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2013.08/26 科学と技術(34:高分子の難燃化技術)

高分子の難燃性評価試験は、帯電性評価試験と同様に実際の現象との相関性が厳しく問われる。1947年に建築基準法が制定されて以来不燃材料の評価は何度も見直されてきた。特に1969年の同法の大幅な改正は建築材料認定の出発点と言われている。

 

高分子の難燃化技術については科学的な取り組みが古くから行われてきたが、実験室における評価技術の実火災との対応になると、コーンカロリメータの発明ではじめて科学的に分かりかけてきた、という印象を持っている。元名古屋大学武田邦彦先生のご研究は、この分野で科学的に高い成果をあげている。科学的に取り扱いにくい火災という現象をアカデミアの立場で研究を行う時の参考になるだけでなく、難燃化技術について勉強するときに役にたつアカデミアの成果の一つだと思う。

 

1970年代にも科学的研究は行われていたが、難燃化技術が先行していた。その結果とんでもない難燃化技術が開発されたりした。某会社が開発した硬質ポリウレタン発泡体の天井材で商品名は「炎を断つ」意味の名前がついていたが、よく燃えた。一応建築基準であるJIS難燃2級を取得していたのだが、このJIS難燃2級の評価法を研究して生まれた材料のようだ。

 

すなわちその「炎を断つ」という商品名の天井材を評価すると、餅のように大きく膨らみ、評価試験に用いている炎から材料がうまく逃げるように変形する。その結果材料は評価試験中燃えること無く温度も上がらなければ煙も出ないので、評価試験を通過することになる。

 

評価試験と材料の関係から見れば、あっぱれ、と言いたくなるが、実火災を想定したときにこのような天井材では役にたたない。ちなみにLOIを測定したら19という低い値であった。1970年代はこのような建築材料も難燃性材料として建築基準を通過していた時代である。コーンカロリメータの発明が建築材料開発に与えた影響は大きい。

カテゴリー : 一般 高分子

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