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2013.11/14 SiO2-C複合粉体

TEOSをフェノール樹脂球に含浸させて熱処理を行うと、シリカが炭素中に傾斜組成で分散した球体を製造することができる。熱処理温度を変えることで、中心部分の炭素の抵抗を制御できる。シリカは表面部分に濃度が高く中心にゆくに従い少なくなる傾斜組成をとっている。この分散の仕方は含浸条件を制御することで自由にデザインできる。すなわち表面を高抵抗にして中心部分を導電体にした、帯電しやすく放電しやすいという矛盾した性質を持った粉体を設計できる。

 

この粉体は電気粘性流体用に開発された材料だが、その技術は昨日書いたC-SiC繊維の技術をそのまま使用している。ゆえにこの粉体を1600℃以上で焼成すれば、表面がSiCの粉体を製造可能である。ところがSiC化まで進行させると、表面の抵抗が10の8乗Ωcm以下まで下がるので電気粘性流体には使用できない。電気粘性流体にこの粉体を利用する場合には、1400℃以上の熱処理を行ってはいけない。

 

この傾斜組成の粉体(これをAとする)の御利益がどのくらいあるのか電気粘性効果で比較したことがある。フェノール樹脂球を炭化した後TEOSで表面処理し、表面だけにシリカを析出させた粉体(これをBとする)、非晶質シリカとフェノール樹脂をメタノール中で混合後スプレードライして製造した、シリカ分散カーボン(これをCとする)について電気粘性効果を評価したところ、A>C>>Bとなった。

 

Cの材料でそこそこの性能が発現しびっくりした。当時のプロジェクトで評価していた粉体と同程度の性能が出た。実験結果を基に考察を進めると、Cでも帯電しやすく放電しやすい性質を持っていることがわかった。

 

二律背反の物性を持った材料を設計するときに、複合材料設計というのは考え方の定石であるが、どのように設計したら良いか、すなわち複合化方法にはどのような方法があるのか可能性のある複合化手段をすべて評価しておく必要がある。この時実際に材料を製造し評価するのが最も良いが、時間とコストの問題がある。その時便利なのがシミュレーションである。どんな場合でも適用できるシミュレーション手法があるのでご興味のある方は問い合わせください。

 

カテゴリー : 電気/電子材料 高分子

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