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2013.02/23 弊社の問題解決法について<37>

山中博士の見出した四個の遺伝子は「ヤマナカファクター」と呼ばれているそうです。このヤマナカファクターは科学的大成果ですが、その見出だされたプロセスは非科学的です。しかし、「考える技術」として演繹的推論は必ず使われています。ただしその使い方は、科学的な厳密性に拘っていません。逆向きの推論の結果を検証せずに用いています。

 

ビジネスの問題解決において、ロジカルシンキングは重視されていますが、アイデアを出す作業に限ればロジックの厳密性まで必要はなく推論の性質を利用する程度あるいは問題を意識する程度でよいことを述べました。これは人類の問題解決の歴史を見ても納得のゆく事実です。

 

例えば論理学の歴史から思想史まで幅広く扱っている伊藤勝彦編「知性の歴史」(新曜社)を読みますと「ある事態に直面したとき、言葉を媒介として冷静に分析したり総合したり、また自分のできることとできないことを弁別して、可能な限りの自分の目的にかなった方向に課題を解決していくこと、それが知性の営みにほかならないとすれば、その真摯、熱意において、人事や自然に対処する人間の基本的構造に歴史や発展があるわけではない。「知性」そのものに歴史はない。せいぜいその所産たる「思想」に変遷があるだけだ。原始人が蒙昧で文明人が理知的と思いこむのは後者の偏見にすぎない。」とあります。早い話が、ロジカルシンキングを知らない原始人でも火が必要になれば問題意識からアイデアを出して火を起こし生活をしていたのです。

 

問題解決法を科学的あるいは厳格なロジックのルールで拘束する必要はなく、問題解決は人間の営みの一部として捉え自由度の高い方法で行ってもよいように思います。

 

一方、エルンスト・マッハ著「マッハ力学史」には、ニュートンの思考実験の様子が紹介されています。この方法を用いてアインシュタインの相対性理論が生まれた、という伝説もそこに書かれており、人間は考える営みの中で肉体労働を軽減する道具の発明と同じように思考に便利な「考える技術」も発明し、それを伝承していた様子が伺われます。

 

ニュートンの思考実験を人類最初の問題解決の技術とみなすと、現在も一部の研究者に使用されていますので、その技術の伝承は約300年続いていることになります。しかし人類は生活を改善するために、科学誕生以前から様々な道具を発明してきましたので、「考える技術」の歴史は300年より古い可能性もあります。

<明日へ続く>

カテゴリー : 連載

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