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2012.08/30 研究開発におけるコーチング(事例2-1)

ドラッカーは、クライアントに「何が問題か」とまず尋ねることにしていたそうです。研究開発では、テーマが決まっているので「何が問題か」という質問はナンセンスあるいはそのような質問は必要ないと感じている方もいるかもしれません。

 

しかし、研究開発でも環境変化が生じた場合には、「何が問題か」と問う姿勢は重要です。さらに、「あるべき姿」に影響は無いかを検証する必要があります。

 

例えば20年以上前の転職したころの話ですが、シリカをコアにその周りをアクリル系高分子で被覆したコアシェルラテックスを開発している担当者がいました。その頃ライバル会社による多数の特許が公開になり始めていました。このような状況では、一度テーマの見直し、さらには技術開発戦略そのものの見直しが必要です。

管理者が対策を打たなければ、担当者は特許をすり抜けるモグラたたきを始めてしまいます。当時見かけはうまくいっているように見えて実はモグラたたき状態でした。このモグラたたき状態というのは注意をしないと管理者の立場で見えないことがあります。この点は後日お話するとして、モグラたたき状態の担当者とのコーチングについて経験をお話しします。

 

モグラたたき状態で熱くなっている担当者にテーマの見直しを考えさせるのは難しい場合が多いと思います。特にやる気満々の担当者であれば、モグラが数万匹いても叩くぐらいの気持ちで仕事をやっていますので、方針変更をコーチングで納得させるのは大変です。このような場合には、テーマ目標となる「あるべき姿」をコーチングスキルを発揮し、とことん話し合うのが有効です。そして、管理者が思い描く「あるべき姿」と担当者のそれが最後まで一致しなければ、その担当者にはテーマを担当者の方針で継続させ、別の担当者に管理者が思い描く「あるべき姿」を目標とする技術を検討させるのが寛容です。これは研究開発現場において一般のコーチング手法に限界があるためで、スキルが高く思い入れの強い担当者の場合に管理者の考えをコーチングで伝えるのは、コーチングスキル以外の要因が大きく影響するため大変難しいです。そこで、戦力の問題があったとしても、モラールダウンを避けるために他の担当者に管理者方針の業務を任せることになります。もし戦力が無ければ、同じ担当者に管理者方針の業務をお願いすれば良いかと思います。業務のお願いをコーチングの場面で担当者に受け入れさせることは難しくないと思います。

カテゴリー : 高分子

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