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2013.04/13 樹脂の混練とその装置の問題

高分子を混練するときに問題となるのが装置や製造条件により混練された高分子の状態が異なる点である。例えば加硫ゴムについては、未だにバンバリーとロールを用いて混練している。その組み合わせによりできあがるゴム物性も異なる。加硫ゴムの場合には、弾性率まで変化する場合があるので混練条件についてはかなり神経を使うことになる。

 

ロール混練において、かえしという作業があり、この作業の回数が異なると耐久性まで影響する。ゴムの処方によりプロセスの差異があまり物性に出ない場合もあるが、樹脂に比較すると物性に与える混練効果の影響は大きいといえる。

 

樹脂では結晶化度が物性に大きく影響するので、混練効果の影響がわかりにくいが、注意深い実験を行うと、樹脂の物性ばらつきに混練効果を観察することが出来る。すなわち、平均値で見ている限り混練の影響が小さくとも、ばらつきという視点で見ると混練の影響を観察することが出来る。

 

テストピースの実験で観察される偏差の大きさよりも射出成形体の物性で現れる偏差のほうが大きくなる。これは射出成形の金型の中で混練が進むからである。このため大きい射出成形体では部位に依存した物性の偏差が大きくなる。FEMを用いて設計した金型を変更しなくてはいけない場合も出てくるかもしれない。このような問題に遭遇しても樹脂の混練状態にあまり大きな関心が払われてこなかった。

 

樹脂の混練には、ゴムと異なり連続式の混練機が用いられる。軸の本数により単軸混練機、二軸混練機、多軸混練機などと呼ばれている。軸が多くなれば混練機の価格は高くなるが混練効率は上がる。単軸混練機でも混練は進むが、同じL/Dで比較したときに二軸混練機の半分以下の性能しか無いと考えるべきだ。二軸以上の混練機の性能は単軸以上にスクリューの設計因子が多くなる分、混練効率を上げることができる。2成分以上の高分子を混練するときには、安定な射出成形体を得たいならば単軸では不可能と考えるべきだ。シミュレーション以上の差が実際に発生する。

 

単軸混練機でも混練は可能だが、本来は押出専用機と考えていた方が良い。市場で樹脂の混練に関わる問題が発生したときにスクリューの設計変更を行い混練効率を上げようとしても二軸混練機ほどの効率アップを達成できない。教科書には剪断力を発生させるスクリューデザインが載っていたりするが、温度上昇は一人前に起きるが温度上昇に比較して混練はあまり進んでいないのでがっかりする。単軸混練機でスクリューの設計を変更してもあまり期待した効果は得られない。

 

二軸混練機以上の多軸式の場合には、スクリューの設計は混練効率に大きく影響を与える。特に剪断力を発生するローターはすばらしく、某社のローターは、発熱も抑えられ混練効率が高い。ただしそれでもゴムの混練で用いるオープンロールほどの混練レベルを達成することは難しい。樹脂を一度オープンロールで混練し、その物性を確認してみると連続式混練機の問題が分かってくる。連続式混練機の性能の問題を解決できる技術がありますのでご相談していただきたく。

 

 

カテゴリー : 高分子

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