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2013.05/25 思い出

ゴム会社で最後に書いた特許「半導体治具用炭化珪素粉末の製造方法」は、住友金属工業(株)との共同出願である。この特許は、平成8年10月3日に登録(登録番号2565024)され権利消滅は、2年前平成23年7月18日である。

 

写真会社に転職して22年経過したので、ゴム会社で出願された半導体冶工具用高純度SiCに関連する特許で権利が残っている発明はすでに存在しないが、ゴム会社から企業年金の案内が突然届いた。いろいろな思い出がよみがえる。

 

高純度SiCの発明について最初の出願は無機材質研究所から行った。2件基本特許に相当する発明の出願である。その後ゴム会社はこの発明の斡旋を国からうけて高純度SiCの事業化をスタートする。この特許に対して報奨金が国へ支払われた記録もある方から送っていただき残っている。この発明の権利消滅の時、写真会社に勤務していた。高純度SiCの一連の発明に関し、ゴム会社から報奨金を個人的に頂いていないが、日亜化学のような騒動を起こす気持ちにはなれない。発明の権利は誰のものか、という問題は、事業の苦労を思うときに法律ではかたづかない問題が存在する。また、I総合研究官の思い出も大切にしたい。

 

企業の発明は、それが基になり大きな事業に成長すればするほど関わる人々も多く、現場の改善提案のたぐいも相当な数にのぼるであろう。特許は改善提案と格が違う、という意見がある。確かに発明は誰でもできる活動では無い。しかし発明が事業として成立するまでに発明と同等以上の価値の苦労が存在する事実をどのように考えるのか。

 

高純度SiCの事業化では、住友金属工業とJVを立ち上げるまでの8年間で、約6年もの間一人でいわゆる“デス・バレー(死の谷)”を歩いた。最後はFD破壊という妨害である。恐らく写真会社へ転職後、住友金属工業の協力があるといっても引き継いだ後輩諸君の苦労も大変だったのだろうと思う。

 

「その会社に特定の人物がいなければ絶対に生まれなかった」という技術や事業は、恐らくどこの会社にも一つや二つある。技術者はそのような技術を自己実現の目標として努力すべきであろう。そしてそれを実現した技術者を企業は正当に評価する、このサイクルをうまく回すことが技術経営として重要である。

 

 

カテゴリー : 一般

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