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2013.02/08 弊社の問題解決法について<22>

 ところで、エージェント指向のパラダイムは、オブジェクト指向プログラミングの普及が始まった1980年代に登場しています。しかし、人工知能の技術が必要なため、そのパラダイムを実現できる安価な普及型言語は未だに登場していません。エージェント指向の解説書を読みますと、そのパラダイムはゴール至上主義であり、メッセージ至上主義のオブジェクト指向のパラダイムと全く異なっている、と説明されています。

 

例えば、オブジェクト指向では情報を頼りにしてアクションが決まるので受け身的振る舞いとなりますが、エージェント指向では状況判断が加わり能動的な振る舞いとなります。すなわち、この能動的振る舞いの特徴があるので、情報が無い時にアクションが止まってしまうオブジェクト指向の欠点が解決されています。そして情報が無くともアクションを中断することなく必ずゴールまでプログラムを実行し続けると説明されていますが、この仕様はエージェント指向の一番の特徴であり、「ゴール至上主義のパラダイム」と表現されたりします。不足している情報を「逆向きの推論」により自分で探し出したり作り出したりする仕掛け、人工知能がプログラムに組み込まれているので実現可能となる仕様です。

 

そのほか、エージェント指向プログラミングには、ゴールへの最短経路を探す性質や、不足している情報を探し属性やメソッドを自由に変化させて知識が増えてゆく人の成長を模倣した仕組みなど、問題解決プロセスに参考となる仕様がいくつか含まれています。 

 

 エージェント指向については、論文でその仕様を理解しただけですが、派手なワイヤーアクションで有名になった映画「マトリックス」は、まさにエージェント指向の世界観を取り込んだ秀作です。続編「リローデッド」や完結編「レヴォリューション」は少し本題から外れますので触れませんが、第一作では、仮想現実空間でネオがエージェントに執拗に追いかけられます。エージェントは人工知能で動いているのですが、どこからともなく現れてネオを追いつめてゆきます。あたかも彼らはネオの動きを逆向きに推論しているかのようです。結末はビデオで観てください。

                                        <明日へ続く>

カテゴリー : 連載

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