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2012.09/09 二軸混練機について

重合反応の最後のプロセスで配合剤を添加したりする場合も含めるが、高分子材料を実用化するときに、”混合”というプロセスが必ず入る。溶媒に膨潤あるいは分散した高分子に添加剤を入れ混合するプロセスは、溶媒を除去しなければならないので、塗布とかキャスト成膜などの用途に限られている。一般には、無溶媒でバンバリー、ニーダー、ロール、二軸混練機などの機械式混合装置が用いられる。

 

加硫ゴム材料では二軸混練機を用いることができないので、バンバリー工程とロール工程を組み合わせたバッチ式プロセスとなるが、樹脂材料やTPEでは二軸混練機が多くの場合用いられている。この二軸混練機の解説書は、ハードウェアー寄りに書かれており、高分子材料の物性が混練機でどのような影響を受けるのか体系的に詳述した本を見たことが無い。おそらく、多くのケースではノウハウの部類に属することなので公開されていない可能性が大きいが、加硫ゴムのように経験知の部分が多く解説が難しい、という点もあるかもしれない。

 

レオロジーの観点から二軸混練機を伸張流動と剪断流動の組み合わせで材料の混合を行っている装置、と簡単に書くこともできるが、実際には物質の分散だけでなく材料の変性も同時にこのプロセスの中で起きているので体系的に技術を整理するのは至難の業のように感じる。21世紀に入り高分子精密制御プロジェクトという国研で混練技術が取り上げられ、L/Dの大きな二軸混練機やEFM、高速剪断混練機などが検討されたが、これらが実用化され普及したという噂を聞かない。伸張流動を極限まで追求したL/Dの大きな二軸混練機やEFMでは、ナノオーダーのレベルまでポリマーアロイの高次構造を作り込むことができると言われたが、生産性が悪いという難点が残った。高速剪断混練機は、その機構上生産機レベルの装置を実現できないだけでなく、分子量低下という問題が残った。

 

国研で検討されたこれらの装置の状況を見ると、1990年前後に登場した石臼式混練機は、生産性は悪いが新しい混練機として成功した例と言っても良いかもしれない。樹脂への無機粉体の分散を得意とするこの装置の難点は生産性以外に混練後の清掃の煩雑さである。しかし、バンバリーとロールの組み合わせよりも効率は良いのでそこそこ普及した、と聞いている。

 

最近ラムスタットミキサーというバッチ式の混練機の提案やカオス混合装置の提案がされているが、研究報告をあまり見かけない。樹脂の着色程度ならば二軸混練機でも用を足せるが、最近普及し始めた3成分以上のポリマーアロイや融点の高いエンジニアリングプラスチックの混練では、現在普及している二軸混練機の性能の限界が見えてきている。二軸混練機の限界性能を引き出すように使い込むのか、あるいは二軸混練機に付加装置を足して二軸混練機の性能向上を図る技術開発が現実的であるが、もう少し新しいプロセシング開発にもチャレンジする企業が出てきても良いのではないでしょうか。

 

実用的で新しい混練機が登場するまで、もし樹脂の混練でお困りのことがございましたら株式会社ケンシューにご相談ください。

 

弊社では本記事の内容やコンサルティング業務を含め、電子メールでのご相談を無料で承っております。

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カテゴリー : 高分子

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