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2014.01/14 熱可塑性エラストマー(TPE)(5)

TPEの物性はなぜ加硫ゴムに比較して劣るのか。詳細説明はこの欄の目的ではない。加硫ゴムをすべてTPEで置き換えることができるのかどうか、という問題について考えてみる。

 

ところでTPEも含めた未来の材料技術については、一ヶ月以内にスタートする「理系女子の未来技術」という企画の中で説明を展開したい。「理系女子の未来技術」は新しい電子出版の試みとして新たなサイトを立ち上げ展開するが、現在その準備中である。その中では、材料技術以外に未来の社会で必要とされる技術について弊社で作成したシナリオをもとに説明する。

 

未来の社会は、現在よりも省エネが進み創エネまで到達する。その中で現在の加硫ゴム技術がどうなるか、TPEはどのような発展をするのか、といった未来の夢を展開する。

 

今日は未来の夢ではなく、30年以上前新入社員のテーマとして担当した樹脂補強ゴムの開発テーマを推進しながら考えたことをまとめる。TPV以外のTPEの最大の問題は、架橋点が樹脂分子の凝集体である点。すなわち加硫ゴムの架橋点のような化学結合でできていないことである。ゆえに長時間応力がかかった状態でずれる現象が発生する(クリープという)。架橋点が長時間かかってずれると応力を外したときに戻らなくなる。

 

すなわち圧縮変形歪や耐久寿命などの「長時間+応力」という要因に影響をうける物性についてその高次構造が原因となり加硫成形プロセスで作られるゴムに比較して本質的に物性が劣る。TPUのRIMについては化学結合で3次元架橋が可能であるのでその問題を解決できるが、RIMの信頼性は、現在でも加硫ゴムに比較してやや劣るので耐久寿命に問題が残っている。

 

TPEの材料技術が進歩しても加硫成形プロセスで製造されるゴム部品が多いのは、時間依存の物性も含め「信頼性」に欠点を抱えているからである。実は高分子材料そのものは金属材料に比較し、過去の長い期間、信頼性の低い材料として考えられてきた。しかし、今や金属なみの信頼性を確保した高分子材料も存在する。例えば溶接技術の一部は高分子を用いた接着技術に置き換えが進んだ。

 

昔金属が最も信頼性の高い材料として扱われてきたが、20世紀末に一部の高分子材料の信頼性は金属なみとなった。材料の信頼性というファクターは技術の進歩とともに向上する。TPVが加硫ゴム並の信頼性を確保する時代が来るかもしれないが、そのためには科学的な仮説から導かれた開発されなければいけない技術がある。

 

カテゴリー : 一般 連載 高分子

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