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2013.08/11 科学と技術(19)

切削チップの技術については全くの初体験でも、1ケ月程度で鋳鉄を研磨可能なSiC製のチップを作成することができた。これは弊社の問題解決法によるところもあるが、セラミックスフィーバーでセラミックスチップの製造技術がすでに完成していたことが幸いした。

 

当時ノウハウよりもノウフーが大切だ、と言われていたがその通りであった。切削チップに仕上げる技術などゴム会社に情報すら無かったが、高山の会社には、そのまま導入すれば切削チップを生産できる設備が整っていた。インターネットなど無い時代であったが、ヘッドハンティングの会社がよく接触してきていたので、企業情報やセラミックス関係の人的ネットワークができており、高山の会社もそのネットワーク経由で知ることができた。

 

若い時に少し有名になると道を誤るリスクは大きくなるが、情報が自然と集まってくるのはありがたい。それらの情報は科学的情報から非科学的情報まで、さらには怪しい情報もある。高山の会社も最初情報を得たときに、あまりにもできすぎた話なので怪しい情報と誤解した。すなわち先端技術メーカーの生産ラインが容易に手に入ってしまうのである。ただ怪しい情報と思っていても当時頼らざるを得ない状況であった。しかしその会社に賭けて正解であり、そのまま商品にできるような姿に仕上げてくれた。

 

このときノウフーの重要性を身にしみて知った。その会社の設備を導入すれば、切削チップの先端の生産技術がすべて手に入るのである。切削チップ事業は、チップの設計技術が差別化技術であり、生産技術はノウフーの世界であったのだ。さらにチップの設計技術については都立工業試験所に公開された技術が存在し、評価技術がタダで手に入る状態であった。残っているのは材料設計技術で、ゴム会社が取り組むには適していると判断し、企画として提案した。

 

事業化検討の議論では技術ではなく、その市場構造が問題となった。大手以外に中小がひしめき合っている市場に入ってトップになれるのか、というのが議論の中心で、さすがにSiC一材料しか無い状況でトップになれます、とはったりを言う自信は無かった。

 

カテゴリー : 一般

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