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2013.02/03 弊社の問題解決法について

例えば、福島原発では、「10m以上の津波がくる確率は極めて低いので、防波堤の高さは、これでよし」と、防波堤の高さを津波の発生確率で決めてしまったために、津波対策は置き去りにされました。そして今回の津波の被害は、想定外という言葉で表現されていますが、そもそも事故発生0%が要求される原発に対して、想定外という言葉が一般に受け入れられるでしょうか。

 

新聞などの情報によりますと、原発の防災に関する設計基準はすべて発生確率を基にして決められている、とのことですが、どんなに確率が低くともその事象が発生した場合に致命的な問題が生じるならば、課題としてあげて対策をうつ必要があります。もし、確率の低い大津波がきた時の問題まで考え対策をうっていたならば、今回のような大惨事にならなかったと思います。

 

経済的理由から防波堤の高さを制限するならば、確率の低い大津波に襲われた時の対策を完璧に行うべきです。今回の事故では、大切な電源がすべて流された時に備え、周辺地域から電源車を短時間で確保できる体制を備えていたならば電源の回復を迅速にできたと思います。

 

しかし、電源車が1時間以上遅れて到着したけれど電源のコネクター形状が合わないために使用できなかった、という信じられない報告がされています。仮に津波の大きさが想定外だった、という言い訳が許されたとしても、電源車のコネクター形状の不一致については、許されない問題です。電源のコネクターというものは規格品であり、外部電源を原発へ取り入れるために全てをそろえていても経済的に大きな負荷がかかるわけではありません。福島原発を建設する時に、周辺住民への配慮をどこまで真剣に行っていたかという問題になります。

 

すなわち、津波の発生確率に関わらず、瞬時に原発へ電気を供給できる体制は、それが非科学的な対応という評価がなされたとしても、周辺住民に対する安全の担保としてしなければいけないことです。原発建設の前であれば、電源の事象はあるべき姿に入れてもよいですが、すでに稼働している原発の外部電源コネクターについては、対策が十分取られていることは当たり前です。

 

現実を確率で把握し、確率の低い事象を現実から切り捨てますと、問題に反映されなくなります。原発の運転に電源は欠かせませんので、どんなことがあっても電源を確保できる体制を作り上げることは技術者の良心というもので、これは非科学的側面です。ゆえに今回の福島原発の問題は、非科学的側面を切り捨てる従来の問題解決法のパラダイムで技術を構築したために発生した、と言えそうです。現実を確率や期待値を用いて把握することは、絶対に行ってはいけません。現実の把握は、ありのままを把握することこそ大切です。

 

                          <明日へ続く>

 

カテゴリー : 連載

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