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2013.10/20 パチンコ台とケミカルアタック

学生時代にパチンコにはまったことがある。地下鉄本山駅で降りて大学へ向かうために交差点に来るともうダメである。3方にパチンコ店があった。おまけに大学への道は、二件のパチンコ店の間を通らなくてはいけない。ここを無事通過しても雀荘の窓から友人が手を振る。男装の麗人ならば絵になるが、スズメの巣のような頭のヒゲズラである。集団遊戯は時間調節が難しいが、一人の遊戯は自分の意志で時間調節ができる、とくだらない理屈でパチンコにはまった。

 

当時のパチンコ台の盤面は、ガラス製であった。まれにガシャーンと大きな音がする。負けが込んでキレた客が台を叩きガラスが割れた音である。このような客を相手にするパチンコ屋も命がけである。パチンコ台のその他の材料は、木材とセルロイドであった。

 

先日数十年ぶりにパチンコ店に入って驚いた。チューリップがどの台にも無い!さらに驚いたことに音も静かである。玉が盤面のガラスに当たる刺激的な音が皆無でヤクモノのミュージックが店にあふれている。ここはどこだと叫びたくなるぐらいの違和感があった。よく見ると、なんと盤面はすべて樹脂製である。ものすごい材料革命だ!それと同時にパチンコの客が減った理由も理解できた。玉がガラスに当たる刺激的な音こそパチンコの魅力の一つであったはずだ。耳の穴にパチンコ玉や百円玉を詰めていた客も絵になった。そんな客もいない。

 

久しぶりにイスに腰掛けて遊戯を開始するとあっという間に玉は静かに台に吸い込まれた。本当に静かであった。その瞬間ケミカルアタックが心配になった。パチンコ台には至る所にオイルが使用されている。また、そのためパチンコ玉の表面は油で汚れている。恐らくパチンコ台の材料革命はケミカルアタックとの戦いであったはずだ。

 

昔使用されていたセルロイドはケミカルアタックに比較的強い樹脂だ。セルロイドを溶解する溶媒はメチクロぐらいである。昔読んだ、元旭化成の役員の上出先生の論文によればアセトンも良溶媒となっているが、アセトンへセルロイドを溶解するためにはそれなりの技術がいる。このようにセルロイドは、それを溶解する溶媒を探すのが難しいくらいの樹脂だからその辺の油では容易に膨潤しない。ゆえに昔のパチンコ台はケミカルアタックの問題から解放されていた。

 

ところが今のパチンコ台にはポリカーボネートやアクリル樹脂のようなものが使用されている。目にIR分析の機能が無くても叩けば分かる?タネを明かせば取り外されていたパチンコ台を店員に頼んで見せて頂いたのだが、至る所に樹脂が使用されており、樹脂名が印字されている。これらの樹脂はケミカルアタックを受けやすいはずであるが、盤面を観察してもひび割れやクラックは見当たらない。大発見であった。

 

事務機で発生すると大問題となるが、滅多に発生しないケミカルアタックだったので対症療法しか開発経験は無く、また樹脂メーカーもユーザーの責任に転嫁する場合ばかりだったのでSP値程度の考察しかしてこなかったが、パチンコ台の樹脂化ではケミカルアタックの嵐が吹き荒れていたはずで、多くのケミカルアタック解消技術が開発された可能性がある。

カテゴリー : 一般 高分子

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