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2012.11/23 SiCスタックシミュレーション

炭化ケイ素(SiC)は、大別するとαSiCとβSiCの2種類の結晶系が存在する。βSiCは立方晶で1種類であるが、αSiCには2H、6Hなど積層状態のわずかな違いで多数の種類が存在する。このような積層状態の違いで多数の結晶ができる現象を多形という。

 

約30年ほど前、無機材質研究所へ留学しました時に、井上善三郎先生のご指導でSiCの積層状態をシミュレーションするソフトウェアーを開発した。当時のコンピューターは16ビットが普及し始め、PC9801のシェアーが伸びてきた時代である。言語は当初BASICで作成したが、50層までの中間データを得るのに1ケ月かかった。これをCで組むと10日ほどで完了した。フロッピーへデータを書きだしていたので、CとBASICの差は入出力がボトルネックとなりそれほどの差が出なかった。おそらくオンメモリーで計算したならばCで1日だろうと思いました。

 

PC9801とBASICの組み合わせで3ケ月かかって50層まで計算した。面白いのは数千も多形が存在するのに2H、4H,6H、3Cを選択的に安定して合成できることです。6Hについては、温度条件が厳しく、4Hが出現したりするが、この安定に合成できる4つの結晶系以外は、不純物として観察できる程度であった。

 

昇華法でSiCウェハーなどを製造できるのも多数の多形があるにもかかわらず、特定の結晶系が安定に生成するためであるが、これら結晶系の自由エネルギー差はわずかであり、生成機構に関わっていると推定している。約30年前シミュレーションをしてこれまで時折眺めてはアイデアをためてきたので、スタックの形態に確率因子と結合因子を導入し、特定のスタックができるシミュレーションソフトの開発を目指したい。

 

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カテゴリー : 電気/電子材料 高分子

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