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2014.05/03 ヨドバシカメラの早期退職

ヨドバシカメラを10日でやめた新入社員の話がインターネットで話題になっている。何のことかと調べてみたら、ヨドバシカメラの採用チームの担当者が10日でやめた新入社員を説得した体験についてブログに書いていた。それも前編と後編にわけて書いているのだから、何かアピールしたかったのだろう。

 

このブログについて前編後編とも読んでみたが、読み手により判断が分かれる内容である。間抜けなブログと判断する人もいるかもしれない。あるいは採用担当に同情する人もいるかもしれない。だからインターネットでも議論しやすく意見がいろいろ出ているのだろう。ブログにはこのような書き方や内容が受けるのかもしれないが、ヨドバシカメラという企業に対する印象を左右しかねない内容である。

 

「入社10日目でアルバイトと変わらないつまらない仕事だからやめる」、と正直に言っている新入社員を説得しているのである。ブログを読んでいると、説得している採用担当もその点を認めているように思われる。つまらない仕事しか無い会社なのだろう。

 

もっともデズニーランドのような誰もが行きたくなる楽しい会社であれば、給料を払うのではなく、社員から入社料を頂かなくてはならない。一般に会社の仕事には快楽的な楽しさの要素は少ないかほとんど無いはずだ。そのうえで「働いて幸せ」という採用担当の価値観を説いて聞かせ、辞めた後の人生の幸せを願っている、という内容である。

 

この採用担当はどこまで真剣に新入社員の立場まで考え説得しているのか疑問である。新入社員はただ公務員になりたかったが訳あってヨドバシカメラに入ってみたものの勤務している時間がもったいないから辞める、公務員試験の勉強を集中して行いたい、と言っているのである。

 

当方が新入社員時代に「この会社にはメーカーとしての技術は無い」と言って6ケ月の新入社員訓練を受けて配属の日に退職願を提出した同期がいる。ゴム会社としては大損である。たまたま研修中に交流する機会があり、その個性も含め退職理由も理解できたが、今や某一流企業の社長である。かたや、「技術が無いから僕はがんばる」といってゴム会社で高純度SiCの事業を立ち上げ、頑張ったにもかかわらず気がついたら写真会社を早期退職していた、というサラリーマン人生もある。貢献と自己実現を十分に実践してきたが、「働いて幸せ」と考えたことは無い。「働く場所がある幸せ」は感じていたが。

 

写真会社で退職願いを出しても「もう少し後でやめれば、優遇制度の退職金上乗せ額が増えるかもしれない」と言ってくれた人もいて、「確かに業績が良くないからそうなるかもしれないが、追い出されて辞めるよりは」、と答えるのが精一杯である。新入社員で会社を辞めるときと、サラリーマンの晩年で会社を辞めるときでは、その動機は全く異なる。サラリーマンの晩年は「働く場所」が年齢とともに無くなるのである。無くなってから辞めるのか、無くなる前に辞めるのか、辞めてからの苦労を考えなければ、幸せ感を持って辞めた方が精神衛生上好ましい。

 

ヨドバシカメラの新入社員は、説得されなくても公務員という夢を持って会社を去った。若くして会社を去るのはその会社に魅力が無いか何か問題があるときである。おそらく社会に歓迎される話は新入社員の早期退職ではなく、60過ぎたら仕事を自由に選べる会社の話題だろう。弊社はその様な会社を目指して頑張っている。

カテゴリー : 一般

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