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2013.08/16 科学と技術(24)

1970年代公害問題の影響で化学系の学部の偏差値が軒並み下落した。その化学系学部は1960年代には石油化学発展の波に乗り花形学部だった。現在は工学部全体の偏差値が下がったままである。製造業のほとんどが中国や東南アジアへ出て行き、国内の産業構造が大きく変化しているので大学の偏差値が影響を受けるのは仕方がない。

 

しかし今や技術者はボーダーレスの時代に突入し、世界中の技術者との競争にさらされている。そのような状況で大学の偏差値が下がり続けている現実を見ると、就職難は当たり前のように思えてくる。

 

一方で、社会で活躍している技術者達の出身大学は様々である。出身大学の偏差値など無関係という雰囲気すらある。地方大学で客員教授をさせて頂いた時にびっくりしたことが一つあり、偏差値が低くても、東大にいるぐらいの優秀な生徒が二人や三人いるのである。地方大学でも優秀な先生がいらっしゃるのでこれを不思議なことと思ってはいけないのだろう。

 

問題は、学生の質のばらつきの大きさである。理系でも微積分を満足にできない学生から量子力学の問題まで解ける学生を相手にどのような講義を行えば良いのか。研究者と教育者の両面を期待されている大学の先生のご苦労は大きいだろうと、講義をしながら考えた。

 

まともな講義をすると、半分以上睡眠モードに入る。しかし笑い話をすれば、睡眠モードの学生は無視できる程度になる。お祈りをして高純度SiCができた話は、結構受けた。授業の感想を作文に書かせたところ、半分以上の学生がこの話題について書いてきた。180分の授業で10分の話しか聞いていただけなかったことになる。

 

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