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2012.12/10 酸化第二スズゾルのパーコレーション転移

酸化第二スズゾルは、1次粒子径が1nm前後の粒子が金魚のウンコのようにつながった不定形繊維状の導電体が水中に安定に分散したコロイド溶液です。ラテックスやゼラチン水溶液に分散すると容易に安定な塗布液を作ることができます。この塗布液で塗膜を作りますと、アスペクト比の大きな繊維状導電体にもかかわらず、パーコレーション転移が生じにくい。体積分率で50vol%前後添加しなければ半導体領域の導電性を示す塗膜が得られない。ところがこれだけの添加量になると塗膜の強度が上がらず、力学物性の良好な膜が得られません。

 

原因は、酸化第二スズゾルの濃度を上げると、繊維状の導電体が構造を作るためで、ゾルの粘弾性を評価すると構造粘性がいろいろ変化する様子を観察することができる。すなわち塗膜中の導電体の分散状態で決まる構造が、パーコレーション転移に大きく影響をしているため、導電体の高いアスペクト比が生かされていないのです。

 

この酸化第二スズゾルの水中における構造形成の問題は、塗布液中の酸化第二スズゾルの濃度やその他のコロイド粒子の存在を考慮すると避けて通れない難問です。すなわち導電体繊維が構造を作って分散していることを前提にパーコレーション転移を制御しなければコーティング技術を完成できません。技術の詳細は後日述べますが、パーコレーション転移の制御因子を探索するためには、パーコレーション転移の閾値を正確に評価できる評価技術が必要です(明日に続く)。

カテゴリー : 高分子

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