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2014.04/10 小保方さん記者会見

仕事のため彼女の記者会見を全て見ることができなかったが、会見が始まって彼女の謝罪の言葉を聞いていると、こちらまで辛くせつなくなった。せっかくの大発見を前に、科学者としての実力を磨かないまま学位を取得し運良く現在の立場になったため、とんでもない不幸な状況に彼女は置かれているのだ。(注)

 

恐らく彼女の頭の中から今でも「STAP細胞の発見」という偉業が離れないのだろう。当方も30年以上前の高純度SiCを発明したときの興奮を今でも覚えている。しかしFDを壊される事件が起きたときには、事業の成功を夢見て問題を大きくすることを避け、開発担当の役目から身を引く道を選んだ。

 

しかし、昨日の彼女の会見は、科学的に疑いを晴らすと言うよりも理研と裁判で争う方向に見えた。この選択では、おそらくここまで社会的な大騒ぎになると裁判で白黒を明確にする方向ではなく、どこかで和解することになるのだろうが、しこりは残る。そのため、このような場合に個人の判断としてその後のことを考え、穏便に解決しようとするのが一般的だ。

 

ただ、穏便に解決した結果は明らかで、栄誉は得られない。栄誉は得られないが彼女が望む平穏な研究生活は戻る。究極の選択を迫られ、彼女は栄誉を選んだのだと思う。その後の彼女の人生を心配しなければいけない立場ではないが、学位論文も満足に書けず、またせっかくの大発見も台無しにしてしまう力量で栄誉だけを選ぶ、という選択には、会見の内容と合わせて考えると、どこか不純さを感じる。

 

おそらく今回の会見については賛否両論まっ二つにわかれるだろう。今回の場合ではマスコミが指摘しているように理研にも問題があり、彼女の科学に対する姿勢にも誠実さや真摯さが感じられない問題がある。もし彼女にそれなりの力量があったなら、今回とは異なる道を選んだと思う。少なくとも法廷闘争で決着をつけるような問題ではない。科学に真摯に向き合おうとするならば理研との関係修復を早く行い、立派な研究を行うことである。

 

(注)今回の事件は、科学に精通していなくとも、あるいは科学の力量が低くても科学の大発見ができるという大切な例になると思う。STAP細胞は科学をよく理解できていなかったから発見できた、とも言える。技術のブレークスルーを行うのに科学が絶対に必要というわけではない。科学は「あれば便利」という役目に過ぎないのだ。また科学的に前向きの推論を進めた結果、時間がかかるということも起きる。科学の時代に科学的方法論は重要だが、それが全てではない、ということを今回の事件は示している。また凡人にも犬も歩けば棒に当たる的大発見の機会は存在し、その時に備え、科学以外の方法論も学んでおく必要がある。カラスでもクルミを割る方法を発明する時代である。弊社は科学も包括した技術開発の方法を指南します。

カテゴリー : 一般

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