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2013.12/12 おから

おからには、水分が80%以上タンパク質が5%も含まれており滋養豊富のため腐りやすい。冷蔵庫保管で2日が限度とも言われている。おからは豆腐製造の際に大量に生成する産業廃棄物でその活用法が無く問題となっている。過去にバイオプラスチックとして検討された経緯があるがあまり良い材料ができなかった。

 

ミドリムシのようにパラミロンという1種類の多糖類が含まれているならば活用しやすいが、おからに含まれる多糖類は3種類以上見つかっている。すなわち工業材料として使用するには精製しなくてはならない。ミドリムシのように簡単な処理で50%の高い収率でパラミロン1種類をはき出してくれる便利な資源ではない。

 

工業材料として有望なミドリムシは、現在ユーグレナという栄養補助食品として会社の株価が上昇するくらいに成功しているが、おからこそこの路線で販売すべき材料と思う。「豆腐の妖精」とか「白の恋人」、「大豆から生まれたシロと色の無い繊維の巡礼の旅」とか名前をつければ、ユーグレナよりも雰囲気は良い。食べられる大豆が原料である。ユーグレナはミドリムシをそのまま言い換えただけである。肥溜めでも育つようなミドリムシに高いお金を払って飲むよりも豆腐の妖精のほうが後味が良い。

 

おからの繊維素は、お通じをよくするのでたまに卯の花を食べると良い、と亡き母に教えられた。子供の頃、朝早く近所の豆腐屋へ豆腐を買いに行くときには、どんぶりと大きななべを持たされた。豆腐屋に行くとどんぶりに豆腐一丁を入れ、なべには家族で食べるには十分すぎるぐらいのおからを無料で山盛り入れてくれた。

 

豆腐屋のオヤジはその山盛りに盛られたおからの上にどんぶりを埋めて「ありがとう」と言ったが、産業廃棄物の処理に困っていたのだから、心からの御礼だったのだろう。ご近所にはどんぶりを持たずに大きな鍋だけで来る人もいた。その店のおからはすべて有効利用されていた。

 

家に帰ると母はおからの半分を庭の草木の肥料として撒いていた。残りの半分は、おいしい卯の花に変わった。実家の草木もおからで育った。おからを肥料としたイチジクや柿の木は毎年我が家の家計を助けるほどの実をつけていたが、柿は残念ながら渋柿で、毎年焼酎で渋抜きをして食べた。

 

中学生の時に家を改築した。その時庭は半分になり、イチジクの木も柿の木も無くなった。近所の豆腐屋はその2年前にできたスーパーマーケットが原因で廃業に追い込まれた。それとともに我が家のメニューからおいしい卯の花が消えた。

 

1年ほど前から「そめのやーのトーフです~」という歌とともにミニバンの豆腐屋が毎週金曜日事務所の前に来るようになった。おからは250g60円で販売されている。高いように思われたが、この値段でも結構売れるそうである。たまに売り切れのことがあった。その時おからが売り切れになるのか、と尋ねたのがきっかけになり、我が家のために一袋だけ必ずとって置いてくれるようになった。こうなると買わないわけにゆかないので、おから食品の研究を始めた。

 

カテゴリー : 一般 連載

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