活動報告

新着記事

カテゴリー

キーワード検索

2014.05/05 フローリー・ハギンズ理論(2)

テルマエロマエ2を観た。前回同様にばかばかしいお話しで無条件に面白かった。現代の温泉からアイデアを拝借し古代ローマの風呂を発明する、という方法は技術における発明の一つのやり方である。毎回平たい顔の部族として日本人が紹介されるが、古代ローマ人を演じているのも日本人の俳優である。同じ日本人でもその顔は立体的に大きく異なるのである。

 

フローリー・ハギンズ理論では、立体的に大きく異なる2種の高分子を、二次元平面の格子の中に押し込んでその自由エネルギー変化を論じている。高分子が平たい形態をとって挙動しているならば、この二次元平面における考察でうまく説明できる。しかし、高分子はその長さ方向にも様々な形をとり、これをコンフォメーションと呼ぶが、そのエントロピー変化はこの理論において無視されている。

 

テルマエロマエでは、時空を越えた古代と現代の往来の表現をオペラの歌声とともに高速の流れとして表している。今回はその流れの表現として水洗便所まで飛び出した。そして太った関取が時空の流れの中で変形せず、詰まってしまう。詰まってしまったのに次のシーンではうまくワープしているのである。ばかばかしい。

 

2種類の混合された高分子の融体を細いスリットに高速で通したらどうなるか。恐らく大きな剪断応力が発生し、分子は長く引き延ばされる。1mm前後の厚みで幅2cmのスリットへPPSと6ナイロンを混合し押し込んだら相溶し透明な樹脂が流れ出してきた。GPCで分子量分布を測定しても特に低分子が増えたというわけではないので、大きな剪断応力がかかっても分子の断裂は起きていない。

 

本来非相溶系の組み合わせがとんでもない領域にワープしたのである。そのままPPSのTg以下へ急冷すれば6ナイロンが相溶した材料ができる。その材料で作られたフィルムはPPS単独の場合に比較し、もの凄く靱性が向上していた。

 

 

カテゴリー : 連載 高分子

pagetop