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2013.11/13 C-SiC繊維

炭素繊維はエジソンの発明だが、東レのPAN系炭素繊維で新素材としての用途が拡大した。ピッチ系炭素繊維や、故矢島先生のジメチルポリシランを前駆体とするSiC繊維など各種無機繊維が登場したが、東レの炭素繊維が最も多く使用されている。コストも下がってきており、自動車用途にも使用されるようになった。

 

SiC繊維が登場した数年後に開発されたC-SiC繊維は、表面がSiCで中心が炭素繊維という傾斜組成の繊維である。炭素繊維をFRMに応用しようとしたときに界面で金属炭化物が生成し脆くなる問題がある。その問題の解決を狙い、約30年ほど前に表面だけSiC相を形成した繊維を開発した。

 

作り方はフェノール樹脂繊維(カイノール)にTEOSを含浸させ、特殊なパターンで熱処理を行い、最後に1600℃以上で焼成する。この最後の温度は2000℃まで上げることが可能で、ポリジメチルシランを前駆体とするSiC繊維を1500℃以上に上げると著しい強度低下が生じる欠点があるのに対し、差別化の特徴となっている。

 

ポリジメチルシランから合成されるSiC繊維が1500℃以上の熱処理で強度低下を生じるのは、繊維を形成していた非晶質SiCが結晶化するためで、結晶化を抑えるためにTiを添加したチラノ繊維が上市されている。しかし、C-SiC繊維は、傾斜組成となっているので、1600℃以上の高温度で熱処理を行ってもSiCが異常粒成長することなく繊維形状を保ち、強度低下はわずかである。

 

面白いのは繊維断面の顕微鏡写真で、CとSiCとの界面が見えない。但し、XMAでSiのマッピングを行う事は可能で、中心までSiは拡散していないことがXMA像でわかった。

 

約30年前に少し研究しただけなのでデータは少ないが、Alを用いたFRMの検討まで行っている。炭素繊維を用いたAl基FRMはAl単体よりも強度は上がる。しかしC-SiC繊維を用いたFRMは、それよりも強度が上がり靱性が著しく高くなる。界面のSiCの効果である。

 

カテゴリー : 高分子

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