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2014.03/02 有機無機複合ラテックス(1)

バブル崩壊直前に写真会社へ転職したころ、写真業界では脆いゼラチンを強靱化する検討がされていた。写真フィルムを現像処理すると、ゼラチンが水を吸って膨潤したときに割れやすくなり、その処理速度を速くすることができなかった。現像処理速度を速くするためには写真フィルムの感光層に使用されているゼラチンを強靱にする必要があった。

 

ゼラチンは水に膨潤すると柔らかくスリキズがつきやすくなる。それを硬くするためにシリカと呼ばれる無機微粒子が添加されていた。しかし、無機微粒子が添加されたゼラチンが乾燥したときにひび割れやすくなるので、それを防止するためにラテックスと呼ばれる柔らかい微粒子が添加されていた。

 

すなわち硬くするためにシリカを添加し、その結果さらに脆くなったゼラチンの物性を改良するためにラテックスを添加していた。ややモグラたたき的技術のようだが、このシリカとラテックスを併用する方法は10年以上の実績があり、感光層のバインダー技術として重要であった。

 

しかし、現像処理速度が速くなるにつれて、その技術では対応出来なくなり、ライバルの写真会社から、シリカをコアにしてそのまわりをラテックスで覆ったコアシェルラテックスという技術が登場し、超迅速処理技術として注目された。

 

コアシェルラテックスはシリカとラテックスが一体化されているので、ゼラチン水溶液に分散してもシリカの凝集が発生せず安定なコロイドを生成する。そのためプロセス上のメリットも大きかった。

 

このコアシェルラテックス技術はナノテクとしても注目され、高分子学会でも取り上げられた。単なるシリカの表面処理では無く、シリカの微小な表面上でラテックス重合を制御するという極めて高度なナノテクであった。またできあがったコアシェルラテックスは有機無機複合ラテックスでもある。(続く)

カテゴリー : 連載 高分子

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