可能性が見えていても10年続けた馬鹿な研究開発事例も見たことがありますが、技術と事業の関係性よりも事業の華々しさだけを強調していました。経営がこのような管理職に騙されないためには、実務担当者に直接技術の市場における位置づけを聞くとよいです。実務担当者に10年続ける意思があるかどうか問えばよいのです。実務担当者にその覚悟が無ければトップの技術は育ちません。トップの技術が育たなければ後発で市場参入する場合に勝てるわけがありません。

 

高純度SiCのテーマは実務担当者として推進しましたので、トップレベルの技術の成功のみ考えていました。しかし、樹脂の混練プラントや再生PETの場合には管理者として担当していました。実は、管理者として担当したこれらのテーマは事業としての成功は100%、技術としての成功も100%分かっていたテーマです。むしろ、必ず事業で必要になる、とわかるまでテーマを推進しなかった、という言い方の方が正しい。研究開発を100%成功させるには、事業としての成功が読めるところで推進すればよいのです。

 

 

カテゴリー : 一般

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2013.02/04 迅速な研究開発を可能にするマネジメント<2>

迅速な研究開発を指向した場合に、昨日の事例にありますように、担当者の立場よりも管理職の立場のほうが、確実にスピードアップできます。すなわち、万能薬の一つは、管理職がどこまでリスクを負う覚悟をするかで研究開発のスピードが決まります。覚悟をするためには管理職がリスクの全てについて見えている必要があります。そしてその対策ができていることです。実は研究開発ではリスクとスピードの関係は明確ではありません。ゆっくり推進しても失敗する時には失敗します。現代は、市場参入機会が重要でむしろスピードアップしなければリスクが高まる不確実性の時代であることを管理者は悟るべきです。

 

高純度SiCの開発では、半年で立ち上げることも可能でしたが、最低限の基礎データが求められました。しかし、混練プラントの建設では、最低限の基礎データも無いままにプラント建設に走りました。管理職でありました私に自信があったからです。再生PET開発では、予想外の人的ミスがありました。しかし、周囲のバックアップに助けられ何とか製品化されました。

 

これもスピードが遅くても発生する問題ですが突発的な想定外の事態が起きた時の対症療法は万能薬になります。万能薬の2つめは組織風土の問題があります。迅速な研究開発では、スピードアップした分だけリスクが高まる因子が必ず出てきます。それをいつでもバックアップする風土が無ければ管理者は安心して迅速な開発ができません。もちろん推進している管理者の仁徳も風土同様に大切です。単なる暴走族の管理者であれば、周囲は見放します。仁徳は一朝一夕にできない悩ましい問題です。故ドラッカーが指摘したように真摯に生きる姿勢が大切です。

 

万能薬の3つめは、弊社で販売している問題解決プログラムです。このプログラムでは、クライアントのご希望により、上記万能薬の内容も盛り込んで販売しています。独特のコーチングも提案しております。詳しくは弊社へお尋ねください。

カテゴリー : 一般

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2013.02/03 迅速な研究開発を可能にするマネジメント<1>

バブルがはじけて以来、研究開発のスピードアップが言われ続けているが、この20年特効薬について話題に上らない。おそらく万能薬が無いため、と思います。

 

ゴム会社における高純度SiCの開発では、研究シーズが生まれてからパイロットプラント建設までに1年と1ケ月の極めて超スピードの展開でした。これは世の中がファインセラミックスフィーバーのさなかで、世界初の経済的な高純度セラミックス合成法という経営にもわかりやすい成果だったから、と思います。企画および推進担当者としてキツイ毎日でしたが、経営トップのバックアップがあったために業務を何の障害もなく進めることができ、短期間で成果を出すことができた。

 

一方定年間際の再生PETの内装材実用化では、企画から量産まで半年であったが、これは周囲の援助の賜物でした。難燃剤無添加でUL94-V2を狙った意欲作のつもりでしたが、ここでは書きにくい失敗談があります。しかし、同僚のバックアップで何とか製品にのりましたときには、改めて迅速な研究開発とは何か、どうしたら実現できるのかが見えたような気がしました。

 

話が前後しますが、基盤技術など何もない中で、企画申請から設備投資決定、混練プラント立ち上げまで4ケ月というウルトラC級の開発もあります。マネージャーとして推進した成果ですが、この開発では裏ワザの連続で、社内の研究開発管理規程をどのように帳尻を合わせるか企画申請前に十分な戦略を練りました。

 

以上迅速な体験談を3つ例示しましたが、この3例から、迅速な研究開発を実現できる万能薬がある、と思っています。それは明日。

カテゴリー : 一般

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2013.01/25 アジアの動向と研究開発

アジアにおける日本の評価、特に親日的であるかどうかは極端に分かれています。先日の高分子同友会における報告会でもアンケート結果で示されていましたが、ある二か国は極端に反日的で、他は親日的です。特に旧ビルマのミャンマーは親日度が高いです。

 

これは先の戦争だけでなく、元寇の時代あるいはもっと古くの時代の戦争も考えなければいけないのでしょう。とにかく最も長くお付き合いしてきた国が最も反日的というのは不幸なことです。

 

C+1という戦略が改めて話題になっていますが、完全に生産場所をタイやインドネシア、インドに移すという案も出てきています。しかし、インフラが整っていない状況では制約があります。海外生産の悩みはともかく国内の経済活動をどうするのか、20年以上たちましても妙案が出てきません。一応就職率は改善しつつありますが、まだ100%ではありません。

 

今、新しい形態の農業が見直されています。また、メタンハイドレートなどの資源エネルギー分野にパラダイムの変換が必要なネタが出てきています。石油リファイナリーからバイオリファイナリーへの転換が数年前言われましたが、国内の資源見直しを進め新たな産業を興すことが急がれています。研究開発のやり方も考えなければなりません。

 

バブルがはじける前にステージゲート法を採用してきた企業も多いかと思います。研究開発の成功率を上げるのには成功しましたが、イノベーションの可能性は下がってきたのではないかと思います。研究開発は投資配分をうまくいやれば、ステージゲート法でなくともよいように思います。研究開発の成功率よりも研究開発投資の効率を上げることが重要と気がつきますと、ステージゲート法でなくとも研究開発管理はうまくゆきます。今イノベーションを引き起こす研究開発が大切です。

 

 労働集約的な生産場所が人件費の安い地域へ動くのは仕方のないことです。国内では、付加価値の高い産業をどんどん興してゆく必要があります。

カテゴリー : 一般

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2013.01/24 高分子同友会第一次東アジア化学企業調査団報告

昨日高分子同友会第一次東アジア化学企業調査団報告を拝聴いたしました。

 

この活動は、高分子同友会が1979年以来5年ごとに行っている化学企業の調査ですが、以前は先進国の調査が目的でした。しかし、今回は成長著しいアジア諸国が対象で、その第一回ということだそうです。

アセアン地区のベトナム、タイ、マレーシア、インドネシアが候補で今回はタイとインドネシアの状況報告です。

 

詳細内容は高分子同友会で訪ねていただきたいが、タイではPPT Global Chemicalという巨大コングロマリットが生産活動を行っており、その規模と技術に驚きました。基礎化学品の生産能力があれば20年後日本の企業はいらなくなるのではないか、と思われるような状況です。

 

インドネシアではPT.Chandra Asri Petrochemical社へ訪問したそうですが、ここは天然ゴムベースのABSを製造している会社で興味を持っていたのですが、詳細説明はありません。

 

終了後の懇談で事務局に問い合わせましたら、今回はバイオ関係のテーマは調査からはずし、基礎化学品に絞ったとのこと。ベトナムも含めこの地区の特徴はケナフやジャトロワ、そして古くからある天然ゴムという非可食バイオポリマーの産地であり、それを利用した産業が重要と思います。

 

しかし、研究開発力が未成熟の為、バイオケミストリーまで手が回らないとのこと。感心したのは、これだけ化学工場が活発に生産活動を行っていても、公害が起きていないことです。訪問団の感想として、日本よりも空気がおいしかったとのこと。おそらく日本をよく勉強したのだと感じました。次回は2年後。

カテゴリー : 一般 高分子

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2013.01/23 バイオディーゼル

日産自動車からスーパーチャージャー付自動車が販売され好調という。常時ターボを効かせるターボチャージャーよりも燃費が良い。HV一人勝ちの自動車業界で、燃費を改善する様々な技術が出てきている。マツダからはヨーロッパと同様のディーゼルエンジンを環境対応とする技術の提案があった。従来のディーゼルエンジンと異なり、排気ガスの浄化レベルとエンジンの振動レベルが著しく改善されているという。

 

燃費改善手段として、このディーゼルエンジンを選択するというアイデアは、バイオディーゼルの技術の進展と結びつけると、面白い展開になる。デンソーは藻からバイオディーゼルを取り出す技術開発を進めているが、これが事業化されるとHVよりも環境対応力が向上する。バイオディーゼルについては、ジャトロワなどの開発が進みすでに実用化され、問題も出てきた。バイオディーゼルもあと20年すれば、技術が収斂すると思われるが、単純に植物から油を搾ればよい、という問題ではなさそうである。なんでもそうだが、量産してみて初めて分かってくる問題もある。

 

自動車の動力について電気自動車が環境対策として本命になっているが、バイオディーゼルが普及すれば、状況が変わってくるように思われる。コードレスで充電する技術も開発されつつあるが、電気自動車の泣き所は、燃料電池以外では、エネルギーの補給に時間がかかることである。急速充電技術にも限界がある。長距離の移動体はバイオディーゼルエンジンが本命のように思われる。

 

あるいは小型のバイオディーゼルガスタービンエンジンを発電機として使用する電気自動車というアイデアもあるが、いずれにせよ、植物から油を経済性よく取り出す技術は、今後発展すると思います。日本は四方が海に囲まれていますから海洋植物で経済性良く油を産出する植物が見つかればメタンハイドレート並みのブームになるかもしれません。

 

海洋植物から油を取り出す技術は、藻から油を取り出す技術よりも長所がいくつかありますが、風力発電システムとの組み合わせプラントが、化石燃料も使わない究極のエコ技術です。

カテゴリー : 一般

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2013.01/18 Li二次電池とボーイング787

昨日ボーイング787のLi二次電池事故の記事が新聞に載っていました。今週同じ話題で書いたばかりです。ただ2回3回と事故が続きますと、福島原発と同じように技術者の良心を疑いたくなります。

 

35年前の新入社員研修発表会で軽量化タイヤの技術発表をした時の話です。数年前お亡くなりになり葬儀に参列させていただいた尊敬する技術者の一人、CTO(当時)から「君にとって軽量化タイヤとは何か」と問われました。すなおにスペックを応えましたら、叱られました。CTOの意図は、タイヤは命を乗せて走っている、ということを新入社員に教えたかったわけです。

 

すなわちスペックを満たしても、初めてのコンセプトの製品については商品にしてはいけない、とまで言われました。実地走行の安全試験を繰り返したデータが重要と、タイヤという製品の品質について厳しく教え込まれました。非科学的ではありますが、実験室で実際のノイズをすべて再現できるわけではないので安全性確保に実地試験が欠かせません。

 

当時オイルショックもあり、軽量化タイヤは時流に沿った製品で開発はかなり早い時期から行われていたのですが、製品化は「問題が無かったにもかかわらず」遅れます。安全試験にかなりの工数を割いたわけです。驚きました。石橋をたたいても渡らないその姿勢は、設計が全く新しい初物を製品化するときに重要であることを今更ながら思いだし、今回の事故で改めて身に染みました。軽量化タイヤの経験から、Li二次電池をジャンボ飛行機に載せるには、まだ数年必要ではないでしょうか?せめて小型機の搭載実績を積み重ねてからジャンボという手順を踏むべきではないでしょうか?

 

実際の製品の中で問題を抽出する手段も技術開発では時として行われます。しかし、飛行機という地に足がついていない商品でそれを行うのは、あまりにも危険です。一部の報道で低燃費飛行機として初めての技術がいくつか使われているので初期故障が起きているだけ、という説明がありましたが、事故が起きた場合には人命に直接影響するという特殊な乗り物では、その説明は間違っていると思います。飛行機という乗り物は初期故障さえ許されない乗り物である、という安全哲学こそ重要と思います。

カテゴリー : 一般 電気/電子材料

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